<figure id="attachment_340962" aria-describedby="caption-attachment-340962" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="74ac129d"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/b8511cd0fcc66c4546f75daaebed14c8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340962" class="wp-caption-text">高校まで北海道・旭川で育った北口。彼女が所属した北海道陸上協会に「登録料未納」の事実が判明した。北口がこの事実を知ったら、どう感じるのだろうか</figcaption></figure>
<p>今年８月の世界陸上（ハンガリー・ブダペスト）の女子やり投げで、北口榛花（25）が優勝したのはトラック・フィールド種目を通じ、日本人女子選手として初の快挙だった。</p>
<p>北口は旭川出身で高校まで北海道で過ごしたが、故郷の北海道陸上競技協会（以下、道陸協）が道内の中、高、大学生らから徴収した’22年度分の登録料735万2500円を納付期限が過ぎても、日本陸上競技連盟（以下、日本陸連）に納めていないことがわかった。道陸協、日本陸連とも未納を認めている。選手資格にかかわる登録料はどこへ消えてしまったのか。道陸協の不透明な会計処理は、いまだ世界制覇の興奮がさめない北の大地に水をさすスキャンダルになりかねない。</p>
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<h3>「私的流用の可能性」</h3>
<p>世界一に輝いた北口は11月１日、‘24年パリ五輪で金メダルの期待がかかる来季にむけて都内で練習を再開。報道陣に練習公開したその裏で、自分が生まれ育った道陸協の不正疑惑が発覚した。</p>
<p><span class="strongInContent">「札幌五輪招致については、札幌市長が“招致の火を絶やしたくない”と表明し、何らかの可能性を探るのかもしれませんが、それ以前に真っ先に目を向けないといけないことがあるんです。道陸協が中学生や高校生から集めた登録料を日本陸連に納めていない、と聞きました。金額は700万円以上にもなるらしい。一生懸命頑張っている子供たちを裏切るなんて許せません」（競技団体関係者）</span></p>
<p>登録料は単なる会費ではなく、競技会に出場するための必要条件で、<span class="strongInContent">陸連登録会員規程第８条に「登録料を納付しなければならない」と定められ、</span>中高生にも適用される。</p>
<p>’22年度に道陸協が陸連に支払う登録料は735万2500円に達したが、年度内に払えず、’23年８月１日、札幌市内で日本陸連幹部に未納の謝罪と事情説明を行った。場当たり的ではない再建策と９月末までの支払いを求められたが、９月26日に期限延長を申し出ざるを得なかった。</p>
<p>日本陸連から「いつまでも待てない。スピード感を持って解決にあたるように」と強い指導を受けたものの資金繰りがつかず、各都道府県陸協との意見交換の場である加盟団体連絡協議会から外された。</p>
<p>未納について道陸協は<span class="strongInContent">「コロナ禍による収入減と、’22年になり大会実施が緩和されて支出が増えたことやインターハイ開催による関連経費の負担のため、支払いが滞っている」</span>としているが、一部の関係者から<span class="strongInContent">「私的流用の可能性もある」</span>と疑いをかける声もあがっている。</p>
<p>10月末に臨時の評議員会が開かれたが、道陸協の執行部から明確な説明はなく、一向にメドが立たず、いたずらに時間だけが経過している。</p>
<p>登録料は都道府県陸協で異なるものの中、高校生から年間１人当たり1000円以下、大学生と一般は1500〜4000円程度を徴収し、地方陸協の貴重な財源になっている。その中から、日本陸連に会員情報を管理する「データバンク料」として、中高生は１人当たり年間50円、一般は100円を納めてきた。</p>
<p>ただ、日本陸連は’20年９月の理事会で、コロナ禍に加え、’21年に開催された東京五輪以降、スポンサーの撤退、協賛金や放送権料の減収が見込まれるとし、登録料を’21年度から一気に「中高生は500円、一般1000円」に大幅アップすると決めた。</p>
<p>〝上納金〟の支払いが増えれば、日本陸連以上に財政難にあえぐ、道陸協をはじめとする地方陸協は自らの取り分が少なくなり大きな痛手となる。当初はさらに大幅アップの「15倍アップ案」が協議されたが、その案に対して強く反発して、地方陸協が渋々、「10倍案」をのんだ経緯がある。</p>
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<p>陸連の第12期事業・決算報告書（’22年４月１日～’23年３月31日）によると、協賛金は前年度比２億5717万6533円減、放送権料は446万6950円減、事業収益全体で１億2723万6812円の減益になっている。一方、登録料収入の合計は２億2255万5000円で前年度比51万1500円増にとどまり、登録料を大幅にあげても、陸連が狙った収益改善には寄与していないのが現実だ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="関係者に送られた謝罪文書の「不可解な中身」"></div>
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<p>&nbsp;</p>
<figure id="attachment_340977" aria-describedby="caption-attachment-340977" style="width: 2332px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6c1269cf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/070408eac936cf72d9adbc481417f67c-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340977" class="wp-caption-text">道陸協が公認審判員と競技者宛てに送付した書類。赤線部の「基本財産」について道陸協に質問状を送ると、「いまは会計年度途中で、最終的には決算の際に確定する」との返答。しかし、関係者には確定情報として報告している</figcaption></figure>
