打率0割台で2軍降格…ボロボロのデスパイネ「ソフトバンクが強行した緊急再加入」の特殊チーム事情
42打数3安打、打率.071、本塁打と打点は0……。
ソフトバンクで右の大砲として期待されたデスパイネ(37)の成績だ(9月26日現在)。9月20日の楽天戦では、三塁ゴロを打って一塁を駆け抜ける際に左足を負傷。同試合途中まで35打数無安打と不調だったこともあり、翌日には2軍降格となった。
「左の柳田悠岐、近藤健介の後を打つ5番打者として、6月にソフトバンクが緊急獲得しました。フタを開けてみると結果はボロボロ。今季37歳になる年齢から昨オフに自由契約となったデスパイネの再加入を、当初から不安視する声はあったんです。
しかしデスパイネは日本に9年間在籍し184本塁打を放った大砲。日本の野球をよく知っているため、全盛期の活躍はできなくても、昨季ぐらいの結果(打率.269、14本塁打)は残せるのではないかと期待され再加入となりました。明るいキャラクターから、ベンチの盛り上げ役にもなってくれるとも思われたんです」(球団関係者)
新外国人も若手も……
期待はあっけなく裏切られたのは前述の通り。デスパイネ獲得強行の背景には、背に腹は代えられないチーム事情もあったようだ。
「右の主軸候補が、いずれも結果を残せていませんから。新外国人のアストゥディーヨとホーキンスは、いずれも低打率と浮上の兆しがみえない。2年目を迎えた両打ちのガルビスも打率1割台で本塁打は0です。
若手に目を転じても、多くの選手が伸び悩んでいます。’21年に7本塁打を記録した砂川リチャード、昨年ドラフト2位で慶応大から入団した正木智也、高校時代(早稲田実業)に68本塁打をはなった野村大樹など、いずれも主軸を任せるには力不足でしょう。結果的に昨季自由契約となったデスパイネに白羽の矢が立ったんです」(スポーツ紙担当記者)
若手の伸びにも、特殊な背景があるという。
「ソフトバンクは’11年に3軍をつくり、メジャーで活躍する千賀滉大や正捕手の甲斐拓也などを育てた育成能力と層の厚さが強みでした。一方で今季からは4軍を創設。現在3、4軍合わせ100人を超える選手が在籍しています。
以前ファームの選手からは、『絶対に1軍へ上がってやる』というギラギラした思いが伝わってきました。しかし最近は人数が増えたためか、選手たちから前ほどの強い上昇志向が感じられない。育成する組織が大きくなった影響で、若手の競争力が落ちているのかもしれません」(同前)
外国人が期待外れで若手が伸び悩み……。’20年までの10年間で5度のリーグ優勝を果たした常勝ホークスも、今季は夏場に12連敗を喫するなど苦しんでいる。チームとして一皮むけるべき時期を迎えたようだ。
- PHOTO:共同通信社