靭帯損傷で投手として登板回避も…打者・大谷翔平「三振で相手チームに圧をかける」驚異のスイング
リーグ10位の133個 空振りまで美しい!
8月24日に右ヒジの内側側副靭帯損傷が発覚したエンゼルスの大谷翔平(29)。投手として今季の登板はない見通しだが、打者への影響は軽微なようだ。ダブルヘッダーとなった同日のレッズ戦第2試合では「2番・DH」として出場し、5回に二塁打を放っている。「打者・大谷」のスゴさを、「三振」という視点から紹介したいーー。
遡ること半世紀以上、「ミスタープロ野球」長嶋茂雄のフルスイングとずり落ちるヘルメットが、国民を魅了していた時代があった。
「あの人は三振さえ画になった。そんな男はもう出てこないよ」
当時のチームメイトはFRIDAYにかつてこう語ったものだが――″そんな男″が現れた。エンゼルスの大谷翔平(29)である。
「今シーズンの大谷は、8月22日時点でア・リーグで10番目に多い133三振を記録しています。迷いのない豪快なスイングで空振りし、少年のように悔しがる大谷の三振には、ホームランに負けない魅力があります」(スポーツ紙デスク)
打率3割をキープしながら、100を超える三振を喫する。不可解にも思えるこの現象に、大谷のスゴさが隠れている。
「通常の選手なら、三振を避けるために追い込まれるとバットを短く持ったり、コンパクトなスイングになったりする。ところが大谷は、打つべき球を最後まで待ち、読みが外れても自分のスイングに徹し、無理に当てに行こうとしない。
だから相手投手は『紙一重で三振を取れただけで、タイミングは合っている』と考え、恐怖心から同じ攻め方を避けるようになる。結果として甘い球が増え、本塁打や打点を量産することができるのです。大谷の三振は美しいだけでなく、相手チームに圧をかける恐ろしい技術でもある」(通算403本塁打の山﨑武司氏)
積み上げてきたホームランの裏には、大谷の「質の高い三振」の貢献があった。
『FRIDAY』2023年9月8日号より
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