<figure id="attachment_328848" aria-describedby="caption-attachment-328848" style="width: 4793px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c02765ba"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/8b03c3ce38079be61f346fe3a4d296ee.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328848" class="wp-caption-text">加藤容崇氏。慶應義塾大学医学部特任助教であり、日本サウナ学会代表理事もつとめている</figcaption></figure>
<p>空前のサウナブームが続いている。全国に次々と新しい施設がオープンし、人気のサウナは順番待ちだったり入場制限などもあったりするほどだ。それほどにサウナは気持ちイイ。だが、われわれはどれだけサウナについて正しい知識を持っているだろうか。「ととのう～」とか言っていても、それがどういう状態なのか、なぜそうなるのかわかるっているのだろうか。</p>
<p>そんなサウナに関する疑問や正しい入り方などを医学的なエビデンスをもとに解説した『医者が教える 究極にととのう サウナ大全』の著者であり、医師でもある加藤容崇氏に「ととのう」とは何か、初心者でもととのう入り方について聞いてみた。</p>
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<p><span class="strongInContent">「2020年の3月に『医者が教えるサウナの教科書』という本を出したんです。その頃はちょうどコロナ禍が始まった頃で、ブームも終わってしまうのかなと思っていましたが、逆風にもかかわらず盛り上がっていったんです。ただ、ブームだからということでもないんでしょうけど、やっぱり正しい入り方っていうのは知らない人が多い。</span></p>
<p><span class="strongInContent"> 例えばブームの前は、チラーという、水を冷却する装置がある施設がほとんどなかったから、冷たい水風呂が贅沢だったわけです。以前はキンキンと言っても、14度～15度ぐらいでした。それが、エスカレートして、シングル──１桁台の水温といったように、サービスが過激になっていくんです。水風呂が冷たければ、サウナも熱くないと釣り合いが取れないので、どんどんサウナも熱くなってしまっていて、僕も見ていてちょっと危ないなと思いました。前回の著書は、サウナってこんなにいいことがたくさんあるんだよっていう紹介の本だったんですけど、今回はいいことばかりでなく、リスクも紹介しています」</span></p>
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<p>ブームということもあって、サウナに関してさまざまな情報がメディアに登場することになった。片や「痩せる」「デトックスできる」「健康に悪い」等々、いろいろなことをいろいろな人が言っていてまさに諸説紛々。そんな情報の中でさまよっている人々の不安に応える意味もあったという。</p>
<p>加藤氏自身もサウナにハマる以前は「ととのう」という言葉をスピリチュアル的なうさんくさいものだと感じていたという。ところが、教えられた通りにサウナ→水風呂→休憩×３セットという基本的な入浴法を試したところ、「脳が覚醒していて頭がスッキリしていて、でもなんかリラックス感はある。ちょっと変わった感じだなっていう感覚」だった。そのことが、サウナについて研究をはじめたきっかけだったそうだ。それでは「ととのう」とは、いったいどういう状態なのだろうか。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「ととのう」仕組みを解説！"></div>
<figure id="attachment_328849" aria-describedby="caption-attachment-328849" style="width: 4858px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2f028c3e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/b731bc993a72ce985d64762e6d1a16ed.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328849" class="wp-caption-text">サウナには毎日入るという加藤氏。帰宅時に考え事をしていて、気がついたらサウナ室にいたこともあるという</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「体にはサウナや水風呂みたいな過酷な環境に適応するための仕組みがいくつかあります。１つは自律神経です。もう１つが血中ホルモンという物質を出して体を適応させること。サウナと水風呂に入っているときは興奮・緊張時に活発になる交感神経が働いています。それが休憩のときにはリラックスしたときに活性化する副交感神経優位に切り替わるんです。そのとき、自律神経は電気活動なのでレスポンスが早くて一瞬にして変わるんですけど、ホルモンは物質なので、大体2分ぐらいかけて50パーセントぐらいの効果になるので、代謝されて効果がなくなるまでにちょっと時間がかかる。</span></p>
<p><span class="strongInContent">日常生活でこの２つがずれることはあまりありません。しかしサウナ、水風呂から休憩に入ったとき自律神経が交感神経優位から急激に副交感神経優位の状態にスイッチングすると、その勢いが急すぎて、ホルモンがまだ残存しているんですよね。興奮物質が残っている状況でリラックスするので、頭と体の感覚が乖離した状態が生まれるんです。頭はホルモンではっきりしているけど、体は副交感神経でリラックスしているっていうちょっと不思議な感覚、アスリートのゾーンみたいな感覚ですかね」</span></p>
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<p>自律神経だの血中ホルモンだのとなかなか難しそうだが、初心者が「ととのう」ためにはどうすればいいのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「まず、初心者はそもそもととのいやすいので、意識していろいろやらなくても自然とととのうから心配はいりませんよ、ということですね。むしろ、無理は禁物で、よくあるのは上級者に連れていかれて、水風呂が無理だと言っても『入ればわかる』とか言って無理やり入れられる、あれは体に悪いからやめた方がいいですね。上級者はずっとサウナに入っているから、体ができている。全然入っていない初心者とは負荷が全然違う。サウナにはあくまでも自分のペースで、無理のない程度に入ることが大事です」</span></p>
