<figure id="attachment_328235" aria-describedby="caption-attachment-328235" style="width: 3500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="90a7e0b6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/fc912bb36396b1628e8e84fb1f3cdec5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328235" class="wp-caption-text">10年ぶりとなる新作映画『君たちはどう生きるか』が好調の鈴木敏夫プロデューサー（左）と宮崎駿監督（右）</figcaption></figure>
７月14日に公開された宮崎駿監督（82）の10年ぶりとなる新作映画『君たちはどう生きるか』は、１ヵ月の興行収入が62億円を突破。８月18日にはキャラクター名と声優陣も発表され、ますます注目を集めている。
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今作の公開前の告知はポスターのみ。劇場予告や、新聞広告、テレビスポットをはじめとする事前の宣伝活動はすべてなし。
パンフレットの発売も、公開翌月の８月11日と異例尽くし。しかもそのパンフレットには、インタビューや解説や寄稿などはなく、あるのは簡単な作品説明と、「長編企画覚書」、米津玄師が歌う主題歌『地球儀』の歌詞とスタッフクレジットのみ。
それ以外は劇中カットが占める。これまた不思議なパンフレットに絶句するファンも続出している。そのあたりを鈴木敏夫プロデューサー（75）は、
「今の世の中ってあきらかに情報過多。事前情報を確認するために映画を観に行っているようなところもある」
「観客の方にまっさらな気持ちで観てもらいたい」
と思いを明かしている。
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「宣伝費をカットした分、制作費に上乗せすることができる。今作に豪華声優陣を集めることができたのもそのお陰かもしれません。しかしプロモーションは、口コミとSNS頼り。
これまでプロモーションに力を入れてきた鈴木プロデューサーにとっては、まさに一世一代の賭け。宮崎監督も今回の“賭け”について『鈴木さんの丁半博打が吉と出るか、丁と出るか』と話して、興行収入の推移を見守っています」（制作会社プロデューサー）
今作は宮崎監督が少年時代、母から手渡された吉野源三郎の同名小説からタイトルを借り、これまで描いてこなかった自分の少年時代を重ねた自伝的なファンタジー映画。そもそも10年前に盛大な引退会見を行った宮崎監督がなぜ、この作品を手掛けることになったのか。
<div data-friday-nextpage-lead="声優陣のキャスト名も明らかになり…"></div>
「実は、’16年７月１日。『みっともないことはわかっている』と前置きした上で、『次の作品〝君たちはどう生きるか〟はどうかな』と鈴木Pに打ち明けたことがはじまり。『往年の名監督が〝これが最後だ〟と踏ん張った作品で、面白かったものが１本でもありましたか』と言って鈴木Pは一旦断っています。
しかし宮崎監督は『20分だけ絵コンテを描く』『それをみて判断してくれ』と言い、半年かけて描いてきたものが今作の出発点。３年で完成させる予定でしたが、高齢のためもあり７年をかけ今年、公開にこぎつけることができました」（前出・プロデューサー）
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しかしこの３年の間に未曾有のコロナ禍が世界中を襲い、昨年にはウクライナ戦争も勃発。
「戦争や大災害で世界が揺らいでいる可能性もある」
と言っていた宮崎監督の問いかけに時代の空気が近づいてきたことも、好発進の一因となったことは否めない。
さらに18日には声優陣のキャスト名が明らかになり、主人公眞人（山時聡真）を深層世界へと導く、青サギと人間の姿を行き来するサギ男役を演じる菅田将暉にはSNSでも絶賛する声が殺到。
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菅田の名前がX（旧Twitter）でトレンド入り。さらに火をつかさどる少女・ヒミ役にはあいみょん、生と死の象徴・ワラワラには滝沢カレンといったキャスティングにも驚きの声が寄せられている。
「ジブリファンのあいみょんは、鈴木Pがパーソナリティを務めるラジオ番組『ジブリ汗まみれ』（TOKYO FM）に出演。あいみょんの楽曲に魅せられた鈴木Pが宮崎吾朗監督の『アーヤと魔女』のポスターのコピーにあいみょんの『〇〇ちゃん』の歌詞『私のどこがダメですか？』を起用するなど、２人はお互いにリスペクトする間柄です。
また滝沢カレンも大のジブリファン。滝沢の『心に浮かんだことをそのまま口にする』姿に魅了されファンになったと、鈴木Pは７月に発売された自著『歳月』の中でも語っています」（ワイドショー関係者）
宮崎駿監督の最大のヒット作といえば、現在舞台化もされている『千と千尋の神隠し』。公開４日間の興行収入では、その『千と千尋の神隠し』を上回る好発進を見せる今作。宮崎駿監督のアニメ映画への情熱は、いまだに色あせてはいない。
宮崎「煩悩って、どういう意味だと思う?」 
鈴木「なんですかねえ」 
宮崎「煩悩とは生きることです」
生きてアニメ映画を撮り続けることこそ、〝自分を惑わせる煩悩〟とでも言いたいのか。 
〝引退会見〟から10年。宮崎駿は生きている限り、映画を撮り続けているに違いない――。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

ロイター/アフロ

キャスト発表など事前情報ナシという〝異例作〟となった映画『君たちはどう生きるか』。それでも１ヵ月の興行収入が62億円を突破の大ヒットで、宮崎駿ブランドの強さを見せつけたが……

映画『君たちはどう生きるか』〝異色作〟誕生を巡る「宮崎駿監督と鈴木敏夫P」の〝葛藤〟

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