1974年、埼玉県生まれ。大学卒業後にITメディア等でスポーツ取材を開始し、現在はフリーランスとしてサッカー、ラグビーを中心としたスポーツ、芸能を取材。週刊誌やスポーツ誌に寄稿。2000年代のW杯、ユーロ、五輪はほぼ網羅。欧州を中心とした海外取材の経験豊富

栗原 正夫

<figure id="attachment_337398" aria-describedby="caption-attachment-337398" style="width: 1957px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="89bb315d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/c206a9a29235ad7e453e7576b99c9d80.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337398" class="wp-caption-text">AZでは若くしてリーダー的役割を果たす。今季はセットプレーのキッカーとしても貢献。隣はチームメートのFWマイケル・ラード</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「いま僕にあるのは危機感だけですね。今年の夏、別リーグに移籍したいと思っていて、実際に話も来ていたのですが、まとまらなくて……。モチベーションを保つのが難しい時期もありました。ただ、代表戦もあるので、投げやりになってはいけない。だから、『もしかしたら今回は移籍しなくてよかったという未来があるかもしれない』と、そんな風に考え方を変えながらやっています……」</span></p>
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<p>カタールＷ杯後に再スタートを切った第２次森保ジャパンで右サイドバックとして、ここまで全６試合中５試合に先発。９月に強豪ドイツを４-１で破った一戦では、右ＭＦの伊東純也（30）と巧みに連係しながら、ピンポイントクロスで２点を演出するなど出色のパフォーマンスを見せた。日本代表の10月シリーズ（13日・対カナダ、17日・対チュニジア）はもちろん、来月から予選がスタートする’26年北中米Ｗ杯に向けて期待される選手、なのだが――菅原由勢(ゆきなり)（23・ＡＺアルクマール・ＤＦ）の表情は冴えなかった。</p>
<p><span class="strongInContent">「ドイツを相手にいいサッカーをして勝てたことは、日本のレベルが上がった証明になったと思います。その要因のひとつは、主要メンバーとなっている海外組が日々、高いレベルで勝負していることなんです」</span></p>
<p>ベテランの長友佑都（37）や酒井宏樹（33）が代表を抜け、森保ジャパンでの菅原の存在感は増しつつある。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="自分との戦い……"></div>
<p>加えて、今季は所属するオランダ１部リーグのＡＺも７勝１分けで首位ＰＳＶに次ぐ２位（10月８日時点）と好スタートを切り、チームの主軸として菅原は欠かせないピースとなっているのだが――。</p>
<p><span class="strongInContent">「代表に行けば、活躍している選手はやっぱり上のリーグに在籍しています。僕はまだ５大リーグ（イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス）でもないオランダにいて、もっと上のレベルでやらないといけないという危機感は大きいです。今季はそうした気持ちと常に戦っていくことが必要だし、でなければ自分がダメになっていく気がする。もっと突き詰めて考え、自分を奮い立たせないといけないと思っています。自分との戦いですよ（苦笑）」</span></p>
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<p>振り返ればカタールＷ杯以後、菅原は代表で出場を続けるなか、報道陣から何度となく、その手応えについて聞かれてきたが、一貫して「危機感しかない」と答え続けてきた。</p>
<p><span class="strongInContent">「代表はとくに誰にも用意された椅子なんてないですからね。周りがどうこうじゃなく、１つのポジションを奪うために、いかに自分をレベルアップできるか。確かに３月、６月、９月の代表戦で僕はチャンスはもらいましたが、常に森保一監督やコーチ、仲間から『菅原で大丈夫か？』と試されているように感じていました。自信と慢心は紙一重。仮に１ミリでも試合に出るのが当たり前だと感じたら、絶対それがプレーに表れるのがサッカー。だからこそ、常に矢印は自分に向けるべきだし、妥協なく自分のやるべきことを取り組み続けるだけだと思っています」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="「歩みを止めちゃダメだ」"></div>
<h2>「歩みを止めちゃダメだ」</h2>
<p>ユース年代から世代別代表として活躍してきた菅原だが、’21年には東京五輪、’22年にはカタールＷ杯のメンバーから外れるという苦い経験もしている。</p>
<p><span class="strongInContent">「落選したのは、自分がその時点でメンバーに値しなかったということ。それは誰のせいでもないし、自分がいちばんわかっているつもり。だからこそ、自分はどんな選手なのか、目指す場所に到達するためには何が必要なのかっていうのは改めて考えました。いろんな意味で、自分のことを考える時間は増えました。その悔しさがあって、いまがあるのは間違いない。ただ、この半年間、少し代表で試合に出たぐらいでもう、『あの落選があったから今がある』なんて簡単にまとめたくない。この先10年、15年が過ぎて、『あの経験があってよかった』と言えるまで、僕は歩みを止めちゃダメだと思う。五輪とＷ杯に２年連続で落選したんだから、そりゃ一生頭に残りますよ。でも、それを糧にもっと圧倒的な選手にならなければと思っています」</span></p>
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<p>’19年に10代でオランダに渡った菅原は、すでに現地で丸４年以上生活してきた。だが、車の免許を取る時間がなく、練習などにはスクーターで通う日々だった。</p>
<p><span class="strongInContent">「ちょうど日本で教習所に通っていたときにＡＺへの移籍が決まったり、コロナが流行してしまったりと、なかなか（免許を取りに行く）チャンスがなくて。まあ車があっても、リーグと代表で連戦が続いていて、どこにも行けてないですけどね（苦笑）」</span></p>
<p>昨季、ＡＺはリーグ４位。欧州第３のカップ戦ＵＥＦＡヨーロッパカンファレンスリーグでは準決勝まで駒を進めた。ゴールやアシストというわかりやすい数字を残しにくいＤＦの菅原にとっては、５大リーグへの移籍を狙うためにも、チームとしての結果が欲しいところだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「勝負の１年だと思っています。数字も大事だけど、90分を通してどういうプレーをできるか。まずは昨季よりいい成績を残すこと。その結果、いい形につながればと思っています」</span></p>
<p>慢心、油断とは程遠い男のステップアップは、そう遠くないはずだ。</p>
<figure id="attachment_337399" aria-describedby="caption-attachment-337399" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2dfe1264"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/dd62a26e237bc57e5174cac271729ea6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337399" class="wp-caption-text">９月のドイツ戦ではFWニャブリ（バイエルン）に仕事をさせず、２得点に絡むなど、攻守両面でアピールした</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年10月27日号より</p>


栗原正夫　

渡辺航滋

ドイツ戦で出色のパフォーマンスをみせた「第２次森保ジャパン」期待のサイドバック"菅原由勢"に直撃インタビュー！ユース年代から世代別代表として活躍するも、苦しい経験も…菅原が語る"危機感"の意味とは。

サッカー日本代表・菅原由勢直撃インタビュー「自信と慢心は紙一重！常に矢印を自分に向けています」

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