<p>加藤氏によれば、その際に&#8221;やらないほうがいいこと&#8221;が３つあるのだという。</p>
<h2><span class="strongInContent">１.時計を見ない</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「サウナ室にある砂時計や12分計とかテレビの時計を見ない。だいたいサウナ室には時計が置いてあるんですけど、何故かおじさんたちはもうちょっと最後のひと粘りみたいな謎の頑張りをする人が多い。それは危ないし全く意味がないからやめましょう」</span></p>
<h2><span class="strongInContent">２.温度計を見ない</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「ドライサウナはある程度温度が高くて、100度ぐらいあるんですけど、実は空気の熱伝導率が低いからそんなに熱く感じないんです。でもウェットサウナ── 湿度が高いサウナは低温でもかなり熱く感じるので、温度ってあんまり意味がないんですよ。昔はドライサウナしかなかったから、温度計がある程度指標になったんですけど、今は湿度の高いサウナがいっぱいあるから、全然意味がないです」</span></p>
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<h2><span class="strongInContent">３.汗の量を見ない</span></h2>
<p><span class="strongInContent">「女性で多いんですけど、こんなに汗かいたからもう体が十分温まっている、と誤解することがあります。サウナ室の中で体の表面についてる水は30パーセントから50パーセントぐらいは結露で汗じゃないんです。汗の量で満足感を得る人は結構多いんですけど、あんまりあてになりません。あくまでも体感で、ちゃんと体が温まったなと思ったら出るということが大事ですね。まあ熱くなったら出ればいいです。顔がほてりやすい人は、顔をタオルで覆うといいです」</span></p>
<p>また、決してやってはいけないことの１つが飲酒してサウナに入ることだそう。本書で加藤氏は自らを実験台にして泥酔状態でサウナに入り、体に起こった変化を書いている。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="飲酒＋サウナは本当に危険だった！"></div>
<p><span class="strongInContent">「僕は意外と大丈夫な気がしていたんです。友達や施設の人にもちゃんと言って対策をして入ったつもりでした。酔っぱらっても別に理性があれば大丈夫だと思って入ったら、とんでもなかった。ふと見ると、心拍数がすごい上がり方をしていたのに全然気がつかなかったんです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">その前に飲酒していないコンディションで極限まで我慢したら、どれくらいまで心拍数上がるんだろうというチャレンジをしていて、その時はすごくしんどくて出たんです。ところが、そのときの心拍数よりも上がっていたので、本当に危ないなと自覚しました。入ろうと思えばまだまだ入れたので、これは死んじゃいます。フィンランドのサウナ室内での死亡事故の8割～9割が飲酒関連と言われる理由がよくわかりましたね」</span></p>
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<p>加藤氏はデバイスを使ってさまざまな状況での心拍数の変化や時間などを計測してきた。そのデータは本書にも収録されているが、結局は人によって脈拍の上がり方、下がり方や交感神経、副交感神経のパターンなども差が大きく、一概にどういう入り方をすればいいのかは言えないという。</p>
<p><span class="strongInContent">「一般的なルールを把握しながら、それを鵜呑みにして順守するというのではなく、個人個人で自分の体調とか体質に合わせてカスタマイズして、自分に合った入り方を模索するのが大事。10分って言ったら、もう意地でも10分以上入るおじさんもいるじゃないですか。そうじゃなくて、あくまでも10分っていうのは目安だから、それをベースにして、自分にとっての最適な入り方を模索してほしいなって思います」</span></p>
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<figure id="attachment_328862" aria-describedby="caption-attachment-328862" style="width: 665px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0ca77b5a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/d9747508141c997716fff05ac74b37d2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328862" class="wp-caption-text">意外に知らないサウナ室や水風呂のマナーも解説（『医者が教える 究極にととのう サウナ大全』ダイヤモンド社刊　より引用　©ヤギワタル）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_328851" aria-describedby="caption-attachment-328851" style="width: 2052px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="29653ab3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/a5c891beefca31594a1a82dc50b2930c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-328851" class="wp-caption-text">いろいろな入り方でととのい方はどう変わるか、自身で入って実験したデータも収録されている（『医者が教える 究極にととのう サウナ大全』ダイヤモンド社刊　より引用）</figcaption></figure>
<p><a href="#" data-ident_hash="7cb23886"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/68757f7aff60aa268c132882d7a396c7.jpg" alt=""></a></p>


濱崎慎治

ブームがまだまだ続くサウナ。「ととのう」とはどういうことなのか、どうするのが正しい入り方なのか、サウナにハマり、研究してきた医師が医学的エビデンスに基づいて解説。

「ととのうってなに？」サウナ大好き医師が教える医学的エビデンスによる”正しいととのい方”とは？

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