<figure id="attachment_339550" aria-describedby="caption-attachment-339550" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="930cdff6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/8d67432a46c70bab6889a33169d0a6d9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339550" class="wp-caption-text">今年4月、お笑いコンビ「かまいたち」の山内がYouTube動画で「お腹に注射を打つダイエット」で8キロの減量に成功したと報告。しかし…</figcaption></figure>
<h3>死ぬかもしれない「膵炎」のリスクは９倍</h3>
<p>これで死んだりしたら家族に顔向けできないな――神奈川県在住のAさんは痩せ薬を注射される段になってびびった。昨年の冬に受けた、「GLP-1ダイエット」が受けられるクリニックの体験プログラムでのことだ。自由診療で健康保険は効かない。</p>
<p><span class="strongInContent">「SNS広告を見て行きました。カウンセリング、高周波痩身マシンを一回一か所のお試し、最少量のGLP-1注射一回。＋３日分のSGLT２阻害薬をもらうプログラムです」</span></p>
<p>GLP-1受容体作動薬の皮下注射はお腹に刺すだけの簡単なものだが、急に怖くなってきた。なぜならＡさんは健康体だがぽっちゃり体型。20年来、「あと3キロでいいから痩せたい」という願望があったものの、食事制限によるダイエットも運動も続いたことがなかった。そこで、この体験プログラムを試したのだ。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>Aさんが体験した「GLP－1ダイエット」は「メディカルダイエット」とも呼ばれ、薬を飲むだけで無理なく楽に痩せられることを売りに近年、自由診療、オンライン診療で薬を処方する医療機関が増加している。</p>
<p>今年4月には、お笑いコンビ「かまいたち」の山内健司（42）がYouTube動画で「お腹に注射を打つダイエット」で8キロの減量に成功したと報告。</p>
<p><span class="strongInContent">「食欲がまず抑えられる」</span><br>
<span class="strongInContent">「摂取した糖質とかが半分くらいは尿とともに排出される」</span></p>
<p>などと解説し、コンビでCMに出演している薄毛治療クリニックで診療を受け、注射を処方してもらったと明かした。動画には「今回の動画は山内個人の体験談・見解になります」という注意書きが記されていたが、「命に関わる副作用もある薬」「きちんと管理できないと危ない」などとさまざまな意見が寄せられ、わずか2日で非公開になった。</p>
<p>そもそもこのGLP-1ダイエットに使われるGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬は痩身を目的とする薬ではない。インスリンが十分に働かないために、血糖値の高い病態が続く病気「糖尿病」の薬だ。GLP-1受容体作動薬の主たる作用は、膵臓からのインスリン分泌を促し、分泌されたインスリンによって血糖値を下げること。 SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖再吸収を抑制することで、血糖値を下げる。痩身・ダイエットへの使用は適用外だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「この2種の薬は、血糖値を下げる効果に加え、心不全、腎不全といった糖尿病の深刻な合併症を予防できる初めての薬と言うことで評判になり、一気に需要が高まりました。そこに、体重を減らす効果もあるということで大きな注目が集まり、痩身・ダイエット目的の適応外使用の需要が増加し、今や世界中でGLP-1受容体作動薬が入手困難になっています」</span></p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<div data-friday-nextpage-lead="歯止めなく痩せ続けてしまう危険性もある"></div>
<div class="expapp-yahoo-paragraph-break"></div>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<p>日本糖尿病学会は、「GLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬の適応外使用に関する日本糖尿病学会の見解」と題し、今年の４月、学会員に向けて発表（同様の見解は2020年7月にも発表されている）し、以降も再三、警告を発してきた。しかし、GLP-1受容体作動薬の「オゼンピック」「トルリシティ」や、GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」が限定出荷となっている問題は、一向に解消しない。</p>
<p>適用外使用で怖いのは、糖尿病・代謝内科の専門医ではない他科の医師が営利目的で処方している可能性が高いことだ。日本糖尿病学会は「2型糖尿病を有さない日本人における安全性と有効性は確認されていない」と警鐘を鳴らす。</p>
<p>糖尿病に対するGLP-1の使用が胆道疾患、膵炎、腸閉塞、胃不全麻痺など消化器系有害事象のリスクを高めることは以前から報告されているが、健康な人間に使用した場合はさらに危険があることが、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究で分かった。JAMA（10月5日オンライン版）が報じたところでは、膵炎のリスクは9倍に、腸閉そくは４.2倍、胃不全麻痺は３.67倍に上昇するという。</p>
<figure id="attachment_339552" aria-describedby="caption-attachment-339552" style="width: 2592px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c51184a6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/cfea38bc5cc66d7bf28eaddbb0251aa0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339552" class="wp-caption-text">警鐘を鳴らした坂本昌也医師は国際医療福祉大学医学部教授・国際医療福祉大学三田病院　糖尿病・内分泌内科の内科部長をつとめる</figcaption></figure>
<p>膵炎には急性と慢性があるが、GLP-1によって引き起こされるのは急性膵炎のほうだ。膵臓がむくんで腫れるほか、炎症が強い場合には膵臓の血流が悪くなって組織が壊死してしまう。また、膵臓でつくられた消化酵素が自らの膵臓や周囲の組織を消化してしまう自己消化によって、経験したことの無いような突然の激しい腹痛を伴い、重症化すると死亡する可能性もあるというから恐ろしい。</p>
<p><span class="strongInContent">「さらに、正常血糖の人が使用すれば低血糖となり、失神するケースもありますし、若い女性が痩せ過ぎると感染症にかかりやすくなったり、不妊になったりするリスクも高まります。それに医師の目が行き届かないところで、ただ薬を飲むだけでどんどん痩せられるとなったら、歯止めなく痩せ続けてしまう人も出てくるのではないでしょうか」</span></p>
<p>国際医療福祉大学三田病院（糖尿病・内分泌内科）の坂本昌也医師は心配する。</p>
<p>冒頭のAさんは、悩みながらも注射を受け、その後３日間に渡って薬を服用したところ、あっという間に２キロも減量することができた。ただし、吐き気や全身のだるさと言った症状が出たため、継続はやめた。楽に痩せられるのは魅力的に見えるかもしれないが、健康を壊してしまっては元も子もないという大人の判断だった。</p>
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
<figure id="attachment_339710" aria-describedby="caption-attachment-339710" style="width: 800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d99afb10"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/8a4309a4b8cd3510d3fca552e12b168e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339710" class="wp-caption-text">ダイエットをする前の山内健司（2021年4月撮影）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_339711" aria-describedby="caption-attachment-339711" style="width: 900px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ca5161ee"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/9e06fc72d2eb670183c4d92c6119a31e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339711" class="wp-caption-text">足早にスーパーを後にする山内健司（2021年4月撮影）</figcaption></figure>


木原洋美

足立百合（１枚目）田中俊勝（3、4枚目）

インターネット上で「やせ薬」として紹介される糖尿病の治療薬が製薬会社によって出荷制限がかけられる事態に陥っている。なぜ糖尿病治療に影響が出るほどの供給不足に陥ってしまったのか。その原因を追うと……

かまいたち山内も試して３カ月で８㎏減　糖尿病治療薬を健常者がやせ薬として服用する本当のヤバさ

あなたへのオススメ

関連記事