<figure id="attachment_331709" aria-describedby="caption-attachment-331709" style="width: 2089px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4213a529"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/32a0b31192429988c7683e4d062f44d0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-331709" class="wp-caption-text">ラグビー経験者の岡田准一。W杯初戦・チリ戦では生中継したNHKのゲストとして登場し、元日本代表・五郎丸歩氏にも質問していた（PHOTO：近藤裕介）</figcaption></figure>
9月17日（日）、ラグビーワールドカップ（Ｗ杯）フランス大会に参戦中のラグビー日本代表（世界ランキング14位）は、予選プール2戦目でイングランド代表（同6位）にチャレンジする。現在、Ｗ杯の予選プールで7連勝中の日本代表が、もし勝利すれば決勝トーナメント進出に大きく前進する一戦である。
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ただ｢ラグビーの母国｣イングランド代表は、北半球で唯一優勝経験のあるチームであり、前回大会も準優勝の世界的強豪であり、過去の対戦成績は日本代表の0勝10敗と一度も勝利することができていない。そんな伝統的にフィジカル、セットプレーに強みを見せるイングランド代表FWの中心選手の一人がLO／FLマロ・イトジェ（28歳）である。
イトジェといえば、昨年9月に放送されたTBS系列の『モニタリング』で、ラグビー経験者の俳優・岡田准一が｢この世界で一番会いたい人は？｣と聞かれて、｢僕はマロ・イトジェ」と即答したラグビー選手である。岡田はイトジェについて｢強くて速くてタフで賢い。イングランドの至宝｣と説明した。
文武両道で知られるイトジェは、ラグビー面では「スーパーマロ」の異名を持つ、世界のラグビーシーンの中でも身体能力に優れた選手である。
両親ともにナイジェリアからの移民で、少年時代はラグビー以外にもサッカーもプレーしており、陸上の短距離200mではイギリスの世代トップレベルで、バスケットボールや砲丸投げではU17イギリス代表経験も持つ。
2014年はU20イングランドの代表のキャプテンとして、U20世代の世界大会で優勝に大きく貢献した。強豪クラブであるサラセンズに入ると、当時現役だったLOスティーブ・ボーズウィック（現イングランド代表HC）の指導を受けて成長し、19歳でプロデビューを果たした。
そして2016年のシックス・ネーションズ（欧州強豪6ヵ国対抗戦）に、当時イングランド代表を率いていたエディ・ジョーンズHC（現オーストラリア代表HC）は、次のように話し21歳で初招集した。
「ラグビーにはいわゆる学術的な賢さより世渡り上手なスマートさが成功には必要だ。マロ・イトジェよりタフなロックはたくさんいるし、テストラグビーではタフでなければいけない。しかし私は彼ほど天賦の才に恵まれたロックを見たことがない。特別な選手になるポテンシャルを持っている」
その年のイタリア代表戦で初キャップを獲得し、ワールドラグビー最優秀新人賞に輝くと、イングランド代表のFWの中心選手としてポジションを獲得し、代表キャップは70を超える。そして2019年のW杯日本大会でも中心選手としてイングランドの準優勝に貢献した。
当然、2023年大会も2度目の優勝を目指すイングランド代表に選出され、身長195cm、体重115kgながらFLとしてもプレーできるように、運動量、フィジカル、さらに空中戦でも強みを見せている。
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<figure id="attachment_331720" aria-describedby="caption-attachment-331720" style="width: 3208px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4ea8d541"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/12bc4fc3e3c2d854f6a74f35f796d387-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-331720" class="wp-caption-text">195㎝、115㎏とは思えない軽快な走りを見せるイトジェ（写真：アフロ）</figcaption></figure>
