バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版

島 右近

<figure id="attachment_334449" aria-describedby="caption-attachment-334449" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d4813caa"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/8508e8caf7265d3d0fbe203d511f0f55.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-334449" class="wp-caption-text">NHK朝ドラでヒロイン役を演じた浜辺美波。圧倒的な演技力に評価は高い</figcaption></figure>
神木隆之介が主演する朝ドラ『らんまん』（NHK）の最終回が９月29日に放送され、“王道の朝ドラ”に相応しい最終回に賞賛の声が送られている。
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今作は、“日本植物学の父”と呼ばれる牧野富太郎をモデルに、愛する植物のために明治時代から昭和へ激動の時代を生き抜いた主人公・槙野万太郎（神木）の波乱に満ちた生涯を描いた物語。最終週では、万太郎が理学博士になり妻・寿恵子（浜辺美波）は心から喜ぶ。
ところが病に倒れてしまう寿恵子。しかし万太郎は沢山の仲間の協力を得て、最終回ついに植物図鑑を完成させ大団円を迎える。
「その図鑑に最後に加えた新種が、唯一カラーで印刷された『スエコザサ』。それを見て、涙ながらに『私がいなくなったら、いつまでも泣いてたらダメですからね。草花にまた会いにいってね。そしたら私もそこにいますから。草花と一緒に、私もそこで待ってますから』といって万太郎とハグを交わす場面こそ、王道の朝ドラと呼ばれる今作の最終回に相応しい名シーンとなりました」（ワイドショー関係者）
主題歌を担当したあいみょんも
《あかん、昼から取材あるのに泣きすぎて顔つぶれる》
とX（旧ツイッター）で呟くなど、涙腺崩壊コメントが殺到。Xでは、「#らんまん」がトレンド１位に躍り出た。
“らんまんロス”が広がる中、ヒロイン・寿恵子を演じた浜辺美波の演技にも改めて賞賛の声が寄せられている。
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浜辺は‘11年、「東宝シンデレラオーディション」のニュージェネレーション賞を受賞。’17年、映画『君の膵臓をたべたい』に主演。日本アカデミー賞新人賞を受賞している。
「『東宝シンデレラ』の同期でグランプリを受賞した上白石萌歌、審査員特別賞を受賞した上白石萌音が華々しく活躍。注目を集める中、浜辺は顔に特徴がなく、華奢で色白。
言いたいことが言えず、性格も暗かったことからマネージャーから『幽霊か病人の役しかできない』と言われたこともありました。そのマネージャーとケンカをして、“田舎に帰ろう”と決心して羽田空港に向かったことも。あの頃の悔しさが、女優としての原点なのかもしれません」（前出・ワイドショー関係者）
<div data-friday-nextpage-lead="女優として”脱皮”したきっかけは……"></div>
‘18年に公開された映画『センセイ君主』では、バカ正直で真っ直ぐなヒロイン・佐丸あゆは役を演じ、ぶっ飛んだ演技を披露。さらに同年に主演したドラマ『賭ケグルイ』（TBS系）では、一見“清楚な美少女”だが、リスクを負うと“賭ケグルイ”キャラになる個性的な主人公・夢子役を演じて、一躍若手人気女優の仲間入りを果たした。
「個性の強いキャラクターを演じることで、浜辺自身は『自分が好きなように素直になって生きることが、すごく自由で楽しく感じられたんです』『役が落ちないまま過ごしていたら、だんだん“地”になってきた』と、秘話を明かしています」（制作会社プロデューサー）
役を演じることで演じるキャラクターから生きる力をもらう。それを糧にして、笑顔あふれる蝶に生まれ変わった浜辺。その美しさは、演技を重ねるごとに輝きを増している。
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女優・浜辺美波の魅力について、今作の脚本を手掛けた長田育恵は
「（浜辺演じる）寿恵子は一言で言うと“ヒーロー”。苦難の道を歩む孤高の万太郎を、太陽のようにりりしく導いていく。そんなスケール感がある」
「天井を打ち抜くような突破力が備わっていたのは、武家の父と柳橋で頂点を極めた芸者の母の血を引くからこそ」
「ほんの少しでも悲壮感を漂わせたり、『あなたのために』と恩を着せるような文脈が加わったりすると“自分が犠牲になっている”という印象を与え、物語が台無しになっていた」
と話している。
寿恵子の魅力について、万太郎を演じる神木は、肝がすわった“目”だと答える。
「何かに立ち向かっていったり、果敢に前に行くような鋭い目をすることがある」
「僕がイメージする寿恵子像の強さがすごく表現されている」
と賞賛を惜しまない。
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そんな浜辺演じる寿恵子には、忘れられないシーンがある。
万太郎の研究を支えるために、東京・渋谷で『待合茶屋』を開こうとする寿恵子。当時、“あぶれ者の掃き溜まり”と言われた街の住人を食事会に誘い、“この渋谷が東京で一番賑やかな街になる”と一席ぶつ場面は圧巻の一言。この放送回が、番組最高視聴率を記録している。
その一方で、寝巻きに着替えた寿恵子が『お休みにならないんですか?』と、声を掛けるも研究意欲に溢れる万太郎は、背中を向けたまま。期待を裏切られた寿恵子が『ふーん』と大きな鼻息を漏らし、柱をドンと叩いて布団へ入り、声を押し殺し悶絶するチャーミングなシーンにも心を奪われた。
「東宝シンデレラオーディション」当時、上白石姉妹が“太陽”なら、“月”にしか見えなかった浜辺美波。あれから12年。浜辺もまた苦難の道を歩む孤高の主人公を、太陽のようにりりしく導いていく女優へと生まれ変わった。
23歳を迎えた浜辺美波の大冒険は、いよいよこれからが本番だ――。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

田中 俊勝

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