<figure id="attachment_338023" aria-describedby="caption-attachment-338023" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e01ac31e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/63a8fc9e2c20f9e9b454450d066c2eb0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-338023" class="wp-caption-text">JOC山下会長は10月11日、秋元札幌市長と会談後、’30年大会の招致を断念し、’34年以降の招致へと転換する方針を発表した。しかしそのわずか４日後、インドで開かれていたIOC総会で、来年夏に2大会を同時に決める方針が承認された</figcaption></figure>
<p>稀にみる大失態である。情報収集力不足を露呈してしまったことにより、日本オリンピック委員会（JOC）は冬季五輪招致から撤退せざるを得ない窮地に追い込まれてしまった。</p>
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<p>もともとJOCは、’30年の札幌招致を狙っていた。しかし、東京五輪汚職による世論の反発を避けるため、事態が沈静化しているであろう4年後の‘34年の開催にシフトしつつあった。そんな中で、国際オリンピック委員会（IOC）が’30年と’34年の五輪開催地を同時に決定するという可能性が浮上。本来であれば誘致に向けてアクションを起こさなければならない事態だ。だが、山下泰裕JOC会長（66）は楽観視する姿勢を崩さなかった。</p>
<p>実際に10月11日、山下会長は秋元克広札幌市長とともに記者会見に臨み、’30年と’34年の冬季大会の開催地が同時決定がされることについて、<span class="strongInContent">「そういう情報もあるが可能性は低い」</span>と予想を語っていた。さらに<span class="strongInContent">「IOCの意向を踏まえての発言か」</span>と問われると、山下会長は<span class="strongInContent">「はい」</span>と自身の考えを強調した。</p>
<p>しかし、その予想は大きく外れることになる。３日後の14日にインド・ムンバイにて開かれたIOC総会で、来夏に2大会を同時に決める方針が明らかになった。IOC委員もつとめている山下JOC会長は<span class="strongInContent">「えっという感じ。（IOCの）動きを読み違えた」</span>と狐につままれたような表情を浮かべた。IOCやソルトレークシティー（米国）などのライバル都市の動きをまったく把握できていなかったのだ。</p>
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<p>長年にわたり五輪取材に携わってきたスポーツライターの津田俊樹氏は「JOCは組織の体をなしていない」と厳しく批判する。</p>
<p><span class="strongInContent">「自分たちはIOCのバッハ会長から信頼されているから大丈夫、と勝手に思い込んでいたツケが出ましたね。わかりやすくいえば、片思いなんです。なんの裏付けなどもなく、正確な情報をつかめず、分析もなされていない。したたかなIOCへの対応ができていなかった結果です」</span></p>
<p>もともと、JOCは〝高みの見物〟をするだけで、実際に地べたを這いずり回り、清濁併せ持ちながら招致活動をしていたのは電通だった。</p>
<p><span class="strongInContent">「電通はどこを攻めればいいのか、キーパーソンは誰かなど、これまで培ってきてノウハウを持っています。JOCは単なる神輿、それも軽い、軽い神輿に過ぎません。招致活動の仕掛け人だった電通の高橋治之・元専務がスキャンダルで被告人となり、会社も遠ざけた。お膳立てをしてもらわないと何もできない組織ですから、JOCは。上っ面だけの付き合いのみで、相手の胸の内まで食い込むような泥臭さを持ち合わせている人材などいないと思います」（津田氏）</span></p>
<p>情報を集めるだけでなく、分析して意思決定を行う知見と、方向性を示しながら実務として具体化する能力を持ち合わせていない。もし、それらを少しでも持ち合わせていたなら今回の大失態は起きなかった。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="海外からも事実上の”辞任要求”の声"></div>
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<p>’30年どころか’34年開催も絶望的になり、五輪を日本で開催することにアレルギーを感じている国民の多くは内心、胸をなで下ろしているだろう。実際、朝日新聞が今年４月９日の札幌市長選前に行った世論調査でも、札幌での冬季五輪開催について「賛成」が38％だったことに対し、「反対」は47％と大きく上回っていた。</p>
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<p>しかし、札幌市のスポーツ関係者の落胆は大きい。</p>
<p><span class="strongInContent">「いろいろ聞いていましたけど、これほどまでとは……。でも、われわれはJOCに頼らざるを得ません。裏切られた思いです。山下会長の他人事のような発言に怒りを覚えます」</span></p>
<p>海外の五輪関係者は、今回のニュースをどうみているのか。</p>
<p><span class="strongInContent">「『山下は柔道のゴールドメダリストでサムライの中のサムライ。第三者から指摘されなくても今回の失態の責任の取り方を理解しているだろう。その覚悟をみせてほしい』というメールが入りました。彼は山下会長をリスペクトしているからこそ、潔さを示すときだ、と言いたいのでしょう。私もまったくその通りだと思います」（津田氏）</span></p>
<p>既に、「JOC解体」を望む声が聞こえてくる。一から出直しするために必要なのは、会長以下幹部の人事刷新である。ウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナなど国際情勢は風雲急を告げている。来年のパリ五輪まで1年を切り、平和の祭典が開催できるか、混迷は深まるばかりだ。</p>
<p>このままではJOCは取り残されていく。今ほど存在意義を問われているときはない。</p>
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共同通信社

JOC山下泰裕会長が情報収集能力を露呈し、札幌冬季五輪招致が絶望的になった。海外からも事実上の”辞任要求”の声があがる失態だった。いったい何が起きたのかーー。

「動きを読み違えた」山下泰裕JOC会長の失態で五輪招致絶望　関係者から上がる「組織解体」を望む声

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