<figure id="attachment_328525" aria-describedby="caption-attachment-328525" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d1a2a540"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/82b552892dcf1406b73033a75fb6006e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328525" class="wp-caption-text">8月15日、サウジアラビアのアル・ヒラルへの入団を発表したネイマール。１クラブの大物選手にとどまらない国家プロジェクトだった（写真：共同通信）</figcaption></figure>
<p>サッカーブラジル代表のネイマールが中東サウジアラビアリーグのアル・ヒラルへ完全移籍した。契約期間は2025年まで。２年間で受け取る給料が３億ユーロ（約450億円）で、出来高を含めると総額４億ユーロ（約600億円）というとんでもない金額だ。昨年末には、ポルトガル代表でライバルのクリスティーアーノ・ロナウドが年俸２億ユーロ（約300億円）で同リーグのアル・ナスルに移籍。サウジアラビアリーグによるスター選手の「爆買い」は、１クラブによる大物選手の獲得にとどまらない、大きな狙いがあった。</p>
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<h3>名将グアルディオラも「行くのをやめろとはいえない」</h3>
<p>8月11日、イングランドやスペインなどを皮切りに欧州サッカーの新シーズンが始まったが、その移籍市場に地殻変動が起きている。世界的ネームバリューのある、ネイマールが６季在籍したフランス１部リーグのパリ・サンジェルマン（PSG）から、サウジアラビアリーグのアル・ヒラルへの完全移籍が決まった。</p>
<p>入団会見では<span class="strongInContent">「新しい歴史を描きたい。サウジアラビアリーグには途方もないエネルギーを持つ選手や質の高い選手がいる」</span>とご満悦のコメントを発表した。</p>
<p>ネイマールはこのオフにPSGから戦力外通告を受けていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「バルセロナへの復帰が第一希望でしたが、その条件が合わなかった」</span>（サッカー担当記者）。</p>
<p>そして突然、手を挙げたのがサウジアラビアのアル・ヒラルだった。２年契約で最高600億円という報酬にネイマールは即答でサウジアラビアに向かった。PSGでのネイマールの年俸は手取り3000万ユーロ（約47億円）だった。サウジアラビアリーグは、アルゼンチン代表のエース・メッシにも２年1800億円という天文学的な金額を提示しただけでなく、日本代表の中心選手の久保建英、板倉洸らの獲得も画策していた。</p>
<p>昨季、史上初となる２クラブでの欧州３冠を達成したマンチェスター・シティのグアルディオラ監督も自クラブの選手をサウジアラビアに引き抜かれた。</p>
<p><span class="strongInContent">「これは問題ではなく現実。サウジアラビアからは信じられないオファーが来る。（選手に）行くのをやめろとは言えない」</span>とぼやき節だ。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="クラブが受け入れたネイマールの「衝撃の要求内容」"></div>
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<figure id="attachment_328526" aria-describedby="caption-attachment-328526" style="width: 1899px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="dae6bfed"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/42d7e7928d645f7e36b855924890b84c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328526" class="wp-caption-text">昨年末、アル・ナスルに加入したCロナウド（左）は8月12日、クラブチャンピオンズカップで優勝し、チームメートともに喜びを爆発させた（写真：アフロ）</figcaption></figure>
<h3>&#8217;30年以降にW杯を是が非でも招致したい思惑</h3>
<p>この爆買いの引き金は今年の６月にひかれた。サウジアラビア・スポーツ庁が保有していた同リーグの『アル・ナスル、アル・ヒラル、アル・イテハド、アル・アハリ』の４クラブを政府系のファンド「パブリック・インベストメント・ファンド」（PIF）が買収したのだ。新オーナーはこのファンド運営するサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子で、昨年から同国の首相職も兼務している弱冠37歳だ。日本の歴代首相がサウジアラビアに訪問する際にも首脳会談を行い、いずれ同国の国王になる人物でもある。</p>
