<figure id="attachment_337249" aria-describedby="caption-attachment-337249" style="width: 1811px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f7d8b8f8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/94f86a12224b7074a8e74088d529282c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337249" class="wp-caption-text">編集部周辺のコンビニにて購入したRTD。「無糖」やアルコール度数など、トレンドに沿った売り文句が目立つ</figcaption></figure>
今や若者はビールを飲まないのか――。
FRIDAY記者が都内のコンビニを訪れた金曜日の夜、「宅飲み」をすると思（おぼ）しき20代のサラリーマン４人組は、ビールコーナーに見向きもせず、大量の缶チューハイをカゴに詰めていた。
「10月１日より、ビール系飲料の酒税一本化に向け、酒税が改正されました。ビールの税率は下がったものの、『金麦』や『本麒麟』など第３のビールの税率がアップ。庶民の味方だった人気商品が値上げするとあって、第３のビールの愛飲家たちは今後、価格が変わらない『ＲＴＤ』に流れていくと見られています」（経済ジャーナリストの河野圭祐氏）
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ＲＴＤとは「レディ・トゥ・ドリンク飲料」の略で、缶チューハイや缶カクテル、ハイボール缶など、ビールやワイン以外の低アルコール飲料を指す。ＲＴＤの税率は据え置きなので、これからも安心して晩酌を楽しむことができるのだ。なかでも人気なのはやはり、缶チューハイとハイボール缶だ。年間1000本以上のＲＴＤを飲み、商品レビューをネット上に投稿している缶チューハイ研究家の「ストロングおじさん」が解説する。
「もともと日本ではビールが圧倒的な人気を誇っていましたが、’84年に宝酒造から日本初の缶チューハイである『タカラcanチューハイ』が発売され、翌年度には581万ケース（250ml×24本で１ケース換算）を売り上げる大ヒットを記録。″サラリーマンの定番飲料″としての地位を確立しました。
そんな宝酒造一強のイメージをガラリと変えたのが、’01年にキリンから発売された『氷結』です。それまでのチューハイは焼酎ベースで、果汁感が控えめなものが多かった。ところが氷結はウォッカベースで、フレッシュな果汁感に甘さもあり、ジュースライクな味わいだったことで若者から爆発的な支持を獲得しました。以降、ＲＴＤ市場は右肩上がりで成長。各社が続々と新商品を投入しています」
氷結の天下はいまだ続いているが、’10年前後から新興勢力が大暴れしている。アルコール度数９％の「-196℃ストロングゼロ」（サントリー）らストロングブームの到来だ。
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「ブームの背景には二つの要因がありました。一つは長く続く不況の影響で、安く酔える酒の需要が高まったこと。もう一つは、’08年からメタボ健診がスタートし、低糖質・低プリン体が意識されるようになり、ビール離れが進んだことです。ストロングゼロは糖類、プリン体がゼロですから、その需要にピッタリとハマったわけです」（前出・ストロングおじさん）
ただ、安く酔えるとは言っても、味がよくなければ意味がない。飲料専門家でコンサルタントの江沢貴弘氏が言う。
「店で出されているチューハイに対し、家庭で飲む缶チューハイはレモンの香りが弱いことがネックだった。ところがストロングゼロは、マイナス196℃でレモンをまるごと凍結させ、粉砕したものを入れた。香りの強い果皮も入れたことで風味がアップ。缶を開けた瞬間にフレッシュなレモンの香りがする、お店のようなレモンサワーとしてヒットしたのです」
時流をいち早く掴んだサントリーは、同時期からハイボールブームの創出にも着手。’09年から居酒屋を中心に普及を進め、「角ハイボール缶」や、女優の吉高由里子をＣＭに起用（’10年～）した「トリスハイボール缶」などヒット商品を生み出した。ストロングゼロと同様に糖類ゼロで、スッキリとした喉越しが特徴だ。
「サントリーはもともと、『山崎』や『響』など高級ウイスキーのほか、ジンなど様々なスピリッツを扱っている企業。チューハイやハイボールの製造過程でも、その強みを活かして種類豊富な新商品を生み出せている。’14年にアメリカの大手酒造メーカー『ビーム』を買収したことも大きかった。世界で最も売れているバーボンである『ジムビーム』を手中に収めたのです」（同前）
サントリーの昨年のＲＴＤ売上本数は約19,5億と国内企業ではダントツの１位。ストロングゼロや「角ハイボール缶　濃いめ」（ともにアルコール９％）で低糖質、高アルコールをヒットさせたかと思えば、ジュース感覚で飲める低アルコール飲料「ほろよい」（３％）を’09年から押し出すなど、手数の多さで他を寄せ付けない。
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<h2>「一強」を揺るがす存在</h2>
王者のサントリーを追うのが、年間売り上げ約12.4億本のキリンだ。前述の通り、ＲＴＤ最大のヒット商品「氷結」や果汁感を打ち出した「本搾り」の２枚看板で安定した業績を上げている。
