生々しい現場写真も公開…ハワイ・マウイ島大火災 生存者が証言する「楽園 の地獄絵図」 | FRIDAYデジタル

生々しい現場写真も公開…ハワイ・マウイ島大火災 生存者が証言する「楽園 の地獄絵図」

死者・不明者1300人超 「煙で何も見えない中、炎に追われて海に飛び込みました……」

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甚大な被害を出したラハイナの市街地。建物は骨組みを残し、ほとんどががれきの山と化していた。乗り捨てられた自動車も黒焦げに
甚大な被害を出したラハイナの市街地。建物は骨組みを残し、ほとんどががれきの山と化していた。乗り捨てられた自動車も黒焦げに

「炎が迫ってくるのが家の窓から見えたので、慌てて車に飛び乗って大通りを目指しました。しかし、道路は渋滞でまったく車が進みません。煙が立ち込める中、車を乗り捨てて走って逃げるしかありませんでした……」

震える声で打ち明けるのは、マウイ島在住の会社員・マイク・アンドレーザさん(35)だ。アメリカ・ハワイ州マウイ島で8月8日に発生した火災が、死者・行方不明者1300人超(8月15日現在)と「ハワイ史上最悪」と言われる被害を出している。

「車から降りた後は走って炎から逃げたんですが、いよいよ海岸まで追い詰められて、もう海に飛び込むしかなかった。結局、3時間ほど海上に避難していたのですが、その間も熱風で背中に火傷を負いました。ものすごい炎でした――。
火の手が落ち着いてから自宅のあった場所に戻る道中、黒焦げの焼死体を何体も目にしました。なぜ私が生き残れたのか、不思議でしょうがなかった」(同前)

焼失した面積は870ha(263万坪)を超えると言われている。教会や学校に設置された避難所や、病院は人で溢れかえってしまったため、仮住まいのためのスペースを確保できなかった住民ら3万人近くがマウイ島を脱出するとみられる。

なぜこれほど大きな火災となってしまったのか。ウェザーマップ会長で気象予報士の森田正光氏が解説する。

「乾燥と強風が最大の原因と考えられます。観測所が置かれていないため正確な数値はわからないのですが、マウイ島は乾季に入っており、広い範囲で『異常乾燥』状態でした。さらに太平洋上を通過したハリケーン『ドーラ』がもたらした強風が島の中心部にある山脈を越え、吹き荒れたのです。これが火の手を広げ、人々の逃げ場を無くしました」

防災設備の不備など人災も指摘されている。現地の消防士のアイナ・クーラーさん(42)は消火栓が使えず、消火活動もままならなかったと証言する。

「煙で周囲が真っ黒になる中、できるだけ多くの人を助けようとしましたが、それはできませんでした。水道管が破損していて消火栓にも水が残っておらず、火の手の止めようがなかったのです」

火の手が広がった後も警報や携帯のアラートが機能せず、住民の避難が遅れたという証言も相次いでいる。

火災の発生から1週間が経った8月15日の時点でも原因は特定されていないが、甚大な被害が出た西部・ラハイナの住民らは、現地の電力会社の送電線が強風で切断されたことが出火につながったとして、集団訴訟を起こした。

「島民は多くを失いましたが、命が残っているだけ幸せだと思って生きていくしかありません」(前出・クーラーさん)

ハワイ州のジョシュ・グリーン知事はCNNの取材に対し、「死者が2倍となる可能性がある」との考えを示している。未曽有の大災害の犠牲は、どこまで広がってしまうのか。

火の手は、またたく間に市街地を飲みこんでいった。街路樹の背が低く、燃えやすかったことも延焼の原因だと言われている
火の手は、またたく間に市街地を飲みこんでいった。街路樹の背が低く、燃えやすかったことも延焼の原因だと言われている
海中へ逃げた女性の後ろでは、ものすごい勢いで林が燃えていた。黒い煙も広がり、息をするのもやっとの状態だったという(Xより)
海中へ逃げた女性の後ろでは、ものすごい勢いで林が燃えていた。黒い煙も広がり、息をするのもやっとの状態だったという(Xより)

『FRIDAY』2023年9月1日号より

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