<figure id="attachment_329956" aria-describedby="caption-attachment-329956" style="width: 2069px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b46d3915"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/c444019f6943f981c8ccddcda7a328f1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-329956" class="wp-caption-text">社長辞任が確実視されている藤島ジュリー・ジャニーズ事務所社長だが……（オフィシャルHPより）</figcaption></figure>
ジャニーズ事務所の前社長ジャニー喜多川氏（’19年没、享年87）の性加害問題を調査していた外部専門家の「再発防止特別チーム」（座長・林真琴前検事総長）は８月29日、都内で記者会見して、ジャニー氏が長年にわたって数百人のジャニーズJr.に対して性加害を繰り返していたと事実認定した。
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同族会社の弊害などにより隠蔽されてきたと指摘したうえで、ジャニー氏の姪である藤島ジュリー景子社長の辞任や、被害者への謝罪と補償を提言。さらには、
「ジャニーズJr.の間ではジャニー氏から性加害を受ければ優遇され、拒めば冷遇されてしまうという認識が広がっていた、という供述が得られた」
「一連の性加害はジャニー氏が、こういった被害者の心情に付け込んで行っていた」
とジャニー氏の〝性加害の構造〟を指摘した。
また、ジャニー氏の姉で前・副社長のメリー喜多川氏（’21年没、享年93）の対応についても、
「メリー氏はジャニー氏の性嗜好異常による少年たちへの性加害が続いていることを知りながらも、ジャニー氏の行動を止めるのを断念し、結果として放置する形になり、外部に対してはジャニー氏を守るために徹底的な隠ぺいを図ってきたものと考えられる。このようなメリー氏の行為が被害の拡大を招いた」
と言及。さらに謝罪動画で
「知りませんでした」
と言っていたジュリー氏については
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「暴露本の出版や週刊文春の特集記事を認識していたことなどに照らせば、ジャニー氏によるジャニーズJr.に対する性加害の疑惑について認識していたと認められるが、性加害の事実を調査するなどの積極的な対応はしていなかった」
と指摘。そのうえで、
「今後ジャニーズ事務所が解体的な出直しをするためには、経営トップである代表取締役社長を交代する必要がある」
とジュリー社長の辞任を提言した。
<div data-friday-nextpage-lead="警察が動かなかったワケは……"></div>
「特別チーム」が、ジャニー氏の性加害の実態を明らかにして事実認定したことや、メリー喜多川前副社長、藤島ジュリー景子社長の問題にも踏み込んで、被害者の具体的な救済策などをきめ細かく提言したことは評価される。
いずれにしても
「未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾をしたり、キスをしたり、体を愛撫したり、また性器をもてあそび、口腔性交を行ったり、あるいは肛門性交を強要するなどの性加害を行っていた」
との行為は、明らかに強制わいせつや不同意性交にあたる重大な犯罪行為である。
にもかかわらず、なぜ捜査当局が捜査しなかったのか。
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調査チームの座長の林真琴氏は前検事総長だけに、捜査当局もジュリー氏が性犯罪を見過ごし被害を拡大させた一因となった前代未聞のこの問題について言及すべきだったのではないか。
英国ではBBCの人気番組の司会者で’11年に84歳で亡くなったジミー・サビル氏が、’55年から’09年にわたって450人の主に子供に対して性的虐待をしていた疑いがあることを、ロンドン警視庁と全英児童虐待防止協会が合同で調査し、サビル氏の死後の’13年に報告書を発表したという。
被害者に対する金銭的補償だけでなく、英国のロンドン警視庁がサビル氏の死後に行った調査・報告のように、捜査当局が「再発防止特別チーム」の協力も得て、ジャニー氏の性加害を捜査し書類送検するなど記録として残し、再発防止の一助にするということがあってもいいのではないか。
ジャニー氏の性加害の中にはまだ時効が成立していないものもある可能性が指摘されているだけになおさらだ。
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そしてもう一つは、国連人権理事会『ビジネスと人権』作業部会が８月４日に都内で記者会見して、ジャニー氏の性加害を調査した結果について発表し
「被害者を、政府が主体的に、謝罪であれ金銭的な補償であれ、救済する必要がある」
と提言していたが、「特別チーム」の報告書では、その
「政府の主体的取り組みの必要性」
についても言及されなかった。
国連の作業部会の発表を受けて、松野博ー官房長官は当時、記者会見で
「（性加害は）あってはならないこと」
と当たり前の一般論を述べ、
「（国連作業部会の勧告は）法的強制力はない」
と発言。門前払いしたのである。
ここまで大きな社会問題になっているジャニー氏の性加害について政府としても調査するなり、国会で議論するなどして、被害者の救済について政府の見解を発表するなどはあってしかるべきで、政府は防衛費倍増には積極的だが、人権問題には消極的といわれても仕方がない。
立憲民主党は、被害者のジャニーズJr.らのヒアリングを行い、現行の児童虐待の防止に関する法律が、保護者による行為と定義していて、第三者による虐待は児童虐待防止法の対象にならないという不備について改正することを提唱しているが、いまだに実現していない。
性被害を告白した元ジャニーズJr.の石丸志門さんらは８月30日、立憲民主党が国会内で開いた会合に出席して
「国と事務所と当事者の会が三位一体にならないと、真の被害者救済はできないのではないか。国の関与は絶対必要だ」
と訴えた。この声に政府も耳を傾けるべきではないだろうか。
ジャニーズ事務所は７日に記者会見することを発表したが、ジュリー社長の去就も含めてどんな取り組みを明らかにするのか注目される。

Webマガジン『PlusαToday』を始め、芸能、映画、ハリウッド情報などの記事を執筆。日本映画ペンクラブ会員

阪本 良（ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長）

ジャニーズ事務所が依頼した「性加害再防止特別チーム」は、ジャニー喜多川氏の性加害の認定はもちろんのこと、ジュリー藤島社長の辞任まで提言したものの、〝触れなかった〟部分とは……

ジャニーズ性加害〝再防止特別チーム〟が「刑事事件化」「政府の取り組み」に言及しない不作為さ

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