<p>今春から、東京都は華美な宣伝トラックの規制の強化を検討中だ。歌舞伎町周辺では、風俗求人「バニラ」に始まり、ホストクラブなどの宣伝トラックがビカビカ光りながら走っている。トラックの側面には、似たような整形手術と写真加工を施したホストの顔が並ぶが、実は彼らは着ている服もほぼ同じなのだ。</p>
<figure id="attachment_335233" aria-describedby="caption-attachment-335233" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8baf663e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/f9bf321d3a6888712c8283ab1495a058.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335233" class="wp-caption-text">ホストクラブ『CLUB ARCH』のきっぺーもハイブラ好き売れっ子ホストの一人だ</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「歌舞伎町ホストは、とにかくハイブランドが好きです。『ルイ・ヴィトン』は不動の人気で、数年前から『グッチ』や『バレンシアガ』、『セリーヌ』も人気です」</span></p>
<p>そう語るアラタ（仮名・23）はホストになりたての頃、先輩から大量にブランド物の服をもらったという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「ホストを始めると、まずは見た目にカネをかけるんです。そこらへんにいるような奴に、女の子は数万、数十万円を使わない。だからちゃんと価値があるように見せるべく、ブランド物の服やアクセサリーで武装します。売れてないホストは数年前の擦(す)り切れたハイブランドのＴシャツをずっと着てたりしますよ」</span></p>
<p>アラタ曰(いわ)く、パッと見てハイブランドだとわかるのが重要なため、ホストたちはロゴやブランド名が大きく書かれた服やアクセサリーを好むという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「売れてるホストはデパートでハイブラの新作を大量に買うので、いらなくなった服は後輩に配るんです。自分で買った雰囲気を出しながら『ホストは見た目が大事で〜』とか語ってるけど、全部先輩のお下がりって奴もいますよ。それを古着屋やメルカリで売って、また古着のブランド物を買う奴もいます」</span></p>
<p>彼らにとって、本当に高価であるかどうかは二の次なのだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「ハイブラのランクがわかるかどうかで、そのホストの良し悪しがわかるんです」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="ホストクラブで高級アクセサリーの理由"></div>
<p>ラウンジ嬢のマリカ（仮名・28）は、ホストクラブにも高級なアクセサリーをつけていくという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「280万円の『ハリー・ウィンストン』のネックレスをつけてるのに、知ったかぶって『〈ヴァン クリーフ＆アーペル〉だね』って言われた。同じ四葉のクローバーの形のアクセでも、240万円も違うから！　そこまでわかるホストはほんの一握りなんだよね。売れてるホストはちゃんと高い物がわかってんなーって思う」</span></p>
<p>客の装飾品を見る目がないだけでなく、自らが偽物を身につけるホストも多い。</p>
<p><span class="strongInContent">「以前、何回か指名したホストから、彼がつけてた『ティファニー』のネックレスをもらったのね。『次は身につけてお店にきてねー！』って。後日、ノリでいくらのものなんだろう、って質屋に見せたら、偽物でした（笑）」（同前）</span></p>
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<p>ブランド名がデカデカと書かれたＴシャツやジャケットにブローチ、さらにネックレスや指輪も重ねづけ……。ホストクラブの内勤スタッフであるタイスケ（仮名・31）ですら、今どきの″歌舞伎町ファッション″に辟易しているという。</p>
<p><span class="strongInContent">「一昔前は、オーダーメイドスーツが一種のステータスでした。でも、本当にお金を出さないと手に入らない物に価値を見出せるホストを育てる余裕は店にないし、ホストも早く稼ぎたい。手っ取り早くて低コストで、付け焼き刃の飾りが人気なんです。『俺は、ザ・ハイブランド興味ないから〜』って言ってるホストも、結局、『ヨウジヤマモト』のようなモード系高級ブランドが好きなだけです」</span></p>
<p>歌舞伎町では「ホストがハイブランドを買いすぎたから、伊勢丹新宿店にメンズ館ができた」という都市伝説が囁かれるほど。ホストの貧困が、異常な&#8221;ハイブランド信仰&#8221;を生み出している――。</p>
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<p>佐々木チワワ<br>
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。<a href="https://amzn.to/370KOi8" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』</a>（扶桑社新書）が好評発売中</p>
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<p class="p1"><span class="s1">『</span>FRIDAY<span class="s1">』</span>2023<span class="s1">年</span>10<span class="s1">月</span>13<span class="s1">・</span>20<span class="s1">日合併号より</span></p>
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歌舞伎町では「ホストがハイブランドを買いすぎたから、伊勢丹新宿店にメンズ館ができた」という都市伝説が囁かれるほど。ハイブラのランクがわかるかどうかがホストの良し悪しを決める一手にもなっているようで……

オーダースーツは流行らない、ホストに高級アクセサリー……歌舞伎町「驚愕ハイブランド信仰」の中身

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