「今のメンバー知らない」と言われても…記念コンサートは3万人動員!「ハロプロ」継承と進化の25年 | FRIDAYデジタル

「今のメンバー知らない」と言われても…記念コンサートは3万人動員!「ハロプロ」継承と進化の25年

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ハロプロの25年は、“継承と進化”の25年である。

モーニング娘’23やアンジュルムJuice=Juiceつばきファクトリーらを擁するハロー!プロジェクトは、25周年を迎えた。

太陽とシスコムーンメロン記念日、松浦亜弥、Berryz工房、°C-ute、真野恵里菜、こぶしファクトリー……25年のうち卒業したアーティストや解散したグループやユニットがあれば、BEYOOOOONDSOCHA NORMAといった新グループも数年ごとに誕生、世代交代と各グループ・タレントごとの個性を際立たせ、ハロプロ全体で常にフレッシュな状態をキープさせながら新陳代謝を繰り返してきた。

継承というと、たとえばモーニング娘。最大のセールスを記録した大ヒット曲「LOVEマシーン」。当然当時のメンバーは現在誰も在籍しないが、現役のモーニング娘。’23まで歴代のメンバーに歌い継がれ、時にはupdated版など時代に合わせて再アレンジされたりもしてきた最重要曲のひとつであることは言うまでもない。

“○期”と銘打ち新メンバーを投入、’14年からはグループ名に西暦の下二桁を追加、卒業と加入を繰り返しながら最新メンバーの17期までグループの歴史を長く紡ぐシステムを女性グループアイドル界に定着させたこともアイドルの歴史上とても大きい。これは男性アイドルが年齢を重ねながらアイドルとしての活動を継続できてきたいっぽうで一定の年齢までで卒業、解散となってしまってきた女性アイドルならではの事情から生まれたシステム、継承する宿命といえるのかもしれない。また、メンバーの入れ替えをせず無期限活動休止という道を選んだBerryz工房、そのスピリットを受け継ぐというかたちで結成された、こぶしファクトリーつばきファクトリーという継承パターンも存在した。

モーニング娘。1期・2期メンバーの7人(PHOTO:共同通信)
モーニング娘。1期・2期メンバーの7人(PHOTO:共同通信)

「今のメンバー知らない」と言われる中遂げた独自進化

新たなグループやメンバー、楽曲。それから数多くの受け継がれた“遺産”たち。それらが「ハロプロ」という箱の中で複数のグループによって共有され、年に数回開催されるハロプロ全体が参加するコンサートやイベントなどでは、グループの垣根を越えたシャッフルユニットが時代を超えた楽曲を披露し、よく知る曲やメンバーに新たな魅力を発見することもある。そのような形で継承しながら常に進化を続けられるのはハロプロの魅力のひとつだ。

ダンスミュージック、ロック、ポップス、ファンク、歌謡曲、時にはクラシックの要素も……さまざまな音楽ジャンルがごった煮のように取り込まれたバリエーションゆたかな楽曲、’14年まで総合プロデューサーをつとめたつんくが土台を作った宇宙規模の大きな愛と女の子の身近でリアルな心情が同居する世界観、最新の流行のEDMの要素などを取り入れたりしつつも個性的な空気をかもし出すハロプロ以外ではあまり遭遇しないタイプの楽曲やパフォーマンス、ビブラートやしゃくりなど一部で“ハロプロ歌唱”と呼ばれることもある歌い方、それらは時に“ハロプロ感”といった表現をされることもある。

いっぽう地上波テレビでの露出度などを売れている基準、人気者の条件とする見方も現代まで残るため、時折大型音楽特番などにモーニング娘。やハロプログループが出演した際に、「まだやってたんだ」「今のメンバー一人も知らない」と言われたり、前記したような現役メンバーによる過去の代表曲パフォーマンスが「LOVEマシーン保存会」などと言われることもある。

しかし、だ。現在もCDはそれぞれコンスタントな売り上げを記録し、コンサートはアリーナ、武道館クラスでの開催も珍しくない。近年は大規模ロックフェスなどに出演し、特にモーニング娘。が’19年に披露した40分間ノンストップのパフォーマンスは多くのロックファンを圧倒し、「体力お化け」と評されることもあった。コロナ禍以前は全国のライブハウスをめぐるツアーも積極的に開催し、至近距離での迫力あるパフォーマンスも披露してきた。歌割りやメンバー抜擢などに表れる実力主義的側面、つんく♂らが作り出す楽曲の16ビートへの徹底的なこだわり、一糸みだれぬフォーメーションダンスと個性派ダンスの共存、「技のハロプロ」とでも呼ぶべきスキルに憧れスキルを磨き必死でついていき追いつけ追い越せという、体育会的DNAの継承。それでいてコメディタッチなフレーズや寸劇要素といった、ちょっとトンチキな要素とのバランス……それらを各グループがそれぞれの個性のもとにまとい育てていくことで、「流行り物」ではなく、ハロー!プロジェクトは他のどこにもない“ハロプロ感”を持つ集合体へと独自進化を遂げた。

