<figure id="attachment_314360" aria-describedby="caption-attachment-314360" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f1e5a3de"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/05/49f398b39b36f09ae372fb6f8ecf0dcb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-314360" class="wp-caption-text">「ライドシェア」を推し進める岸田首相。しかし、党内からもさまざまな問題点が指摘されている</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「地域交通の担い手不足や、移動の足不足といった深刻な社会問題に対応しつつライドシェアの課題に取り組んでまいります」　</span></p>
<p>現在行われている臨時国会。岸田文雄首相（66）は所信表明演説で、「ライドシェア」導入に向けて力強くこう発言した。「ライドシェア」とは「一般のドライバーが自家用車で有償送迎」をする行為。海外では普及し始めているが、国内では道路運送法で自家用車による有償送迎は原則禁止されている。無許可営業のタクシーである「白タク」と同じ扱いなのだ。導入を巡っては、自民党内でもタクシー・ハイヤー議員連盟が「安全性の観点等から問題」と断固反対を表明するなど大きな議論を呼んでいる。</p>
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<p>そんな中、弊誌取材でこの「白タク」に準ずる行為が、なんと政府主催の国際会議で行われていたことが発覚した。あろうことかネット求人サイトで「自家用車による海外来場者の送迎スタッフ」と銘打ち、堂々と募集が行われていたのである。</p>
<p>その国際会議とは、10月5日～6日に東京・明治記念館で開催された「日ASEANサイバーセキュリティ官民共同フォーラム」だ。主催したのは内閣サイバーセキュリティセンター。東南アジア諸国連合（ASEAN）との友好協力50周年を記念し、日本を含む9ヵ国のサイバー対策に取り組む官民の団体が参加。日本からは河野太郎デジタル相（60）も出席し、日本とASEAN諸国のサイバー対策の連携強化の覚書を締結した。</p>
<p>このフォーラム開催中、海外来場者らの宿泊先ホテルから会場、またホテルから羽田空港などへの移動について、送迎者を求める募集が、ネットの求人サイトで流れていたのである。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="「ASEANのカメラマン募集」と同じフォーマットで…"></div>
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<figure id="attachment_341352" aria-describedby="caption-attachment-341352" style="width: 670px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="04da4611"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/86444eec7fb30587ccf55d4d87144f7d.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341352" class="wp-caption-text">大手求人サイトに掲載された「白タク」に準ずると思われる募集広告。掲載期間や送迎区間は、ASEANフォーラムのものと一致する（写真は一部を加工しています）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「なかには白タク行為になる可能性が高いと知らずに応募した人もいたはずです。このままスルーしていい問題だとは思えません」</span></p>
<p>こう語るのは、疑惑の求人に応募したＡさんだ。道路運送法78条によると「2種免許を持たない一般のドライバーが有償で送迎すること」は原則として禁止されている。Aさんは募集内容を見て、「白タク」に当たる可能性が高いことに気付き、途中でキャンセルしたという。話を聞くと、おもむろに1枚の写真（上記）を見せてくれた。そこには、</p>
<p><span class="strongInContent">「￥6,200　自家用車で送迎できる方！海外来場者の送迎スタッフ！水天宮のホテル</span><span class="strongInContent">から青山一丁目駅付近までの送迎業務！ 2023年10月5日（木）7：30～11：30　交通費￥1,000</span><span class="strongInContent">円込」（＊翌日10月6日も同じ条件で求人募集。時間帯は9：00～12：00　￥4,900交通</span><span class="strongInContent">費￥1,000円込）</span></p>
<p>と書かれている。募集内容をスクショした他の写真にも、</p>
<p><span class="strongInContent">「￥6,200　自家用車で送迎できる方！海外来場者の送迎スタッフ！水天宮のホテルから羽田空港までの送迎業務！ 2023年10月7日（土）11：00～15：00　交通費￥1,000円込」</span></p>
<p>といった文言が並ぶ。Aさんが語る。</p>
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<p><span class="strongInContent">「私がこの求人を発見したのは9月下旬です。いつも利用している、ネット求人大手・T社のサイトで見つけました。募集していたのは、埼玉県のG社というイベント請負業の会社。G社の募集には、</span></p>
