編集・ライター。’83年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。

釼持 陽子

<h3>数日にわたる体調不良が「熱中症」の場合もある </h3>
各地で厳しい残暑が続き、秋に入っても真夏日を最多更新するなど、夏のような気温が続いた９月後半。ようやく朝晩は涼しい風を感じるようになったが、日中は30度近くまで上昇する日もある。この時期に危険なのが、季節外れの「熱中症」だ。
「熱中症＝夏というイメージがありますが、日中に気温が高くなれば秋でも熱中症が起こる可能性は十分あります」 
と話すのは、イシハラクリニック副院長の石原新菜医師。
<figure id="attachment_333513" aria-describedby="caption-attachment-333513" style="width: 3744px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c829c2e4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/739927507f48c3374cd0bdcd5845741a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333513" class="wp-caption-text">秋だからといって熱中症にならないわけではない。外で過ごす時間が多い日は、夏と同じような水分補給、気温に合わせた服装選びにも気を付けたい（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
秋は、キャンプやフルーツ狩りといったレジャー、スポーツや運動会などの屋外イベントを楽しむシーンが増える。猛暑を避けるために、夏の間は外でのランニングやウォーキングなど、運動を控えていた人も多いだろう。 
「熱中症は気温や湿度が高い環境にいると、水分や塩分のバランスが崩れ、体温を調節できなくなることで起こります。初期症状は、立ちくらみやめまい、頭痛、だるさなどで、症状が悪化すると吐き気や足がつる、けいれん、意識障害などがあらわれます。 
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体が熱くなってこれらの症状が急にあらわれる場合もありますが、それ以外に数日にわたってなんとなく続く体調不良が実は熱中症だったというパターンもありえます」 
そんな“じわじわ”と起こる熱中症に、今年の秋は特に注意が必要だ。その根底には、長く続いた夏の猛暑疲れが影響しているという。
<h3>秋なのに「熱中症リスク」が高くなる３つの理由</h3>
「熱中症リスクが高くなる理由は３つあります。ひとつは、夏の猛暑による自律神経の疲労です。この夏は１日中エアコンなしでは過ごせないほどの暑さでした。室内や電車の中はエアコンが効いていて涼しい一方で、一歩外に出ると強い日差しで汗だくになる。 
室内と屋外を行き来して、暑さと寒さの両方に体が対応し続けたことで、自律神経がバテているのです」 
暑さによって体にダメージが蓄積しているうえに、秋の不安定な天候が追い打ちをかけている。
「日中はまだまだ暑い、それなのに朝晩は涼しく感じたり、突然台風や雷雨が襲ったりと、秋は急な天候、気圧の変化によっても、ますます自律神経が疲弊します。そのため体温調節や発汗がうまくいかなくなり、季節外れの高気温で熱中症につながるのです」 
また、夏よりは涼しくなったという気の緩みで、水分摂取に対して意識が薄くなることも原因のひとつだ。
「風が吹いて涼しさを感じ始めると水分補給をし忘れる人が増えてきます。のどが渇いていなくても常に発汗はしています。気温だけでなく湿度が高い場所でも熱中症は起こりやすいので、秋になってもこまめな水分補給は大切です」
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さらに、屋外でのレジャー、外出が増え、夏と同じような環境で過ごす場面が多くなることも予想される。 
「屋外でのバーベキュー、キャンプなどで、炎天下に長時間いる場合は、夏と同じように熱中症リスクが高いと思ったほうが良いでしょう。気温が高い秋晴れの日は、屋外での過ごし方に注意が必要です」 
<figure id="attachment_333514" aria-describedby="caption-attachment-333514" style="width: 2556px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="632b7559"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/3c061b00f6958e3571231dde04e36250.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333514" class="wp-caption-text">アウトドアではアルコールの過剰摂取に注意が必要だ。アルコールは利尿作用があり体内の水分が排出されやすくなる。熱中症予防のためにも、水を飲みながらお酒を楽しもう</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="秋の熱中症予防に「みそ汁」！？"></div>
