<figure id="attachment_336892" aria-describedby="caption-attachment-336892" style="width: 1235px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7d789e8e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/dc70bf867a0a28b874e6445e2e32ea92.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336892" class="wp-caption-text">ホテルアルパ（東京都豊島区）気球に見立てたオブジェの風船の部分が円形のベッドに（注：写真はすべて&#8217;00年取材当時のものです）　©都築響一</figcaption></figure>
<p><a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/336811"><span class="strongInContent">【前編・1周回ってアート空間！昭和のレガシー、エロとグロのアミューズメントパーク『秘宝館』とは】</span></a>では都築響一氏の写真集『秘宝館』で紹介されている昭和のレガシーともいえる秘宝館を紹介した。</p>
<p>秘宝館と同様に、今や絶滅危惧種と言われるのが、昭和スタイルのラブホテルだ。回転ベッドや船や車の形をしたベッド、ブランコやウォータースライダーなど、もはやアミューズメント空間のような部屋が日本全国に出来た時代があった。都築氏の写真集『ラブホテル』にはそんなスゴイ内装の昭和のホテルが29軒登場するが、当時のインテリアが現存するのは１軒ほどではないかという。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p><span class="strongInContent">「昔ながらのインテリアは 基本維持できないんですよね。例えば回転ベッドのモーターが壊れた場合に直せるところがないとか。また、風営法が改正されて、法律的な縛りがすごく大きくなった。ラブホテルは風俗営業に当たるので、許可地域は都内でも３~４カ所とかごく限られた地域。都道府県によっても違うけど、基本的に指定地域外は営業できないんです。地域外だともう改装できないとか、鏡張りの部屋はなかなかできないとかね。</span></p>
<p><span class="strongInContent">そのおかげで生き延びるのが難しくなった。 宿泊業であるためにはフロントがなきゃいけないとか、飲食施設がついてなきゃいけないとか、いろんな縛りがあるので、今あるホテルは名目上は、普通のホテルっていうところが多いんじゃないですか」（都築響一氏、以下同）</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>取材が行われた’00年ごろも、秘宝館のときと同様にグーグルマップはないため、どこに撮りたいような内装のホテルがあるのかという情報はなかった。一軒一軒現地に行って訪ねてみるしかなかったそうだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「本当にもう片っ端から入ってみたという感じ。ラブホテルって大体、建物の外にパネルがあるじゃないですか、中にあるところもあるけど。それを見て面白い部屋があったら、撮影をお願いするっていう感じですね。足で探すしかなかったです。アシスタントと2人でラブホテル街をうろうろしていました。でも、撮影をお願いすると、ほとんどのホテルのオーナーは撮影をOKしてくれたんです。やはり、自分たちが凝って作ったものに自信があったのでしょう」</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="部屋の撮影でも思わぬ苦労が…"></div>
<p>また、部屋の撮影でも苦労があった。</p>
<p><span class="strongInContent">「例えば、回転ベッドっていうのは、ベッドが回転するだけじゃなくて基本的に天井や 壁は全部鏡張りなんです。 回転しながら、こう、あられもない格好をしている自分たちを見るっていう楽しみ。つまり、常に自分たちが映るように作ってあるわけですよ。</span></p>
<p><span class="strongInContent">だから、撮影している自分たちが写りこまないようにするのが一苦労なんです。大判のカメラを使っていたので、2メーター角以上ぐらいある黒い布を、スタンドで立てるようなものを作って、真ん中に穴を開けてレンズだけ出るようにするんです。１カットごとにそんな大がかりなセッティングをしなければいけないので大変でした」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>本書に掲載された部屋は、気球の風船部分がベッドになっている部屋や、屋形船を模したベッド（以前は水に浮いていたらしい）、コーヒーカップから７~８人は入れる岩風呂まで、贅を尽くした謎のアトラクションに満ちている。今ではもう見られないそれらは、まさしく昭和のレガシーだ。秘宝館や昭和のラブホテルなど、性をアトラクションに変換してしまうところは一つの「COOL JAPAN」なのかもしれない。ただ、都築氏は、こういったものを単に「レトロ」なものとして愛でるだけではもったいないと語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「今でこそ『レトロ』なものですけど、当時20歳だった人たちは、例えば回転ベッドを最先端のものとして、驚き、楽しんでいたんです。だから、令和でも現在最先端のそういった場所で、同様の体験をしてもらえたら、余計面白いと思うんですよ。</span></p>
<p><span class="strongInContent">すると、あ、当時のうちのお父さんお母さんはこういうところで楽しんでたんだ、というような親しみを持てるかもしれません。だから、全てが失われたわけじゃなくて、場所はなくてもスピリットは残っている。そういう楽しみを自分たちで見つけるのは楽しいことだと思いますね」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>今回のアップデート版で巻末に追加された部分は、そうした都築氏の願いが込められているのだという。どこか懐かしくそれでいて新しくもある昭和のエロの世界をごく一部ではあるが、ご堪能いただきたい。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="【写真】『ラブホテル』…めくるめく官能の部屋"></div>
<div>