「ナンバーワン商品があるからと胡坐（あぐら）をかかないのがキリンの強み。低糖質志向が強まっていた’20年には『氷結　無糖』を大ヒットさせ、’21年には発酵の技術を活かした『麒麟 発酵レモンサワー』を販売。ＲＴＤとビール製造技術のシナジーを模索している。10月17日発売の『上々　焼酎ソーダ』も、米麹の抽出物を使用するなど、発酵技術を活かした商品です」（前出・ストロングおじさん）
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やはり大きな販路と定番商品を持ったビールメーカーが強いのか――と、思いきや、業界３位の年間売り上げ約５億本を誇るのは、古豪・宝酒造だ。
「最も歴史のある缶チューハイメーカーで、自社の作る『宝焼酎』に絶対の自信を持っている。だから、余計な文言やデザインは省き、『焼酎ハイボール』『canチューハイ』などシンプルな名前の商品で勝負しています。
最近では、『極上〈宝焼酎〉タンチュー』を発売。ソーダと自社焼酎を独自の黄金比率で割って、味付けをしないという珍しいドリンクです。消費者が自分でアレンジできるようにあえて手を加えないというのは、やはり元となる焼酎がおいしくなければできない決断です」（前出・江沢氏）
「スーパードライ」などビールが圧倒的なアサヒビールは、「贅沢搾り」や「ザ・レモンクラフト」など果実感を売りにした商品で業界４位に立つ。
「濃いめのレモンサワー」などの商品で年間約2.1億本を売り上げるサッポロビールは、業界５位だが、酒税法改正を受けて、いち早く行動している。
「ビール市場の縮小が予想されることから、10月、仙台ビール工場の一部を、ＲＴＤ専用の製造ラインに変更しました。この決断が功を奏し、躍進する可能性は充分あるでしょう」（前出・河野氏）
酒造メーカーがしのぎを削る中、虎視眈々と覇権を狙うのは清涼飲料大手のコカ・コーラだ。前出の江沢氏が話す。
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「’19年発売のレモンサワー『檸檬堂』が生産が追い付かずに出荷が停止されるほどの大ヒットを記録し、一躍ＲＴＤ業界の主役となりました。レモンスカッシュのような飲みやすさは、清涼飲料水業界のトップだからこその強み。コカ・コーラ社はマーケティングにも長けていますから、同じ檸檬堂ブランドでも『無糖』『うま塩レモン』など多くのバリエーションを作っている。
コンビニの棚を確保してそれを売り出す販売網も持っています。今年４月には『ジャックダニエル＆コカ・コーラ』を発売。いわゆるコークハイです。飲みやすく、若者のお酒デビューにピッタリの商品になっている」
新商品が続々と登場する群雄割拠のＲＴＤ業界。覇者・サントリーもうかうかしていられない。
<figure id="attachment_337246" aria-describedby="caption-attachment-337246" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f7101e9e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/d5d0d7ef6545374e380c6099896ce3e6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337246" class="wp-caption-text">ビール工場の一部をRTDの製造ラインに変えたサッポロの動きに、他社も追随すると予想されている</figcaption></figure>
<figure id="attachment_337247" aria-describedby="caption-attachment-337247" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="17812fbb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/6ecd532c393b6a8c63bbb1451126e014.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337247" class="wp-caption-text">タンチューなど流行りのプレーンチューハイは、自分好みにアレンジして飲むことができるのが魅力</figcaption></figure>
<a href="#" data-ident_hash="a02c31e8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/7a44b61a11d7e04298c9e8bad0b86d45.jpg" alt=""></a>
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『FRIDAY』2023年10月27日号より

共同通信社

第３のビールの税率がアップし、税率が据え置きの缶チューハイやハイボール缶で晩酌を楽しむ流れになると解説するのは、缶チューハイ研究家の"ストロングおじさん"。各社が続々と新商品を投入し、覇権を狙う…！

大ヒット『ストロングゼロ』を猛追！…缶チューハイ＆ハイボール「アイディア商品で激戦」ダークホース

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