<figure id="attachment_294197" aria-describedby="caption-attachment-294197" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fd25e642"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/IMG_3412.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-294197" class="wp-caption-text">昨年11月５日、ワクチン接種後、わずか２時間足らずで亡くなった飯岡綾乃さん（享年42）。9月26日、医療事故調査委員会は「救命できた可能性を否定できない」と検証結果を公表した。天に召された元看護師の綾乃さんはどう感じているのだろうか</figcaption></figure>
<p>昨年11月５日、愛知県愛西市で新型コロナワクチン接種直後に体調が急変し、42歳の元看護師の女性・飯岡綾乃さんが死亡した事例について、遺族である夫・飯岡英治さん（45）は、接種後にアナフィラキシーに伴う体調異変に陥った後、綾乃さんの救護に当たった医師や看護師が必要な処置をしなかったことによって亡くなったのではないか、とする「業務上過失致死」を理由に、愛西市や接種に関わった医師や看護師を刑事告訴する意思を固めた。</p>
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<h3>「救命できた可能性を否定できない」</h3>
<p>綾乃さんが亡くなった後、急死にいたるプロセスの検証や評価、再発防止のために昨年12月末から外部の有識者らによる「医療事故調査委員会」（以下、調査委員会）が定期的に開催され、今年9月26日に行われた同委員会でこれまでの検証結果が発表された。綾乃さんは接種後、重いアレルギー反応を起こしていた可能性が高く、早期に治療薬を投与していれば救命できた可能性は否定できない、などとする検証結果を公表した。</p>
<p>昨年、綾乃さんが亡くなった２日後、愛西市の担当者や医師らから直接説明を聞いた英治さんは<span class="strongInContent">「（綾乃さんの体調が急変したときに）アナフィラキシーを疑い、対処すべきだったのに、救護にあたった医師は必要な処置をしなかったのではないか」</span>と一貫して主張していた。</p>
<p>ただ、綾乃さんが亡くなった12日後の11月17日に行われた愛知県医師会の会見では、最重症のアナフィラキシーショックの可能性が強く疑われたことから<span class="strongInContent">「アナフィラキシーが疑われる場合は、診断に躊躇することなく、（会場に配備されていた）アドレナリンの筋肉注射をすべきだった」</span>との見解を示しながらも、最重症のアナフィラキシーショックであった場合はアドレナリンが投与されたとしても救命できなかった可能性が高く、<span class="strongInContent">「死因としては急性左心不全であったことも否定できない」</span>と説明。死因などがはっきりしなかったため、9月26日に公表された調査委員会の検証結果に注目が集まっていた。</p>
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<p>公表された検証結果によると、綾乃さんは接種後の経過観察中にせきが出始め、その後、息苦しさを強く訴え、症状が出始めてから10分後に心停止となっていることから、重いアレルギー反応の<span class="strongInContent">「アナフィラキシーを起こしていた可能性が高い」</span>とした。</p>
<p>さらに接種後、待機していた綾乃さんが呼吸苦などを訴えてきたとき、看護師らがアナフィラキシーを想起できなかったこと、問診者に接種前の綾乃さんの状態を確認することなく、綾乃さんが接種前から調子が悪かったと解釈したこと、その情報に影響を受けたことによって、綾乃さんに対応した医師がアナフィラキシーの初期治療で使用されるアドレナリンを投与しなかったことは「標準的ではない」と指摘。さらに、<span class="strongInContent">「早期にアドレナリンが投与された場合、救命できた可能性を否定できず、投与されなかったことの影響は大きい」</span>とした。つまり、英治さんが主張してきた内容とほぼ同じ結論が出された。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="遺族の控え室に事前の断りなく入ってきた日永市長は"></div>
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<figure id="attachment_335410" aria-describedby="caption-attachment-335410" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fe922b80"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/2deef33d4d0dc4b6cfaf11b626663a6f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335410" class="wp-caption-text">記者会見の冒頭で報道陣の前で頭を下げた愛知県愛西市の日永市長。この前に、飯岡英治さんら遺族の怒りを買う行動を起こしていた</figcaption></figure>
<p>調査委員会は26日で終了し、一区切りつくはずだったが、その日、英治さんら遺族の怒りを新たに誘う別の出来事が起きていた。調査委員会の会見が行われる前に遺族への説明が行われた。その説明会の後、突然、愛西市の日永貴章市長が事前のことわりもなく、説明会の会場に来た。</p>
<p>遺族への謝罪を目的としたものだったが、日永市長は遺族に対して不快な思いをさせてしまったことについてはお詫びしたものの、接種に関わった担当者たちは「懸命に活動していた」と擁護する発言に終始。医師や看護師の「標準的でない」行動、つまり対応方法の落ち度があったことで綾乃さんが急死に至ったにもかかわらず、綾乃さんが亡くなってしまったことへの謝罪の言葉はなかったという。</p>
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<h3>英治さんの代理人に送られてきた「抗議文」</h3>
<p>さらに、遺族への説明が終わった後に開かれた日永市長の会見を、英治さんらは会見場とは別に用意された控え室でリモートで視聴していたが、会見中に画面の乱れが生じ、聞き取れなくなった。そのため、英治さんら遺族は記者会見場へ向かい、職員の制止を振り切って入り、市長に対して発言もした。</p>
<p>そのことについて愛西市側は<span class="strongInContent">「会見の進行担当者の指示に従わず、許可なく会見場で発言した」</span>とし、英治さんらの行動を「乱入」という言葉を使って英治さんの代理人に抗議文まで送った。その抗議文の中には、英治さんらが今後、抗議文の件で異議を唱える目的で市庁舎等の施設に来た場合、警察に通報する、という趣旨の一文まで添えられていたという。</p>
<p>英治さんは昨年12月末に調査委員会がはじまった後は<span class="strongInContent">「委員会に調査をしてもらっているので、その推移を静かに見守りたい」</span>と多くを語ってこなかったが、一方で心の中では<span class="strongInContent">「結果的に人（妻）が一人亡くなっている。きちんと罪を償ってほしい」</span>という怒りを静かに抱えていた。</p>