<figure id="attachment_336893" aria-describedby="caption-attachment-336893" style="width: 736px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="187f62d2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/42e43ff6bc262c421ea20a1fb9ed5f50.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336893" class="wp-caption-text">『ロンシャン』（大阪府大阪市都島区）ベッドのある２階からウォータースライダーで１階のプールへ滑り降りることが。都築氏によれば、関西のほうがコテコテのラブホが多いのだとか　©都築響一</figcaption></figure>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336895" aria-describedby="caption-attachment-336895" style="width: 945px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9e7e0595"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/e0beb460b4e0d73044120eed06f22c80.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336895" class="wp-caption-text">『迎賓館』（神奈川県川崎市川崎区）以前は水の入ったプールに船が浮かんでおり、鯉が泳いでいたという　©都築響一</figcaption></figure>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336896" aria-describedby="caption-attachment-336896" style="width: 1700px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0b3b2ff1"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/ee401d519fcd1931174d6213fbbeb8e6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336896" class="wp-caption-text">『ケルンⅡ』（東京都渋谷区）全室ブラックライトアートを導入。この401号室は職人が10日がかりで完成させたのだとか　©都築響一</figcaption></figure>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336898" aria-describedby="caption-attachment-336898" style="width: 1479px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fa5ad048"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/5cc46c416ea2a257b7d359720d3eba14.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336898" class="wp-caption-text">『SPACY』（神奈川県横浜市港北区）枕元のパネルでライトの色はコントロールできるらしい　©都築響一</figcaption></figure>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336899" aria-describedby="caption-attachment-336899" style="width: 2946px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2e342f5b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/87ec37e2013de2a01c6ff6f97f77af4a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336899" class="wp-caption-text">『ホテル・ザ・リッチ』（大阪府大阪市都島区）「クラブビート」と命名された派手な電飾＆回転ベッドの部屋　©都築響一</figcaption></figure>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336900" aria-describedby="caption-attachment-336900" style="width: 1572px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5b251cf4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/15a2115f2db753c951c5520ddcd8dd82.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336900" class="wp-caption-text">『PIAA』（大阪府大阪市東淀川区）コーヒーカップは回転ベッドの動力部分を使用。ただ取材時には故障しており、手動のみで動く状態だったという　©都築響一</figcaption></figure>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336907" aria-describedby="caption-attachment-336907" style="width: 2362px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="facb6c61"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/5b8405998d576442a084435a23fdccff.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336907" class="wp-caption-text">『P＆Aプラザ』（東京都渋谷区）８人入れるという豪華な岩風呂。持ち込み自由でパーティルームとしてもよく利用された　©都築響一</figcaption></figure>
</div>
<div></div>
<div>
<figure id="attachment_336902" aria-describedby="caption-attachment-336902" style="width: 1781px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="63a93362"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/5ccf520d6078d31b555b6c33efedad79.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336902" class="wp-caption-text">都築響一『ラブホテル』（青幻舎、2023年）</figcaption></figure>
</div>


1989年から1992年にかけて、1980年 代の世界現代美術の動向を包括的に網羅した 全102巻の現代美術全集『アートランダム』を 刊行。以来、現代美術・建築・写真・デザインな どの分野で執筆活動、書籍編集を続けている。<br />
https://roadsiders.com/

都築響一

今ではもうほとんど失われてしまった昭和のレガシーである「秘宝館」や「ラブホテル」。’90年代からロードサイドの文化遺産ともいうべきそれらを取材してきた都築響一氏が、その魅力を語る。

気球、コーヒーカップ、…愛の色香にむせかえる桃色空間！失われゆく昭和の『ラブホテル』の世界

あなたへのオススメ

関連記事