<figure id="attachment_224894" aria-describedby="caption-attachment-224894" style="width: 5568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a6f04580"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/01/75c140d3601436d9bf49d9f8aa3af58a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-224894" class="wp-caption-text">事件直後の現場の様子。警察官が慌ただしく東大内外を捜査していた</figcaption></figure>
黒いスーツに身を包んだ男は、しっかりした足取りで証言台に立った。裁判長から起訴内容について「間違っているところはありますか」と問われ「特にありません」と答えると、こう謝罪している。
「被害者の方々の心とお身体にキズを負わせたことについて、大変申し訳なく思っています」
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
10月12日、男女３人を刺傷したとして殺人未遂罪などに問われている愛知県名古屋市の男Ａ（19）の初公判が東京地裁で行われた。Ａは&#8217;22年１月、大学入学共通テストの試験会場だった東京大学（東京都文京区）近くで、受験生２人と通りかかった70代の男性の背中を刃渡り約14cmの包丁で切りつけている。Ａは３人と面識がなかったという。
「Ａは医学部進学率の高い愛知県内の名門校の出身で、大学受験の最難関・東大理科三類を志望し医者を目指していたそうです。しかし成績が伸びず、教師や父親から進路変更を求められていたとか。警察の取り調べに対しては、次のように話していました。『成績が上がらず自信を無くしていた』『重罪を犯せば罪悪感を抱き自殺できると考えた』と」（全国紙司法担当記者）
『ＦＲＩＤＡＹデジタル』は&#8217;22年１月16日配信の記事で、当時17歳の高校２年生だったＡが起こした事件について詳しく報じている。再録して、事件直後のＡの戦慄言動や犯行動機について振り返りたい（内容は一部変更しています）ーー。
<h2>「妙に騒々しいな……」</h2>
「どこから来たんだ！」
１月15日朝８時半過ぎ、東京・文京区の酒屋店主は店の前で警察官の叫び声を聞き異様な光景を目にした。現場は農学部が入る東京大学・弥生キャンパス「農学部正門」前の路上。門の近くにうずくまっていた学生服のような黒い服を着た若い男が、警察官４～５人に激しく問い詰められていたのだ。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
当時、店主はこう振り返っていた。
「消防車や救急車のサイレンがけたたましく聞こえたので、『何事だろう』と思って外に出たんです。当日は受験（大学入学共通テスト）の初日でしたが、妙に騒々しいなと感じて……すると門の奥に１人、手前に１人倒れ、警察官が声をかけていました」
最高学府・東大前の路上で、前代未聞の刺傷事件が起きた。愛知県内の進学校に通う当時高校２年生のＡが、刃渡り約14cmの包丁で通行人３人を背中から次々に切りつけ「来年、東大を受ける！」と絶叫。切られたのは当時72歳の男性、受験生の17歳の女子生徒と18歳の男子生徒だった。
「Ａが通っていたのは、名古屋市内でも有数の私立の進学校です。毎年、東大と京大に多くの合格者を出し、医学部に進学する生徒も多い。Ａは犯行動機について、こう語っていました。『医者になるために東大を目指し勉強していたが、１年前から成績が振るわなくなり自信をなくした。医者になれないなら、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えた』と。
Ａは前日14日から行方がわからなくなっていて、父親が愛知県警に不明届を提出していたそうです。親に無断で外出したＡは、『名古屋から15日朝６時に東京へ着く高速バスに乗った』と話していました」（全国紙社会部記者）
<div data-friday-nextpage-lead="最寄り駅を「火の海」に……"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
Ａは包丁の他に、折りたたみ式のノコギリやナイフを所持していた。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
「持っていたバッグからは、可燃性の液体の入ったペットボトルが複数見つかっています。『事件前、東大近くの駅で火を放った』とも供述。証言通り地下鉄南北線『東大前』駅構内で木片が燃え、改札口付近で着火剤のような液体がまかれていました。Ａの犯行と考えられています。警視庁は無差別殺人を計画したとして、Ａを現行犯逮捕しています」（同前）
<h2>警察官がムキになり「どこから来たんだ！」</h2>
<figure id="attachment_224896" aria-describedby="caption-attachment-224896" style="width: 5568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="886717c4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/01/ea54bd59e711d4d539ddab3f4db9d73d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-224896" class="wp-caption-text">火災が起きた地下鉄南北線「東大前」駅。火はスグに消し止められた</figcaption></figure>
異様なのは、犯行直後のＡの行動だ。近くにいた警備員が「落ち着いて、落ち着いて」と諭すと、包丁を地面に投げ捨てヘタリこむ。持っていたバッグなども、そばに置いた。大通りを隔て一部始終を目撃していた前出の酒屋店主は、こう証言していた。
「男はメガネをかけ、無表情でした。駆けつけた警察官の問いにも、放心したように一切答えない。５分から10分ぐらい、そんな状態が続いたでしょうか。痺れを切らした警察官の、『どこから来たんだ！』というムキになったような声が聞こえました。それでも男は返答しない。仕方なく警官たちは男の両脇を抱え、近くの交番へ引きずるように連れて行きました」
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
事件の背景には、何があったのだろうか。
「成績が振るわず絶望し、名門高校の生徒が事件を起こす例は過去にもありました。ただ、多くは矛先が自分自身や家族に向かう。無差別で見知らぬ人々を殺害しようとしたというのは、聞いたことがありません。
今回の事件には、ネット社会と新型コロナウイルスが影響していると思います。厳しい受験競争にさらされる名門校の生徒がネット上で目にするのは、極端な学歴論です。人生で成功するには、東大、しかも医学部に入って医者になるしかないという考えに侵されている。『東大がすべてじゃない』『医者にならなくても幸せな生き方はある』という事実を、理解できないんです。
本来なら学校の先生や友人に悩みを打ち明け、こうした偏見を解消すべきでしょう。しかしコロナ禍でオンライン授業が多くなり、対面で相談する機会がなくなってしまった。Ａは偏った考えを、自分の中で増幅させてしまったのだと思います。成績が下がっていても、まだ高校２年生なら、いくらでも挽回できたハズなのに……」（教育ジャーナリスト）
今後の公判で、Ａが事件を起こした詳しい背景が明らかになる。
<figure id="attachment_224901" aria-describedby="caption-attachment-224901" style="width: 5568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="78f8e652"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/01/86957482e643511ef730e29504363bdf.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-224901" class="wp-caption-text">現場には消防車やパトカーが駆けつけ朝から騒然とした雰囲気となった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_224897" aria-describedby="caption-attachment-224897" style="width: 5568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="75544188"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/01/e54804404c0feb6527441ab0fbaf3c15.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-224897" class="wp-caption-text">東大前の路上を調べていた捜査員</figcaption></figure>
<figure id="attachment_224898" aria-describedby="caption-attachment-224898" style="width: 5568px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8becda3a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/01/b6ebb1452a4067e80c0a2ca6e3154f73.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-224898" class="wp-caption-text">最初に被害にあった72歳の男性が駆け込んだ東大農学部近くの交番</figcaption></figure>

蓮尾真司

東大前で３人を刺傷した元少年の公判が始まった。大学入学共通テストの初日に前代未聞の事件。加害者は当時、愛知県内の超名門校の高校２年生。目撃者が見た事件直後の少年の異様すぎる言動とはーー。

「医者になれないなら切腹しようと」…愛知・名門校出身の男「東大前で３人刺傷」直後の超異様な言動

あなたへのオススメ

関連記事