<figure id="attachment_339657" aria-describedby="caption-attachment-339657" style="width: 981px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b17b9c98"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/10/dbe2fe78d5bbb89845ed18200e8f6350.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-339657" class="wp-caption-text">『いちばんすきな花』に出演中の今田美桜。松下洸平、多部未華子らと繰り広げられる珠玉の”会話劇”だ…</figcaption></figure>
多部未華子、松下洸平、今田美桜、神尾楓珠の４人が“クアトロ主演”を務める木曜劇場『いちばんすきな花』（フジテレビ系）。このドラマは、「忘れ物」や「トラウマ」がきっかけで性別も年齢も境遇も違う男女４人が椿（松下洸平）の暮らす「お花の匂いのする部室」で協奏曲を奏でる会話劇である。
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「今作は、昨年10月期に放送され、社会現象を巻き起こした木曜劇場『silent』（フジテレビ系）の村瀬健プロデューサーと脚本家・生方美久がタッグを組んだ話題作。『silent』は、見逃し配信で歴代最高記録を突破。
10月24日に発表された『東京ドラマアウォード2023』では、６冠に輝くなど去年を代表するドラマとなった。あれから１年。４人が奏でる会話劇、そこから生まれる名ゼリフの数々に、早くも注目が集まっています」（ワイドショー関係者）
10月26日に放送された第３話では、４人が集う椿の家に元婚約者の純恋（臼田あさ美）がやってきて別れた本当の理由が明らかになる。
椿「好き同士だったけど、両思いじゃなかったなって」
純恋「両思いは、好き同士のことだよ」
椿「両思いは好き同士のことだけど、好き同士が両思いとは限らない」
なんとも含蓄のある一言。胸に刺さった視聴者もいたはずだ。
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さらに、椿の家からみんなが帰ってしまった後の心境について、
椿「１人で大丈夫だと思えるのは、一人じゃないってわかった時なんだなって」
とまた、趣のある一言をつぶやく。これこそ、会話劇の醍醐味と言っていい。
心に沁みる名セリフの数々に、思わずドラマ『カルテット』（TBS系）を思い浮かべてしまうのは、私だけだろうか。
<div data-friday-nextpage-lead="『カルテット』から繋がる”会話劇”の系譜が…"></div>
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「’17年に放送された『カルテット』は、音楽で食べていこうと夢見る松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平の４人の男女がカルテットを組み、軽井沢で共同生活を始める大人のラブサスペンス。脚本家・坂元裕二が奏でる見事な会話劇は、数々のドラマ賞を受賞。会話劇の金字塔の一つに数えられています」（前出・ワイドショー関係者）
この作品を手掛けるにあたって、坂元裕二はある覚悟を持って執筆に臨んでいる。
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「この物語は、『おかしな人たちが、軽井沢の別荘で楽器を弾いて暮らしている』フワフワした話。後に真紀（松）の夫の失踪話やサスペンスの要素も加わりますが、会話劇以外は何も足したくないという坂元さんの強い意志が、あの洒落た名ゼリフの応酬を生んだと言っても過言ではありません」（制作会社プロデューサー）
常識を覆した会話劇『カルテット』の第１話はご存知、“唐揚げ”にレモンをかけるか、かけないかで喧嘩する“唐揚げレモン”論争。衝撃の第１話から、回を追うごとに、視聴者の心を鷲掴みする名ゼリフが用意されていた。
「泣きながらご飯を食べたことがある人は、生きていけます」
「好きだってことを忘れるくらい、いつも好きです」
「私もずるいし別府(松田)くんもずるい。でも寒い朝、ベランダでサッポロ一番食べたらおいしかった。それが私と君のクライマックスでいいんじゃない」
「そこ白黒はっきりさせちゃダメですよ、したら裏返るもん、オセロみたいに。大好き大好き大好き、大好き大好き大好き殺したいって」
こうした“数珠の言葉”が生まれ落ちる瞬間に、我々視聴者は度々立ち会うごとができた。まさに至福のドラマ。企画を通した製作陣にも、ひれ伏すばかりだ。
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ひるがえって『いちばんすきな花』の脚本を手掛ける生方美久も、坂元作品『Woman』『問題のあるレストラン』を繰り返し見ている坂元裕二チルドレン。『いちばんすきな花』は『カルテット』へのオマージュであり、『カルテット』に挑む意欲作でもある。
「椿の家の花壇には、婚約指輪が葬られ”オクサマ”と書かれたアイスの棒がポツンと立っている。ゆくえ（多部）、夜々（今田）、紅葉（神尾）の３人は、家を訪れる度に手を合わせているために、第３話で急に訪ねて来た純恋に思わず手を合わせてしまう。
この場面も、いとおかし。さらに『みんなのいい人にはなれるのに、誰か１人のいちばん好きな人にはなれない』『言っちゃいけないことはたくさんあるけど、思っちゃダメなことはないです』『２人は1人より残酷。二人は1人いなくなったら途端に1人になる』と言った名ゼリフが、初回から散りばめられている。今作のテーマ“男女の間に友情は成立するのか”を今後、どう描いていくのか。名ゼリフと共に、気になるところです」（制作会社ディレクター）
今作が『カルテット』へのオマージュで終わってしまうのか。それとも『カルテット』に挑む意欲作となるのか。今後の展開が、ますます楽しみだ――。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

新井 熊太郎

今田美桜、多部未華子、松下洸平、神尾風珠らが出演する話題のドラマ『いちばんすきな花』。彼らが繰り広げる”会話劇”では、”刺さる”セリフが数々飛び出すのだが……

「好き同士が両思いとは限らない」ドラマ『いちばんすきな花』が挑む、伝説の会話劇『カルテット』超え

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