<figure id="attachment_333196" aria-describedby="caption-attachment-333196" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="da393b6c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/8a4dd3e54b9d81231063bd5162f6b060.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333196" class="wp-caption-text">広い売り場面積の必要なホームセンターは郊外で発展してきた。一方、都心進出を目論む企業も散見される</figcaption></figure>
<p>都心の一等地に立つ恵比寿ガーデンプレイスに、ホームセンターがオープンしたのは昨年11月のことだ。その名も「ＤＣＭ ＤＩＹ ｐｌａｃｅ」。買い物だけでなく、壁紙の張り替えやペンキ塗りを体験できるブースが設置されている。</p>
<p><span class="strongInContent">「角をむらなく塗るのは難しい……」</span></p>
<p>９月上旬にＤＩＹ ｐｌａｃｅを訪れた本誌記者もペンキ塗りを体験。賃貸マンションでもできる「手軽なリフォーム」としてシャワーヘッドの交換をすすめられた記者は帰宅後すぐ、風呂場のシャワーヘッドを、約30％の節水が見込める「ＤＣＭプレミアムシャワーヘッド」（３８２８円）に付け替えた――。</p>
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<p>ホームセンター業界は現在、４兆円を超える巨大市場となっている。「ホーム」の名の通り、住宅関連のものなら何でも揃うというのが由来だ。流通ジャーナリストの石橋忠子氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「コロナ禍で在宅時間が増え、家庭用品や住まいを快適にするための需要が増加し、’20年は各社、売り上げを伸ばしました。その後、反動で一時需要減となり、現在は復活途上という段階です。巣ごもり需要が落ち着いた今、各社キッチン用品や生活雑貨の販売に力を入れて、女性客の取り込みを図っています」</span></p>
<p>現在業界１位に君臨しているのが、群馬県発祥の「カインズ」だ。スーパーのベイシア、作業服のワークマンと小売業の一大グループを形成している。</p>
<p>ホームセンターは本来、郊外に強いビジネスモデルだったが、カインズは都心に出店する東急ハンズ（現・ハンズ）と手を組むことで一気に都心部へと進出した。石橋氏が続ける。</p>
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<p><span class="strongInContent">「’21年に発表されたカインズの東急ハンズ買収は、企業合併全体を見てもトップクラスの成功事例です。渋谷や新宿の中心という、今からではとても出店できないような一等地を押さえられたわけですから」</span></p>
<p>都心の店舗の代表格である新宿・タカシマヤ タイムズスクエア８階のカインズ ハンズ新宿店を訪れると、30代と思（おぼ）しき女性二人が談笑しながら買い物をしていた。お目当てはカインズのプライベートブランド（ＰＢ）のキッチン用品のようだ。「取っ手が邪魔にならない冷水筒」（980円）、「先がつかないお玉」（398円）といったアイデア商品をカゴに入れ、「主婦の気持ちをよくわかってるよね」と嬉しそうに帰っていった。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「西の雄」の躍進"></div>
<h2>「西の雄」の躍進</h2>
<p>業界２位は冒頭で紹介した「ＤＣＭ」。’06年にホーマック、ダイキ、カーマの３社が経営統合して誕生した。’17年には関東近郊に強いケーヨーも関連会社化した。</p>
<p><span class="strongInContent">「経営統合後しばらくはカインズを抜き、１位の座を奪いましたが、’19年度から再び首位をカインズに明け渡しています」（小売り・流通アナリストの中井彰人氏）</span></p>
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<p>実は、ＤＣＭは３社が経営統合した際、どの会社が決定権を持つか決めることもなく、それぞれが個別に事業会社を展開していた。それゆえ経営判断が遅いという欠点があった。</p>
<p><span class="strongInContent">「’21年に事業会社を『ＤＣＭ』１社に統合したんです。仕入れやシステムも統合されたため、経営のスピードは上がったと思います。恵比寿ガーデンプレイスへの出店など、攻めの判断も目立つようになってきました」（消費経済ジャーナリストの渡辺広明氏）</span></p>
<p>ホームセンターは、地域による売り上げの違いが顕著に出る業界だ。降雪にかかわる雪かき需要が上乗せされるため、「東高西低」だといわれている。</p>
<p>そんな中、西日本で気を吐いているのが大阪に本社を置く「コーナン」だ。その戦法はかなり独特である。</p>
<p><span class="strongInContent">「リフォーム需要が高まるであろう住宅街を狙って出店しています。ゼネコンと違い、中小の工務店や町のペンキ屋は、ホームセンターで資材を調達します。そこに注目したのがコーナンＰＲＯという業態です。大容量のペンキやプロ仕様の大きめの資材に特化している。ＰＲＯだけで売り上げの４分の１近くを占めていて、工務店需要では独り勝ち状態です」（前出・渡辺氏）</span></p>
<p>同じく、特定の購買層に特化することで成功しているのが「コメリ」である。「農家のコンビニ」の異名のごとく、沖縄を除く46都道府県に小規模店舗を大量に出店する戦略をとっている。前出の中井氏が解説する。</p>
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<p><span class="strongInContent">「特筆すべきは、農協と直接提携していて、物販部門を引き受けている点です。資材販売が機能不全に陥っている農協が多い中、ニーズを一手に担っています。農業の盛んな地域を押さえているため、他社と違って無理に都心出店や女性需要を考えなくていいのも強みでしょう」</span></p>
<p>他業種と手を結ぶことで存在感を示している企業もある。家具販売大手のニトリのグループ企業となった「島忠」がその代表格だろう。もともと家具屋としてスタートした企業のため、親和性が高い経営統合でもあった。</p>
<p>島忠の店舗を訪れると、脚立やバケツといった島忠のＰＢ商品が並ぶ横に、ニトリ製品が並んでいた。「こたつ掛け布団」（３９９０円）といった家具のほか、ニトリがプロデュースした「スパイシービーフカレー」（276円）も置かれるなど、あらゆる部分で融合が進んでいる。</p>
