1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』（フジテレビ系）にメインMCとしてレギュラー出演中

神田 愛花

フリーアナウンサー・神田愛花「『日本で一番早い』我が家のハロウィンパーティー　前編」

フリーアナウンサー・神田愛花「くそぉ！　これが結婚かぁー!!」

わたしとピンクと、時々NY

<figure id="attachment_336862" aria-describedby="caption-attachment-336862" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="966bff29"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/d0f7bdcaa43984ab49744ce7dc035970.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-336862" class="wp-caption-text">神田さんが描いたイラスト</figcaption></figure>
<p>食欲の秋がやってきた。私は食べ物の好き嫌いもアレルギーもない。なんでも食べられる。とくに秋は積極的に色々食べたいと思うのだが、そんな私でもどうしてもモヤモヤする食材がある。″裏山で採れた山菜″ってヤツだ。</p>
<p>春の訪れを告げるふきのとうの天ぷらは、ほんのり苦味があってとても美味しい。山菜のおひたしだって、あったら気分転換になって有り難い。決して山菜が嫌いなわけではない。だがＮＨＫアナウンサーとして初任地の福岡で、人生で初めて山菜と向き合った時、どうしても納得出来ない現実を見てしまったのだ。</p>
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<p>それは、全国放送の朝のニュース番組のお天気コーナーで、生中継を任せてもらった時だった。空模様を旬の味覚とともに伝えるため、取材先に行っていた。</p>
<p>合間にお腹が空き、たまたま見つけたお蕎麦屋さんに入った。お店の方にオススメを伺うと、「『裏山で採れた山菜蕎麦』です。今朝このお店の裏山で採ってきた山菜なんですよ」とのこと。</p>
<p>つい数ヵ月前まで大学生だった当時の私にとっては、学食の安価な「ざる蕎麦」や「かけ蕎麦」こそがお蕎麦だった。祖父や母とちゃんとしたお蕎麦屋さんに行った時だけ特別に、お餅が入っていて贅沢な「力そば」を注文していた。山菜ってちょっと大人……と言えば聞こえはいいが、ハッキリ言って地味。東京で華やかな大学生活を送ってきた女子が口にする物ではないと、思い込んでいた。</p>
<p>だがもう社会人。上司からは、「自分とは縁がない土地に赴任したからこそ、誰よりも県内の隅々まで取材に行き、人々の生活を知る。そうなった時にようやく、伝わるニュースが読めるようになるんだ」と言われていた。なのでオススメを聞いて（山菜蕎麦か……）とは思ったが、アナウンサーとして成長するため、意を決して、山菜蕎麦を注文した。</p>
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<h2>裏山で採れた山菜の値段って？</h2>
<p>とはいえ、その頃の私はお給料のほとんどをお洋服に注(つ)ぎ込み、家賃を滞納して母に借金をしていた身。なんとか食費を抑えたい。うっかり値段を確認せずに決めてしまったが、「裏山で採れた」ということは原価が０円のはず。よってお値段は、具が入っていないお蕎麦と大差がないはずだと結論づけ、食べ進めた。だがお会計でビックリ!!　贅沢な「力そば」と同じくらいのお値段だったのだ。</p>
<p>何故だ!?　お餅は、お餅になるまでに機械を使っていたり人による管理があったりで、電気代や人件費がかかっている。だからお餅自体に値段がつき、それがお蕎麦の金額に上乗せされるのは当然だ。だが、裏山で採れた山菜は!?　電気代も肥料代も人件費もかかっていない。お蕎麦の値段に調理した人件費が上乗せされるくらいの価格で大丈夫なはずだ。よって、「力そば」よりは安く、「ざる蕎麦」より多少高いくらいが妥当なはず。</p>
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<p>それなのに、育てるのに労力がかかったと言わんばかりの価格がまかり通るのに納得がいかない。商業用に生産された山菜を仕入れていただき、その分の値段が上乗せされた山菜蕎麦を食べたほうが気持ちがいいし、お金を払う気になる。</p>
<p>この、原価０円の物に雰囲気を漂わせて高額な値段をつける商法は、別の取材でも目の当たりにした。</p>
<p>その町の用水路では、沢ガニが自然繁殖し、道路にはみ出してしまうぐらいに大量発生していた。カニを（可愛い！）と感じる私は興奮していた。だが取材の合間に入ったお店で、″沢ガニの素揚げ″というメニューがオススメ欄に書いてあったのだ。（もしや……）と思い、確認のために注文した。（やっぱり……）。素揚げにされて美味しそうな色になった沢ガニたちは、用水路の沢ガニと姿形が同じだった。一応お店の方にも聞いてみた。朝のうちに用水路から捕まえて素揚げにした、とのこと。「美味しいでしょう？」と笑顔で話していた。お値段は、養殖ものと同じような金額だった。</p>
<p>裏山で採れた山菜も、すぐそこにいる沢ガニも、食べれば美味しいのはわかる。これらを経験したのが20代前半。それから20年も経ったが、未だにモヤモヤする。その間何度も（地元の食材という付加価値にお金を払うという事で納得しよう）と思考を変えることを試みてきた。でもやっぱり、考えれば考えるほど、な〜んにも納得いかないのだ。この件、皆さんはどう感じるだろうか。</p>
<figure id="attachment_336861" aria-describedby="caption-attachment-336861" style="width: 3004px" class="wp-caption alignnone"><img loading="lazy" class="wp-image-336861 size-full" src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/695002d97b11ca3cd791054813aeec37-1.jpg" alt="" width="3004" height="3734" data-expapp-media-credit="PHOTO：下村一喜"><figcaption id="caption-attachment-336861" class="wp-caption-text">©下村一喜</figcaption></figure>
<figure></figure>
<p>かんだ・あいか／1980年、神奈川県出身。学習院大学理学部数学科を卒業後、2003年、NHKにアナウンサーとして入局。2012年にNHKを退職し、フリーアナウンサーに。以降、バラエティ番組を中心に活躍し、現在、昼の帯番組『ぽかぽか』（フジテレビ系）にメインMCとしてレギュラー出演中</p>
<p>『FRIDAY』2023年10月27日号より</p>
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神田愛花

食欲の秋がやってきた。とくに秋は積極的に色々食べたいと神田愛花。20代のとあることから、どうしてもモヤモヤする食材が…あれから20年経っても、考えれば考えるほど納得がいかない。みなさんはどう思う？

フリーアナウンサー・神田愛花「神田愛花vs裏山の山菜」

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