メンバーも商品開発に関わったGUと現役6グループとのハロプロ25周年記念のコラボは話題を集めた(PHOTO:株式会社ジーユー・プレスリリースより)
メンバーも商品開発に関わったGUと現役6グループとのハロプロ25周年記念のコラボは話題を集めた(PHOTO:株式会社ジーユー・プレスリリースより)

女性やアイドルが憧れる「ハロプロ」

25年の歴史の流れの中、ハロー!プロジェクトのファン層の女性率の増加も見のがせない。コンサートやイベント会場ではいまや圧倒的に女性ファンのほうが多いことも珍しくなく、女性ファッション誌の表紙やグラビアをモーニング娘。やアンジュルムのメンバーが飾る。松岡茉優や蒼井優、菊池亜希子、でか美ちゃんなど、ハロプロ好きを公言する女性有名人も多い。現役アイドルの中にもハロプロに憧れるアイドルは多く、ライブアイドル界隈では現在でもBuono!の「初恋サイダー」などハロプロ曲がカバーされることも多く、アイドルが憧れるアイドル、“アイドルズ・アイドル”的な存在ともなっている。

もちろんずっとファンを継続してきた女性も少なくないが、幼いころにモー娘。や派生ユニット「ミニモニ。」にハマっていたことを懐かしく思い出しながらも「今のハロプロってこんなにカッコいいんだ」とそのレベルの高さに衝撃を受け戻ってくる人がいたり、親子2代でハロプロファンだったり、なかにはその影響で憧れを強めオーディションを受けるパターンも。これもまた、ひとつの継承のかたちだろう。

新しいグループや新加入メンバーが常に供給でき、しかも一定以上のクオリティのパフォーマンスを提供できるのは、各種のオーディションと並行して次世代を担う人材、未来のスターを育成する研修生システムが確立され、基礎をしっかり学ぶことができる点も、ハロプロの進化と継承の歴史を続けさせてきたひとつの大きな要素だ。来年デビューが発表されている7人組「ハロプロ研修生ユニット’23」をはじめ、多くの研修生が学ぶ。近年のハロプロメンバーのスキルの高さは、研修生期間に基礎をしっかり学べるところにもあったりするだろう。

そしてそこから誰が選ばれるのか、デビューまでに、またはデビュー後に思わぬ成長をとげるメンバーも多く、それを見守る、発見する楽しさも25年間の歴史あってのもの。時に、「ハロプロは人生」と語られることもある。それはきっと、歴代ハロプロメンバー、スタッフ、そしてハロプロファンが、先にのべた「宇宙規模のでっかい愛」をもって繋ぎ続けてきたからだ。

“ハロプロ感”とは、すでにある意味伝統芸能の演目的側面を持つものになっているのかもしれない。そう考えると、「保存会」と呼ばれるような継承はごく当たり前のこと、必然なのかもしれない。

’24年に予定されるデビューに向け成長中、ハロプロ研修生ユニット’23。(PHOTO:TBS ラジオ・プレスリリースより)
’24年に予定されるデビューに向け成長中、ハロプロ研修生ユニット’23。(PHOTO:TBS ラジオ・プレスリリースより)

25周年コンサート開催、どの時代も全てが「ハロプロ」

9月9、10日。ハロー!プロジェクトの25周年を記念するコンサート 「Hello! Project 25th ANNIVERSARY CONCERT」が東京・代々木体育館で開催され、2日間3公演で3万人を動員した。

公演には中澤裕子保田圭矢口真里石川梨華辻希美高橋愛道重さゆみ田中れいなといったモーニング娘。のOGをはじめハロプロ卒業生たちが一挙集結し現役ハロプロメンバーとコラボパフォーマンスを連発、まさに25年ぶんの“継承と進化”がそのままひとつの形となって現れたかのような空間となった。

10日夜の公演を終えたあと、元モーニング娘。の道重さゆみは、自身のSNSでこう投稿していた。

<自分が見てきたハロプロ、経験してきたハロプロ、今のハロプロ、全て大切で、やっぱり大好きだと思いました。>

メンバーは変わってもハロプロの中に流れるハロプロ感はどの時代も変わらず、きっとこの先も進化しながら受け継がれていく。

  • 太田サトル

    ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。

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