<p>他業種と組むことに活路を見出しているのは「アークランズ」も一緒だ。もとはアークランドサカモトで、「ホームセンタームサシ」を展開。昨年、ビバホームとの合併を機に改名している。</p>
<p>アークランズは’21年にヤマダデンキと店舗開発で業務提携。ヤマダデンキはライフセレクトというショールーム兼リフォームのような業態を手掛けている。</p>
<p><span class="strongInContent">「家電量販店がホームセンターをＭ＆Ａの対象とする例が、今後見られるかもしれません」（流通業界専門誌記者）</span></p>
<p>九州ローカルで成長してきた「ハンズマン」は10月12日に大阪のイオンタウン松原にて、本州初出店を果たす。前出の中井氏が語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「エンタメ性の強い陳列が強みで、園芸品売り場は植物園のようなにぎわいです。ホームセンターの商品数は６万～７万点が相場なのですが、ハンズマンは実に28万点超。ただ巨大で品揃え豊富な店舗を出すだけでなく、従業員が高い専門知識を持っているのもウリです。九州の店舗を訪れた時、どの売り場に何の資材が置いてあるかスムーズに案内してもらえました。関西が地盤のコーナンの顧客を相当数奪うことは間違いないでしょう」</span></p>
<p>様々な商品を扱う業種だからこそ、各社が知恵を絞り、それぞれの強みを伸ばしあっている。他業種も巻き込んだ争いは、日本全土で激化していく。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="一目でわかる！「最新の勢力図」をチェック"></div>
<figure id="attachment_333199" aria-describedby="caption-attachment-333199" style="width: 2389px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a5bd5ea1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/d243bbcacc1b87a3fdc776618c586611.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333199" class="wp-caption-text">王者・カインズに対応勢力たち…「一目でわかる」最新の勢力図</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_333197" aria-describedby="caption-attachment-333197" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4698e44d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/0900e086f770e68ae88ed355bf7f5732.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333197" class="wp-caption-text">【カインズの「主婦目線」アイデア商品】左から「縦にも横にも置ける冷水筒」（798円）、「立つほうき」（1,280円）価格はすべて税込み</figcaption></figure>
<figure id="attachment_333195" aria-describedby="caption-attachment-333195" style="width: 1987px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5f7cb071"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/36e5f36b1bd47a075038f89b602ffc48.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333195" class="wp-caption-text">「先がつかないお玉」（398円）と「先がつかないしなるターナー」（398円）。全体の売り上げのうち実に4割近くをプライベートブランドが占める。価格はすべて税込み</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_333194" aria-describedby="caption-attachment-333194" style="width: 2189px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8a860f36"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/4871231727f095ae01e9d5b6742a99eb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333194" class="wp-caption-text">【DCMのDIY体験】ＤＣＭ ＤＩＹ ｐｌａｃｅは、売り上げ以上に広告塔としての役割を期待されている。塗装体験コーナーが人気</figcaption></figure>
<figure id="attachment_333198" aria-describedby="caption-attachment-333198" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="25d3af35"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/6a64dd9537b2fb79c1c74fcccbe18f75.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333198" class="wp-caption-text">【島忠の「ニトリとの融合」】商品を陳列するだけでなく（右）、ポイントも共通化するなど島忠とニトリの連携が進む。都内の島忠ホームズでは、ニトリの収納ボックスなどのほか、これからの季節に必要な毛布・布団類が積み上げられていた</figcaption></figure>
<figure></figure>
<p>『FRIDAY』2023年10月6日号より</p>


結束武郎

大工用品からアイデアグッズまで何でも揃う！ホームセンター業界は現在、４兆円を超える巨大市場に！巣ごもり需要が落ち着いた今、各社が知恵を絞り、それぞれの強みを伸ばしあう。

【ホームセンター業界大研究】絶対王者カインズから対抗馬まで…「終わりなき戦い」の全貌

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