プリゴジン氏は演説から2日後に…プーチン大統領の強権統治 で有力者を次々と「戦慄の犠牲者リスト」 | FRIDAYデジタル

プリゴジン氏は演説から2日後に…プーチン大統領の強権統治 で有力者を次々と「戦慄の犠牲者リスト」

盟友・プリゴジン氏の爆殺はやはり「見せしめ」か。軍幹部、企業トップらが次々と命を奪われていく。ウクライナ侵攻後だけで40 人以上

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プリゴジン氏が搭乗していたとされるプライベートジェット機から運び出された乗客の遺体(ワグネルのテレグラムチャンネルより)
プリゴジン氏が搭乗していたとされるプライベートジェット機から運び出された乗客の遺体(ワグネルのテレグラムチャンネルより)

「ワグネルはここアフリカで偵察と捜索活動を行っている。ロシアをすべての大陸でさらに偉大にし、アフリカをさらに自由にする!」

民間軍事組織・ワグネルの創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏(62)が、アフリカとみられる場所から力強く演説してからわずか2日あまりのことだった。

8月23日、プリゴジン氏らワグネルの幹部3人を乗せたプライベートジェットが飛行中に爆発・墜落。乗客全員が死亡したとロシア当局が発表した。

プリゴジン氏は、ウクライナ戦線前線での装備不足についてロシア軍上層部を痛烈に批判。6月24日にワグネルを率いて首都モスクワから200Kmあまりの地点まで進軍した「プリゴジンの乱」を起こした後、隣国ベラルーシに逃亡。動向が注目されていた。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が語る。

「ロシア政府による暗殺説がささやかれていますが、間違いなくプーチン大統領(70)の意図が働いているはずです。反乱後すぐに命を狙われてもおかしくなかったのですが、2ヵ月が経過してから命を落とすことになったのは、プーチン大統領が彼を泳がせていたからでしょう。

大統領が何より警戒しているのは、自らに関する機密情報の漏洩です。プリゴジン氏がどのような人物と接触しているかを2ヵ月間で洗い出し、これ以上泳がせる必要がないと判断して手を下したのでしょう」

プーチン政権下ではこれまでも、政府に歯向かった人物が何人も命を奪われている。昨年2月のウクライナ侵攻後、「その傾向はさらに強まった」と言うのは、国際ジャーナリストの山田敏弘氏だ。

「’22年2月24日にウクライナへの軍事侵攻を始めた直後から、ロシア国内の有力者40人以上が不審な死を遂げています。全員がプーチン大統領に近いか、あるいはウクライナ侵攻を批判したという共通点があります。大統領から邪魔だと思われていた人物が、ウクライナ侵攻による国内の混乱に乗じて殺害された可能性も否定できません」

下は、ウクライナ侵攻後に命を落とした主な有力者たちのリストだ。「オリガルヒ」と呼ばれる’90年代以降に富を築いた新興財閥の幹部やマスコミ関係者、国家公務員まで多岐にわたるが、いずれも死に方が不自然だ。例えば、セルゲイ・プロトセーニャ氏(下段左から2番目)は、スペインの邸宅で首を吊って死亡しているところを発見された。

妻・子供も刺し傷のある状態で遺体が見つかっている。バシリー・メルニコフ氏(下段右から2番目)、ウラジスラフ・アバエフ氏(上段右端)らも、家族と共に命を落とし、ラビル・マガノフ氏(中段右から2番目)は心臓病とうつ病で入院中の病院の窓から転落死しているのだ。

暗殺の手口について、筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が補足する。

「ロシアといえば旧ロシア帝国以来、毒物の使用が暗殺の常套手段でした。プーチン大統領自身も毒殺を警戒。外遊先で出される食事に手を付けないこともしばしばあります。また、近年の傾向としては『あえて証拠を残す』例が増えています。

政府関係者でなければ入手できない銃を遺体の横に置いておくなどし、国の関与をほのめかすのです。プーチン大統領に歯向かうとどうなるか、見せしめにする狙いもあります。企業幹部が特に多いのは、彼らがウクライナとの戦争による経済制裁を嫌がり、戦争への協力を渋ったことが一因でしょう」

要人ですら、生殺与奪権はプーチン恐怖政権が持つ。独裁政治が続く限り、ウクライナに安息の日が訪れることはない。

2023年8月 爆殺
エフゲニー・プリゴジン ワグネル創設者

プーチン大統領がかつて所属したKGBの流れを汲むFSBという組織が暗殺の実行役を担う
プーチン大統領がかつて所属したKGBの流れを汲むFSBという組織が暗殺の実行役を担う

ウクライナ侵攻後、死亡が確認された主な有力者たち

上段(右から)
2022年4月《銃殺》ウラジスラフ・アバエフ【ガスプロムバンク元副社長】
2022年5月《銃殺》ウラジーミル・リャキシェフ【レストランチェーン共同創業者】
2022年9月《窒息死》ウラジーミル・スンゴルキン【新聞紙編集長】
2022年5月《毒殺》アレクサンドル・スボチン【ルクオイル元幹部】

中段(右から)
2022年9月《ボートから転落》イヴァン・ぺチョーリン【極東・北極圏開発公社幹部】
2022年9月《病院から転落》ラビル・マガノフ【ルクオイル会長】
2022年5月《崖から転落》アンドレイ・クルコフスキー【スキーリゾート経営者】
2022年9月《階段から転落》アナトリー・ゲラシチェンコ【モスクワ航空研究所元所長】

下段(右から)
2023年5月《飛行機内で急死》ピョートル・クチェレンコ【ロシア科学・高等教育省次官】
2022年3月《刺殺》バシリー・メルニコフ【メドストム元幹部】
2022年4月《スペインの邸宅で首吊り》セルゲイ・プロトセーニャ【ノヴァテク元副会長】
2023年1月《交通事故》ゴメド・アブドゥラエフ【ダゲスタン共和国ナンバー2】

『FRIDAY』2023年9月15・22日号より

  • PHOTO共同通信社(プーチン) 企業・役所ホームページより(リスト)

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