<p>「スポーツの秋」「読書の秋」「芸術の秋」などがあるが、歌舞伎町ホストたちは「食欲の秋」に力を入れている。</p>
<p><span class="strongInContent">「食事に関する知識は、ホストの売り上げに直結するんですよ」</span></p>
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<p>そう話すホストのカイト（仮名・26）はホスト歴３年にして、多くの後輩の面倒を見る売れっ子だ。</p>
<figure id="attachment_337691" aria-describedby="caption-attachment-337691" style="width: 1280px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="670c68fc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/95295f1b7010748a451175f41c4b79fb.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-337691" class="wp-caption-text">一番料理が上手いホストを決める「料理王」選手権で優勝した鬼柊(きさらぎしゅう)のチキンソテー</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「系列店の後輩や最近頑張ってるなと思うキャスト、営業後にお腹を空(す)かせてるキャストにも、上位ランクのホスト飯(めし)（ホストが客の女性を連れて行くような鉄板焼き店など）を奢(おご)ります。暗黙の了解で、売れて役職が高い人が、そういう店を後輩に教えるんですよ」</span></p>
<p>売れているホストほど、女性と店外で食べる機会も増えるため、歌舞伎町周辺の飲食店事情に精通しているという。</p>
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<p><span class="strongInContent">「僕も売れ始めの頃、代表にありとあらゆる名店に連れて行ってもらいました。夜職の女の子は男性客に高いものを奢られてるし、お金をたくさん使ってくれる昼職の女性も稼いでいてグルメが多い。</span></p>
<p><span class="strongInContent">当時は『売れたらこんなご飯を毎日食べられるのか！』ってハシャぐだけでしたが、後輩たちには『いいお客さんを繋(つな)ぎとめておくために、飲食店の知識を身につけて、スマートに誘えるようにしておくんだよ』って教えています」（同前）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="コロナがターニングポイント"></div>
<p>歌舞伎町のホストクラブでは、店を一歩出れば、女性客の食事代は基本的にホストが負担する。「300万円使った日のアフターがラーメン屋で萎(な)えた」「指名して半年記念日に高級ディナーを予約してくれた！」など、ホス狂の女性たちは、彼らが連れて行ってくれる店の価格帯が自らの評価だと感じている。</p>
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<p>ここ最近では、手料理で勝負するホストも増えている。その背景には&#8221;元料理人ホスト&#8221;の増加があるという。</p>
<p><span class="strongInContent">「コロナ禍で飲食店が一番打撃を受けたから、やっぱホストにも飲食関係者が多いのかもしれないですね」</span></p>
<p>そう語るホス狂のミユキ（仮名・22）が指名していたホストもコロナによって歌舞伎町に流れ着いた若者だったという。</p>
<p><span class="strongInContent">「シェフを目指していたんだけど、コロナの後遺症で嗅覚が鈍くなってしまったらしくて。作ってくれたビーフシチューとかサラダは美味しかったけど、彼が修業していた一流店では何度作っても香りも味も違う、って料理長に言われ続けて絶望しちゃったみたい。</span></p>
<p><span class="strongInContent">他にも〈実家の飲食店がコロナ禍で借金を抱えて、店を立て直すためにホストになった〉とか、〈シェフ見習いが薄給すぎて耐えられなくなった〉とか〈港区の金持ちが集まる高級飲食店で働いていたらスカウトされた〉ってホストに会ったことがあるかな」</span></p>
<p>元料理人ホストの中には、職人気質ゆえに女性そっちのけで何時間もスープを煮込んだり、ＳＮＳ用の料理写真を撮影して嫌われたという失敗談もあるという。</p>
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<p>大手ホストグループ『シンスユーグループ』は特殊技能を持つホストを評価しようと、さまざまな選手権を行っている。</p>
<p><span class="strongInContent">「８月末には『料理王』選手権が開催され、現役ホストたちがお題に沿った手料理を披露しました。グループの役員たちが採点し、見事１位に輝くとグループの系列店舗として自分の飲食店を持つ権利が与えられます。今年１位に選ばれた鬼柊(きさらぎしゅう)は、もともと海上自衛隊の料理人でしたね」（シンスユーグループ社員）</span></p>
<p>日々、ホストたちは女性の胃袋を掴もうと鍛錬する。しかし「私そういうのわかんないし、グミしか食べないんだよね」と偏食女子にバッサリ斬り捨てられることも。女心と秋の空はやはり予測不能だ。</p>
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<p>佐々木チワワ<br>
’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。<a href="https://amzn.to/370KOi8" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認 』</a>（扶桑社新書）が好評発売中</p>
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<p class="p1"><span class="s1">『</span>FRIDAY<span class="s1">』</span>2023<span class="s1">年</span>10<span class="s1">月</span>27<span class="s1">日号より</span></p>
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歌舞伎町ホストによれば「食事に関する知識は、売り上げに直結する」とのこと。売れているホストほど、食について詳しくなくては女性客の心を掴めないと言うのだ。昨今はコロナ禍で元料理人ホストも増えており……

「食事の知識が売り上げに直結」…！元料理人ホストが急増中「飲食関係者が女子ウケする」意外な理由

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