幼児が「大統領のために!」とダンス…プーチンが進める愛国教育「軍用ドローン操縦も」戦慄の授業内容
〈西側諸国はナチズムを美化しようとしている。それを隠そうとゼレンスキー氏をウクライナ大統領に据えたのだ〉
9月5日に放送されたロシアの国営テレビのインタビューで、プーチン大統領はこう欧米の態度を批判した。ネオナチ勢力から迫害を受けている、ウクライナに住むロシア系住民を守るために軍事作戦を行っていると主張。自ら起こした戦争を正当化したのだ。
こうした考えはメディアを通じて流されるだけではない。9月1日に新学期を迎えたロシアでは、各校で愛国教育が進められている。
「同日に首都モスクワで成績優秀な児童30人を集めた公開授業で、プーチン大統領は次のように語っています。〈大祖国戦争(第二次世界大戦中のドイツとの戦い)に勝てたのは国民の偉大さのためだ。私たちは昔も今も無敵だ〉と。
新学期の授業からは10年生と11年生(日本の高校生)に、新しい歴史の教科書が導入されました。中には〈ウクライナは数世代にわたりネオナチの思想に洗脳されている〉〈西側諸国はウクライナを操りロシアに不当な制裁をしようとしている〉と。教科書内でプーチン大統領は、英雄的な存在として紹介されています」(全国紙モスクワ駐在記者)
「大統領のために! ウラ~!」
プーチン大統領を絶対化し、子どもたちにロシアへの愛国心を煽るだけではない。
「10年生と11年生は『基礎的な軍事訓練』も教わります。自動小銃カラシニコフや軍用ドローンの操縦法などです。手榴弾の投げ方も……。退役軍人なども授業に参加する予定で、戦前の日本の軍事教育を彷彿とさせます」(同前)
高学年の生徒だけではなく、幼児も先鋭化した教育を受けている。
「低学年の校内や幼稚園に溢れているのが、勝利を表す『Z』の文字です。子どもたちは『Z』と書かれたシャツを着て、愛国歌『進めロシア』を熱唱。ロシアの国旗を持って『Z』の人文字を作り、プーチン大統領を讃えるダンスを踊っています。教師が『プーチン大統領とともに戦いましょう!』と声をかけると、子どもたちがこう叫ぶんです。『大統領のために! 国家のために! ウラ~!(万歳!)』と。
生徒に配られているのは『平和の守護者』と題したビデオ教材です。内容は、女児がウクライナへの『特別軍事作戦』について質問するというモノ。西側諸国が報じた、ロシア軍によるウクライナ市民への攻撃は『フェイク(嘘)だ』と断じているんです」(同前)
偏った教育により、子どもたちを都合の良い大人に育てようとするロシア当局。その傾向は日に日に強まっている。




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