<p><span class="strongInContent">『￥6,000　国際会議での記録写真の撮影カメラマン！ 2023年10月5日｛木｝9：30～12：00交通費￥1000円込』</span></p>
<p><span class="strongInContent">という類似の募集もあり、詳細には『業務内容　ASEAN会議での記録写真撮影カメラマン』と書かれていました。それで、送迎募集に書かれた『海外来場者』がASEANの国際会議参加者ではないかと思ったんです。すぐに運営会社のT社にメール連絡しました」</span></p>
<p>Aさんは業務内容の詳細を確認したあとキャンセルしたという。自己都合のキャンセルは一定期間応募ができなくなるペナルティがあるというが、Ｔ社の対応にも疑惑が残った。</p>
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<p><span class="strongInContent">「9月30日にメール連絡しましたが、『社内にて確認中です』との返信が繰り返されただけ。10月4日夜8時過ぎになってようやくこのような返信が来ました。</span></p>
<p><span class="strongInContent">『G社のお仕事につきまして詳細のお伝えはできかねる』</span></p>
<p><span class="strongInContent">『弊社は総合的に判断し、ペナルティの付与がされないようキャンセルした』</span></p>
<p><span class="strongInContent">『（白タクに該当するかは）詳細のお伝えができかねますことを何卒ご理解うけたまわりますようお願い申し上げます』</span></p>
<p><span class="strongInContent">曖昧模糊とした内容ですが、自己都合のキャンセルのペナルティを免除したこと自体、Т社が『白タク行為』と認定した証拠ではないかと思っています」（同前）</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「白タク募集」疑惑のＧ社の衝撃回答とは…"></div>
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<figure id="attachment_339641" aria-describedby="caption-attachment-339641" style="width: 1600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f7f96ed7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/97a4774a4b1c938fb89fed380747ab4d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339641" class="wp-caption-text">「ASEANフォーラム」には河野大臣も参加していた（NISC内閣サイバーセキュリティセンター公式SNSより引用）</figcaption></figure>
<p>Aさんによれば、求人募集を見た9月下旬の段階で10月5日の送迎は「募集人数3/4人」とあり、4人中3人の応募があった。さらに10月6日の送迎と10月7日の羽田空港までの送迎は「締め切り済み」だったという。この時点で既に募集人数に達していたと思われる。つまりASEAN会議会場まで実際に送迎が行われていた可能性は高い。元東京地検公安部検事で弁護士の落合洋司氏が語る。</p>
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<p><span class="strongInContent">「『白タク』というと、客と運転手の個人間のやりとりというイメージがありますが、そうではありません。今回のケースでは、G社が白タク行為をしているということです。送迎サービスを提供する企業は、原則として国土交通大臣の許可を受ける必要あり、営業所ごとに国家資格を有する『運行管理責任者』をおいてドライバーの勤務時間の適正管理、健康状態・体調の把握、指導監督をさせるなど厳しい規制が科されています。何より走行の安全確保が大事なのです。そうしないのであれば、法人でも個人でも白タク行為に当たる可能性が高い。つまり、違法行為になります」</span></p>
<p>弊誌は募集したG社に対し、</p>
<p>・道路運送法違反の認識はあったか</p>
<p>・何人（何台）採用したか</p>
<p>・発注は主催者（内閣サイバーセキュリティセンター）だったのか</p>
<p>などについて質問状を送ったところ、期日までに以下のような返答があった。</p>
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<p><span class="strongInContent">「（道路運送法違反の）認識はまったくございませんでした。 そのような法律があることも恥ずかしながら存じておりませんでし<wbr></wbr>た。 又、<wbr></wbr>掲載している企業からも指摘等はございませんでしたので問題ない<wbr></wbr>と思っておりました。（中略）実際に運転しているのは3名となります。（中略）上記団体からの依頼ではございません」</span></p>
<p>岸田首相は、自らが議長を務める「デジタル行財政改革会議」でライドシェア導入の是非を検討しており、12月に中間報告を公表、来年6月をめどに取りまとめる方針という。「マイナンバー」のような、拙速な制度設計にならないよう願うばかりだ。</p>


鬼怒川毅（岸田）

岸田政権が推し進める「ライドシェア」。党内でも物議を醸す中、すでに政府主催の国際会議では実施されている可能性が浮上した。今年10月にも行われていた「不正疑惑」の中身とは……。

政府がライドシェアを進める裏で…ＡＳＥＡＮ国際会議に浮上した海外要人を「白タクで送迎」疑惑の真相

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