「何が建つの?」と近隣住民からは不安の声が上がる…旧統一教会が買った「1900坪」の不穏な使い道
国士舘大学と都立高校に隣接し、付近には「カルト宗教に注意」の立て看板も……
東京都多摩市永山――。緑地に囲まれ、ハイキングに訪れる人も多い自然豊かな町に、突如「統一教会」の名が浮上したのは今年3月のこと。多摩市議会にて、市が統一教会(現・世界平和統一家庭連合)による土地取得を認めたのが発端だった。土地の登記簿を確認すると、教団は菓子卸売会社が所有する約1900坪(6300㎡)の土地を’22年4月に購入していた。
道路を挟んで都立永山高校、真横には国士舘大学多摩キャンパスといった教育機関も位置し、5分ほど歩いた先には住宅街も広がっている。教団は正体を隠した勧誘方法や霊感商法、高額献金などを巡って大きな問題を起こしてきただけに、学校法人国士舘が「本学園の教育環境に好ましくない影響を与えることに強い危惧を抱いています」、都立永山高校は「生徒の安心・安全を第一に学校運営に努めてまいります」との声明を発表するなど、周囲は警戒を強めている。
突然の土地買収劇は文部科学省が教団に対する解散命令を請求した今も、近隣住民を不安に陥れている。
「土地がどう使われるのか不安に感じていたところ、今年6月には、教団が市に対して研修施設の建設を伝達していたことも明らかになりました。解散命令まで議論されている教団の拠点が近所にできるのは、気味が悪いです」(近所の住民)
教団の計画では今年7月に菓子卸売業者の旧本社工場の解体工事を開始し、来年1月には終了予定となっている。多摩市の阿部裕行市長は教団に、施設整備を白紙に戻すよう強く求めている。
「教団は、『市に土地利用計画を制限する法律上の権限はない』と主張しています。裁判所が解散命令を出すまで時間がかかることが予想される。解散命令が出る前に施設の建設を強行し、教団を支援する関連団体などに売却あるいは譲渡する可能性は大いにあるのです。その後は、宗教法人格を剥奪された彼らが、水面下での活動拠点として施設を使い続けることもできる」(全国紙社会部記者)
教団に土地の用途と売却の可能性、周辺住民が不安を覚えていることについて質(ただ)すと、次のような回答があった。
「400名程度を収容できる研修センターを建設予定です。信者が教義を学ぶ目的で使用されます。現段階で売却予定はありません。地域住民の皆様に対しては説明会の機会を設ける予定となっております」
教団に対して建設計画の中止・撤回を求めている市民団体「統一教会はNO! 多摩市民連絡会」の広報担当・清水瑞穂氏が語る。
「10月13日に解散命令の請求が行われたこと自体はよかったですが、それで解決とはならない。ここからが始まりです。今後、裁判所の解散命令が早期に下ってほしいのと同時に、財産保全の法整備も早急に進めてほしい。教団にはこの土地への建設計画を諦めてもらい、資金は被害者救済にあてるべきだと思います」
統一教会は、こうした住民たちの声を真摯に受け止めるべきではないか。

『FRIDAY』2023年11月3日号より
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取材・文:甚野博則(ノンフィクションライター)PHOTO:桐島 瞬(1枚目) 時事通信(韓鶴子)