<p><span class="strongInContent">「PIFはサウジアラビアの国家事業と認定したものに莫大な資金を投資するファンドです。2017年には国内のIT事業拡大のために日本のソフトバンクに４兆円以上も投資しています」（サッカー担当記者）</span></p>
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<p>溢れるばかりのオイルマネーがある言うまでもない。PIFが今月６日に発表した昨年の年次報告書によると、運用資産額が約6000億ドル（約87兆円）になったと発表した。2021年にはイングランド・プレミアリーグのニューカッスルを３億ポンド（約460億円）で買収している。ネイマールやクリロナに支払う年俸などPIFにとってほんのわずか投資といっていい。世界トップクラスの選手たちの爆買いは、１クラブの強化にとどまらない、とてつもないビッグプロジェクトの始まりなのだ。</p>
<h3>「すべてのスポーツの飛躍も実現する」</h3>
<p>サウジアラビアがサッカーに向けた投資を拡大した、最も大きな理由は2030年以降にサッカーW杯を是が非でも招致したい意向がある。サッカー日本代表担当記者がこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「昨年末、中東では小国のカタールがW杯を大成功させましたから。これが大きな引き金になりましたね」</span></p>
<p>昨年11月に開幕したカタール大会は、史上初めての中東初開催だった。大会前は、外国人労働者の過酷な労働や試合観戦のアルコール飲料の禁止などネガティブな話題が先行したが、一方で冷房完備の巨大スタジアムやインフラ設備などカタールの世界的ネームバリューのアップに大いに役立った。</p>
<p>そのカタールとサウジアラビアは‘17年から’21年まで国交を断絶をしていた。「中東戦争になるのでは」と言われるほどの緊張状態だった。中東事情に詳しいサッカー記者はこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「サウジは厳格にイスラムの教えを貫きますが、カタールは外国人なら飲酒もできます。国交断絶をしていた時にカタールにサッカーW杯開催で先を越された思いがあるんです。だからこそ、クリロナでありネイマールを欲しがった。メッシの契約交渉に至ってはPIFだけではなくサウジアラビア国家がいくらでも出すから契約を締結しろというミッションもあったと聞きます」</span></p>
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<p>ちょうど30年前の‘93年、日本でも現役復帰を宣言したジーコやリネカーなど、世界のベテランスター選手が日本でプレーし、「Jリーグバブル」が起きて、新たなスポーツ文化が誕生した。そんな歴史をたどるかのように、サウジアラビアもまずは自国のサッカーリーグを押し上げるため、すでに世界的に名が知れ渡っている30代のスター選手に絞り、獲得に成功した。</p>
<p>PIFを主導するサルマン皇太子が<span class="strongInContent">「サッカーだけではない。すべてのスポーツの飛躍も実現する」</span>と意欲満々に宣言したが、その裏には、米国に次いで世界NO.２の産油国であるゆえの「石油依存の国内経済」から脱却するため、サッカーを皮切りにエンタメ事業を盛り上げようという目論見があるのだ。</p>
<p>サウジアラビアには最大６万８７５２人収容できるキング・ファハドスタジアム（リヤド）が有名だ。プロ野球・埼玉西武ライオンズの本拠地・ベルーナドームのように強い日差しをさける屋根で覆われれている。冷房はVIPに完備されているものの、一般の観客席にはない。2019年にこのスタジアムで韓国人気グループBTSのコンサートもおこなわれたため、全席冷房化を視野に入れたスタジアム設備の改修も一気にヒートップしていくのではないか、と言われている。</p>
<p>英紙サンによると、ネイマールはクラブに対し、「スーパーカー8台とサウナが3つついた自宅」「自分や家族が旅行する際のチャーター機」なども破格の要求を出し、それをクラブが受け入れたという。ネイマールが本来のキレのあるプレーで、サウジアラビアの国民を興奮させるプレーができるかどうか。国家プロジェクトの成功はまずはそこにかかっているのかもしれない。</p>


8月15日、ブラジルの世界的スター、ネイマールがサウジアラビア・アルヒラルに入団することが発表された。今後、ビッグネームの「サウジ移籍」の流れは今後止まらないといわれている。その背景を追った。

C・ロナウドにネイマール…サウジアラビアが世界トップのサッカー選手「爆買い」に走りまくる深い理由

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