<p>調査委員会が出した結論は、英治さんら遺族が主張してきたこととほぼ同じ内容になり、「救命できた可能性を否定できない」という検証結果だったが、その直後の日永市長や市側の言動からは「人が一人亡くなった」ことへの反省はあまり感じられず、むしろ強弁とも受け取れる行動をとった。それは英治さんら遺族が「刑事告訴」という新たな戦いに挑む号砲を鳴らすことになってしまった。</p>
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<p>予防接種健康被害救済制度では、予防接種が原因で死亡した場合、死亡一時金が支払われることになっており、綾乃さんも予防接種が原因で亡くなったことが認められれば、死亡一時金が支給される可能性はある。しかし、英治さんら遺族が望んでいるのは、おカネではない。</p>
<p><span class="strongInContent">「僕はワクチンがだめだと思っているわけではありません。安全に接種できる環境をきちんと整備した上で接種を行っていかないといけないと思っています。妻のことがきっかけで安全な環境が守られるのであれば、役立ててほしいんです」</span></p>
<p>何が原因で綾乃さんの不慮の死が訪れたのか。法廷に場をうつして時間をかけてでも原因や責任の所在をはっきりさせて、集団接種で二度と同じ悲劇が起きないような医療体制づくりをすることが、元看護師だった綾乃さんへのせめてもの供養になると信じている。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="独占入手したカルテから浮かび上がった疑惑…"></div>
<figure id="attachment_335430" aria-describedby="caption-attachment-335430" style="width: 714px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c40b5380"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/b63e06812f3be1b1a51c39fee95bdd00.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335430" class="wp-caption-text">9月26日に開かれた「医療事故調査委員会」後に報道陣に対応した英治さん。公表した検証結果は主張してきた内容に沿っていたが、少し時間が経過した今でも、ふとした拍子に涙が出てくることがあるという（写真：共同通信社）</figcaption></figure>
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<h4>◆厚生労働省が公表した報告書</h4>
<figure id="attachment_335443" aria-describedby="caption-attachment-335443" style="width: 506px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="330c0fbc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/c9a9b8abfb1ed63a3cde5ed161da49e3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335443" class="wp-caption-text">厚生労働省が昨年11月11日にウェブ上に公表した報告書。赤枠の中に＜「接種前から体調が悪かった」との訴えを看護師が聞いた＞と記されているが、綾乃さんに接種した医師は「当日、体調が悪い人はいなかった」と夫の英治さんら遺族に証言していた</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">◆綾乃さんが亡くなった病院のカルテ</span></p>
<figure id="attachment_294244" aria-describedby="caption-attachment-294244" style="width: 1500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="84cd15f4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/3a0eb6f5484c7be7013149acc7569458.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-294244" class="wp-caption-text">独自入手した綾乃さんのカルテ。水色のラインは接種会場。10ページ目以降で「誤記修正」されたが、綾乃さんが接種した会場とは別の会場名が書かれていた。赤線の箇所は、綾乃さんに接種した医師の証言と明らかに違っている</figcaption></figure>
<p><a href="#" data-ident_hash="22b963c6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/d6a3336b8615aca8c8cc3add4c3be8a0.jpg" alt=""></a></p>
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<figure id="attachment_335426" aria-describedby="caption-attachment-335426" style="width: 5119px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="956860bd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/1a2d0d75134bf12b56601f3591f7371e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-335426" class="wp-caption-text">接種後、体調が異変した綾乃さんが運ばれた救護室。綾乃さんは接種後、息苦しさを訴え、その10分後には心停止になってしまった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_294637" aria-describedby="caption-attachment-294637" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fdd3430e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/02/c3947f5ae483d952b39cf4414141fe3d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-294637" class="wp-caption-text">綾乃さんがワクチンを接種した会場（写真：共同通信）</figcaption></figure>


共同通信社（２、3、8枚目）

昨年11月、愛知県愛西市で新型コロナワクチン接種直後に体調が急変し、42歳の元看護師の女性が死亡した問題で、夫が愛西市や医師らを刑事告訴する意思を固めた。その決断の裏に愛西市側の不誠実な対応があった。

コロナワクチン接種後100分で妻が急死　夫に刑事告訴を決断させた愛西市の「不誠実すぎる対応」

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