販売店はスタバより簡単に見つかる…タイ・バンコク「大麻バブルに沸く危うい最前線」戦慄の現地ルポ | FRIDAYデジタル

販売店はスタバより簡単に見つかる…タイ・バンコク「大麻バブルに沸く危うい最前線」戦慄の現地ルポ

いまや繁華街で1g1200円から手軽に買えるグリーンラッシュが拡大中、日本人観光客の姿も……

バンコク市街で、紙巻きにした大麻を吸う男性。ほとんどタバコと変わらない感覚で大麻が流通している
バンコク市街で、紙巻きにした大麻を吸う男性。ほとんどタバコと変わらない感覚で大麻が流通している

〈マリファナ常習者歓迎〉

タイの首都バンコクを取材で訪れた際、大麻ショップの店先に貼られた求人チラシの一文が目に留まった。チラシには、他にも英語で〈月に8万円(以下、日本円換算で表記)〉〈20歳以上〉などと記されている。中でも目を引いたのが、〈Must speak good English〉という応募資格だ。なぜ大麻ショップの店員に高い英語力が求められるのか。

同店で働く30代のタイ人女性に話を聞くと、こう答えた。

「大麻を買うお客さんのほとんどが外国人だからです」

タイで、大麻が禁止薬物リストから除外されたのは昨年6月のこと。当時、アジア初の”大麻解禁”に踏み切ったことが大きな話題となった。ただ、解禁といっても医療用大麻や家庭栽培が条件付きで認められただけで、草を吸ってキメる行為はタイでも違法である。ところが、法整備が不十分なため、街中で嗜好用として大麻が売られ、”大麻バブル”の様相を呈しているのだ。現地ではアメリカのゴールドラッシュになぞらえ、「グリーンラッシュ」と呼ばれている。

「大麻解禁に舵を切ったのは、国内政治の影響が大きい。海外からのインバウンドを狙っているのです。実際に大麻を買う客の多くは、日本人を含む外国人ばかり。ある大手の大麻ショップは近年、フランチャイズ方式で事業を急拡大し、今では国内に15店舗以上を展開しています。

表向きは、医療用とかリラックス効果を謳った大麻を販売していますが、看板に英語、日本語、韓国語、中国語を表記している店がほとんどで、面白半分で乾燥大麻を吸う観光客や、外国人のジャンキー相手に嗜好用の大麻を販売しているのが実情です」(バンコク駐在員)

実際にバンコクの街を歩くと、スタバを探すよりも簡単に大麻ショップが見つかった。清潔で明るい照明の店の多くは合法店だが、駅前や歓楽街の屋台は無許可の違法店ばかり。

「値段も品種もピンキリで、合法店だと1g2700円から3200円ほどの大麻が多い」

そう話すのは取材で出会った40代のタイ人男性だ。駅裏の路地にあった屋台をのぞいてみると、店員が「1g1200円」と声をかけてきたが、「高すぎる」と値切ると、すぐに半値まで下がった。観光客がいる場所はどの店も相場は同じだが、筆者が目にした最安値は、郊外で見た1g320円だった。

「もともとタイは違法薬物に対する意識が低く、国会議事堂の庭に、たくさんの大麻草が植えられていたほど。国内では覚醒剤の成分が入った錠剤が蔓延し、最近は、違法薬物を混ぜて作ったハッピーウォーターというドリンクも流行している。興味本位で大麻に手を出した外国人観光客が、ヤク中になることも珍しくない」(同前)

タイでは、この1年間で大麻中毒者が約5倍に増えたと言われている。日本でも大麻取締法の改正が検討されている中、タイの危うい現状が他山の石となるかが注目される。

専門店の内部には、瓶に詰められた様々な銘柄の大麻が並ぶ。この店も外国人が多く訪れていた
専門店の内部には、瓶に詰められた様々な銘柄の大麻が並ぶ。この店も外国人が多く訪れていた
バックパッカーの聖地と呼ばれる「カオサン通り」にも大麻を取り扱う店が進出している
バックパッカーの聖地と呼ばれる「カオサン通り」にも大麻を取り扱う店が進出している
慣れた手つきで大麻を吸入する男性。加熱した大麻から出る煙を、パイプ越しに吸い込んでいた
慣れた手つきで大麻を吸入する男性。加熱した大麻から出る煙を、パイプ越しに吸い込んでいた
日本語で「大麻合法店」と書かれた店舗。大麻を目的にバンコクを訪れる日本人も少なくない
日本語で「大麻合法店」と書かれた店舗。大麻を目的にバンコクを訪れる日本人も少なくない

『FRIDAY』2023年9月1日号より

  • 取材・文甚野博則(ノンフィクションライター)
  • PHOTO郡山総一郎

甚野 博則

ノンフィクションライター

Photo Gallery5

FRIDAYの最新情報をGET!

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事