そんなイトジェは、ラグビー以外にもその才能を遺憾なく発揮している。子どもの頃、黒いタートルネックセーターを着ていたら友人に「黒真珠みたいだな」と言われたことをきっかけに、自分の愛称を「パール」とした。3人兄妹の真ん中として育ち、ナイジェリア系の両親ともに修士号を持つという教育熱心な家庭で育った。
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障害者学級の教師だった父は「成績が落ちたらラグビーを辞めさせる」という条件で競技を続けることを許可したという。12歳で奨学金を得て、名門寄宿制学校ハロウ・スクールに入学した。サラセンズでプロのラグビー選手になることが決まってからも、競技と平行して学業を続けた。
｢ポッドキャストはよく聞くけどテレビはあまり見ません。チームメイトはみんなフォートナイトをやっているけど僕はゲームをしません。小さい頃から、両親に教育の大切さを教えられて育って、ラグビーのキャリアが終わった後のことも考えて大学でも勉強を続けています。自分の勉強とラグビーは同じ価値があると考えています。ラグビー以外の時間はぜんぶ勉強していて今でも10時半には寝ています｣（イトジェ）
大学はイギリストップクラスの大学で高級官僚などを輩出することで有名なロンドン大学東洋アフリカ研究学院（SOAS）に進学し、アフリカ諸国への海外援助とその発展の関係について研究し、卒業論文を書いた。卒業式は　ブリティッシュ＆アイリッシュライオンズ遠征に参加するため、1年遅れだったが、しっかりと出席。また卒業後も勉強を続けており、今年MBAも取得した。
兄は大手金融IT企業に勤め、妹はDV被害を受ける女性の支援活動を行なっている。イトジェ本人も政治に強い関心を持っており、現在でもSNSなどを通じて自分の意見を積極的に発信している。今年、アフリカの子どもたちの教育を支援する「パール・ファンド」を立ち上げるなどの活動も始めている。
また身長195cmの身長を活かして、｢ラルフローレン｣｢マークス＆スペンサー｣などのモデルとしても活動している。「会いたい人」として即イトジェの名前を挙げた岡田は、ラグビー選手としての実力のみならず、学業やモデルをまっとうするためにひたむきに努力している姿にも惹かれたはずだ。
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イングランド代表は、大会直前、1勝3敗と調子を落としていたが、｢チームが困難なことを経験すればするほど結束は高まっている。（チームとして）特別な何かを成し遂げて、その一員になりたい｣とイトジェが話していた通り、2023年Ｗ杯初戦で、イングランド代表は開始早々にレッドカードでFWが一人少ない劣勢となったがアルゼンチン代表に27－10と勝利し、2度目の栄冠に向けて好スタートを切っている。
ラグビー日本代表が｢母国｣イングランド代表を打倒し、ベスト8に大きく近づくには、文武両道を地でいく｢スーパーマロ｣を止めることが欠かせない！
<figure id="attachment_331712" aria-describedby="caption-attachment-331712" style="width: 5284px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6bc9ea84"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/81ebd84a559480078231d2d840e1d1d4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-331712" class="wp-caption-text">欧州強豪6ヵ国対抗戦・アイルランド戦で相手に襲い掛かるイトジェ</figcaption></figure>

1975年生まれ。ラグビー、サッカーを中心に、雑誌やWEBで取材、執筆するスポーツライター。「DAZN」のラグビー中継の解説も務める。W杯は2019年大会まで5大会連続現地で取材。エディ・ジョーンズ監督率いた前回の日本代表戦は全57試合を取材した。近著に『ラグビー語辞典』（誠文堂新光社）、『ラグビー観戦入門』（海竜社）がある。自身も高校時代、タックルが得意なFBとしてプレー

斉藤健仁

近藤裕介（岡田准一）

俳優・岡田准一が昨年9月、テレビ番組内で「世界で一番会いたい人」として即答した人物がいる。その男はラグビー日本代表が18日に挑むイングランド代表のFWのキーマンだった。果たしてどんな人物なのか。

ラグビー経験者の岡田准一が「この世界で一番会いたい人」にあげたイングランド代表LOイトジェとは…

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