<h3><span class="strongInContent">大手百貨店で61年ぶりストの背景</span></h3>
<p>百貨店といえば、対面でブランド服など高級品を販売してきたイメージがある。最近は消費者ニーズの多様化で売り場が様変わりし、家電量販店やユニクロなどのファストファッションの店舗が入っていることも珍しくない。</p>
<p>そんな百貨店業界で今夏、大手百貨店として61年ぶりのストライキがあり、大きなニュースとなった。そごう・西武の労働組合は今年８月31日にストを決行し、西武池袋本店は終日休業した。労組がストに打って出た背景には、雇用継続への不安があるという。</p>
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<p>ストがあった翌９月１日には、親会社のセブン＆アイ・ホールディングスが、そごう・西武の株式を米投資会社フォートレス・インベストメント・グループに譲渡。新たな親会社のもとで、西武池袋本店は家電量販店のヨドバシホールディングスが中核のテナントになるのではといった報道が相次いでいる。</p>
<figure id="attachment_334635" aria-describedby="caption-attachment-334635" style="width: 3785px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e845ac55"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/7b707ecb81cd83593d608be499aa3a64.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-334635" class="wp-caption-text">ヨドバシの出店計画に対して「赤字の地方店を放置し、一番の稼ぎ頭をたたき切るもの」と時事通信社のインタビューに答えたそごう・西武労働組合の寺岡泰博委員長。２度目のストも辞さない構えを示したという（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<p>百貨店業界は長く低迷を続けてきた。業界全体の売上高は’91年の9.7兆円をピークに、コロナ禍の’20年にはほぼ半減するなど、最近は５兆円前後で推移している。特に百貨店で主力の衣料品の落ち込みが著しい。</p>
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<p>デパ地下食品街や、北海道物産展といった催事場など、にぎわうフロアもあるが、そうした一部のフロアを除けば、消費者ニーズの多様化に百貨店側の対応が振り回されてきた。衣料品は低価格で最新の流行を提供するファストファッションや、ネット通販に顧客が流れ、家電も量販店などに、家具はニトリなどに顧客を奪われている。</p>
<p>百貨店業界も生き残りのため、最近は「業態転換」といわれるような大胆な対応を打ち出し始めている。駅近の好立地を武器に、集客力のあるテナントを呼び込むなど、百貨店が従来のようにモノを売るのでなく、売り場を貸す不動産賃貸業に力を入れるところも少なくない。家電量販店など大型専門店の呼び込みはその一例とされる。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="家電量販店は百貨店のイメージダウン！？"></div>
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<h3><span class="strongInContent">家電量販店は百貨店のイメージダウン！？</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>老舗百貨店の日本橋三越本店でも、新館の６、７階の２フロアにビックカメラが入っている。</p>
<p>東急百貨店さっぽろ店は今年春ごろから段階的にリニューアルを進めてきている。９月には５、６階にビックカメラ、７階にユニクロやＧＵ、９階にバンダイナムコエンターテインメントのアミューズメントパークが入るなど、９月末までに改装をして、新たな店舗がほぼ出そろう。</p>
<figure id="attachment_334636" aria-describedby="caption-attachment-334636" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a129e28f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/cb491be9b1f7d1a702567d3373adab70.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-334636" class="wp-caption-text">西武池袋本店が終日休業した翌日、９月１日にオープンした東急百貨店さっぽろ店のビックカメラ。「エスカレーターに人がいっぱいなのを久しぶりにみた」と市民から声が上がるほど活気が戻っているという</figcaption></figure>
<figure id="attachment_334695" aria-describedby="caption-attachment-334695" style="width: 2478px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="718ebfe4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/f2731f2bd77fb4791d1f79e837d343be.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-334695" class="wp-caption-text">東急百貨店さっぽろ店のリニューアルは、５・６階にビックカメラ、７階にユニクロやＧＵ、９階にバンダイナムコエンターテインメントのアミューズメントパーク、ヴィレッジヴァンガードが入るなど、９月末までに新たな店舗がほぼ出そろう</figcaption></figure>
<p>東急百貨店さっぽろ店の段階的なリニューアルの効果はすでに出ている。</p>
<p><span class="strongInContent">「お客さまは多いときで、昨年同期の２、３倍になることもある」（さっぽろ店の広報担当者）</span></p>
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<p>東急百貨店は多事業化ビジネスモデル「融合型リテーラー」という施策を進めている。さっぽろ店もその一環になり、特に５～９階には集客力の高い大型専門店を複数そろえる。不動産賃貸借の部分もあれば、従来型の百貨店として運営している部分もあり、両者が混在しているという。</p>
<p>東急百貨店広報担当者は、</p>
<p><span class="strongInContent">「フードやコスメなど強みのあるところに、より注力をして、新規事業などへも人員を配置する」</span></p>
<p>と話す。人員の配置は弾力的な対応をしていくと説明する。</p>
<p>百貨店業界では従来の経営スタイルにとらわれず、大型専門店へフロアごとの場所貸しや、百貨店員を弾力的に配置転換することは、いまや当たり前の光景になってきている。</p>
<p>冒頭のストのように、そごう・西武の労組の反発は、新たな親会社のもとで西武池袋本店の中核テナントが家電量販店になる懸念からなのだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「ヨドバシカメラが入るのが嫌で反対しているわけではありません。百貨店業界や、会社の経営状況が厳しいことは十分に認識しています」</span></p>
<p>と、そごう・西武の労組担当者は話す。</p>
<p>以前の親会社だったセブン＆アイＨＤは、百貨店員の雇用について大丈夫であり、雇用を守ると話してきたという。しかし、そごう・西武の労組では、店舗運営の大幅転換など知らされてない情報があるのではないか、雇用は本当に守られるのだろうかと、疑心暗鬼になっているという。</p>
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<p>そごう・西武の労組担当者によると、セブン＆アイＨＤが昨年11月に株式譲渡を公表後、西武百貨店に聞いても、株式譲渡について情報もなく、決定権もない。労組はセブン＆アイＨＤに話し合いを要請していた。ところが、セブン＆アイＨＤは今年８月になって、いきなり株式譲渡を完了すると表明したという。</p>
<p>この労組関係者は<span class="strongInContent">「家電量販店が入ってくることも選択肢と想定できます。問題は雇用維持の確認が十分にできないのです」</span>と話す。西武百貨店が従業員の理解を得て、同業他社と同じように業態の大幅転換といった手法で集客力を高めてくるのか、目が離せなくなっている。</p>


浅井秀樹

長く低迷を続けてきた百貨店業界。そんな中、新たな親会社のもとで、西武池袋本店は家電量販店のヨドバシホールディングスが中核のテナントになるのではといった報道が相次いでいる。

「ヨドバシvs.西武」問題…〝東急〟〝ビックカメラ〟は手を組み集客アップ「昨年同期の２、３倍に」

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