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では万が一、立ちくらみ、めまい、頭痛などの初期症状があり「熱中症かも？」と思ったら、どう対処したら良いのか。
「屋外ならば日陰、もしくはエアコンが効いた涼しい場所に移動して横になって休んでください。水分と塩分の両方を補給し、靴下を脱ぐ、衣類をゆるめるなどして体から熱を逃がします。冷たいタオルや保冷剤などで首やわきの下を冷やして体温を下げることも効果的です。意識障害などがある場合は、救急車を呼びましょう」
炎天下での急変以外に、数日間の体調不良が続いて熱中症が疑われる場合も、まずは涼しい部屋で横になり体を休めることが有効という。水分補給や休息を取っても症状が改善しない場合は、熱中症以外の不調の疑いもある。悪化する前にかかりつけ医の受診が必要だ。
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<h3>秋の熱中症予防に１日３杯の「みそ汁」が効果的</h3>
健康に自信がある人でも、こうした理由から秋に熱中症になる可能性は十分にある。石原医師は、「熱中症にならないために一番大事なのは“質の良い睡眠”」と言い切る。
「自律神経のバランスが整っている人ほど、健康の基礎ができているので熱中症になりにくい。こういう人は気温に影響を受けにくいのです。自律神経を整えるためには、いかに良い睡眠を取れるかにかかっています。 
１日の終わりにはお風呂にゆっくり浸かって心と体をゆるめる、ストレスの多い人は寝る前に腹式呼吸を行う、脳を覚醒させる寝る直前のスマホをやめるなど、良い睡眠は夜の過ごし方で変わってきます。シャワーで済ませる人が多いかもしれませんが、入浴は汗をかくトレーニングにもなり、必要なタイミングで発汗して体温を調節できる体になります」
また、朝・昼・晩の１日３回、みそ汁を飲むことも熱中症対策として効果的という。
<figure id="attachment_333515" aria-describedby="caption-attachment-333515" style="width: 2880px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9acb7a2a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/5a7d165db54b84102b95c88c49ef3448.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-333515" class="wp-caption-text">熱中症対策に水分補給は基本だが、汗で失われた塩分を適度に補給することも大切だ。それを同時に補給できるのがみそ汁だ</figcaption></figure>
「日本人の健康食でもあるみそ汁は、体をつくる材料となるアミノ酸、エネルギー代謝に関わるビタミンB群などの栄養が豊富。塩分と水分の両方が摂取でき、熱中症予防に最適です。みそは腸内環境を改善する効果があり、腸の働きが整うと自律神経にも良い影響があります。忙しい人は、コンビニやスーパーで買ったインスタントのみそ汁でも構いません」
夜はぐっすり眠り、食事のときはみそ汁を習慣にする。自律神経を整える生活は、熱中症予防のみならず、夏からずっと体がだるい、寝ても疲れが取れないという人こそ、今すぐ試したほうが良い。
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「夏の猛暑疲れから自律神経が乱れたまま秋に突入、体がすっきりしないまま冬がやってくると、年末頃には大きく体調を崩すことになるでしょう。自律神経の乱れが長期で続くと、ホルモンバランスが崩れてメンタル不調につながります。また、免疫力が低下して忙しくなったタイミングで感染症になることも考えられます」
心と体の健康を保つためにも、自律神経を労わる生活が欠かせない。睡眠を最優先にして、秋の気温差に負けない体づくりをすることが、数ヵ月先の健康をつくることにもつながるだろう。
石原新菜（いしはら・にいな）　イシハラクリニック副院長。漢方医学、食事療法、自然療法などを取り入れた治療を行う。クリニックで漢方薬処方を中心とする診療を行いながら、テレビ・ラジオ・雑誌などのメディアにも数多く出演。「腹巻」や「生姜」などによる美容・健康増進効果を広めている。『病気にならない蒸しショウガ健康法』（アスコム）他、著書多数。

編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。

釼持陽子

アフロ

各地で厳しい残暑が続き、夏のような気温が続いた９月後半。ようやく朝晩は涼しい風を感じるようになったが、日中は30度近くまで上昇する日もある。この時期に危険なのが、季節外れの「熱中症」だ。

だるさ・頭痛・立ちくらみがなんとなく続く…実はひっそり多い「秋の熱中症」が要注意のワケ

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