<p>&nbsp;</p>
<figure id="attachment_340975" aria-describedby="caption-attachment-340975" style="width: 2480px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7c658301"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/45931dbb154d171d733bb0503ad9f43d-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340975" class="wp-caption-text">赤枠の「北海道陸上競技協会から本連盟に納付されていないことについて（競技者や審判員に）何ら責任はない」と書かれている内容は10月31日に日本陸連で決まった事項。しかしこちらも、５日前の10月26日時点で関係者に決定事項として報告している</figcaption></figure>
<h3>なぜ常務理事会の重要決定事項を正式決定の５日前に伝えられたのか</h3>
<p>登録料未納なら、上記の日本陸連登録会員規程第８条に照らし合わせれば、所属選手たちは無資格選手になってしまうはずだ。来月、京都で行われる全国高校駅伝には男子・札幌山の手、女子・旭川龍谷が出場する。両校とも登録料が未納の間に参加した’22年大会も都大路を走り、男子21位（２時間７分８秒）、女子24位（１時間12分８秒）だったが順位、記録は抹消されていない。</p>
<p>成績が残されていることについて日本陸連に質すと<span class="strongInContent">「道陸協の会員が一旦納めた登録料が本連盟に届いていないという状況です。道陸協に納めた時点で会員登録は完了しているので、出場資格を有しています」</span>との回答だったが、「つじつま合わせ」と言われても仕方がないだろう。</p>
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<p>FRIDAYデジタルでは、道陸協が道内の公認審判員と競技者宛てに送付した「報告と謝罪」というタイトルの文書（上記）を独占入手した。道陸協の丸昇会長名が記され、日付は10月26日になっている。</p>
<p>文書の文末に<span class="strongInContent">「尚、公認記録や審判実績に関して、日本陸連は『競技者や審判員の方々は本連盟登録料を適切にお納めくださっており、北海道陸上競技協会から本連盟に納付されていないこと について（競技者や審判員に）何ら責任はない』としております」</span>と書かれている。</p>
<p>しかし、日本陸連が「責任なし」という判断を下したのは同月31日に開いた常務理事会だった。一地方陸協が陸連の最高幹部が出席して決定する重要事項を５日も前に知る可能性は極めて低い。まして、結論が出る前に傘下の審判員と選手に告知するのは「完全なフライング」と言われても仕方がないだろう。</p>
<p>さらにいえば「選手資格に問題なし」のお墨付きについては、来月12日の最高議決機関の理事会で議論され、承認されなければならないのに、道陸協はなぜ道内の陸上関係者に正式決定事項として通達できたのか。「空白の５日間」を説明できるのだろうか。また、登録料735万円余が消えてしまったのに、日本陸連が「道陸協は適切に支払っている」と言える根拠はどこにあるのだろうか。新たにさまざまな疑問点がふき出し、混迷は深まるばかりだ。</p>
<p>道内の高校陸上部顧問は<span class="strongInContent">「道陸協は未納の事情を包み隠さず説明し、謝罪すべきです。生徒たちが受けたショックは何億円にも相当するでしょう」</span>と部員を慮った。</p>
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<p>五輪をはじめ国際大会などを取材してきたスポーツライターの津田俊樹氏は<span class="strongInContent">「北海道は『陸上王国』です。北口選手のほかに、女子100m、200mの日本記録保持者の福島千里選手（幕別町）、ハードルの元日本記録保持者、寺田明日香選手（札幌市出身）など有力選手を輩出しています。今回の件は彼女たちに続き、世界に羽ばたこうとしている中高生らの思いを踏みにじることになります」</span>と罪深さを指摘する。</p>
<p>陸上界の将来を担う若者たちのために、道陸協は一日も早く登録料を支払い、不透明な会計処理についての説明責任を果たさなければならない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="こんなに大勢…！北海道出身のトップ女性アスリート"></div>
<figure id="attachment_340965" aria-describedby="caption-attachment-340965" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7cdd5440"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/77b9a7678bc3463ebf3e73f4a4799029.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340965" class="wp-caption-text">北口は10月20日、故郷の旭川市役所を訪問したばかりだった</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_340966" aria-describedby="caption-attachment-340966" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="091f4560"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/d869910988e77526d8d6ae15a0964dec.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340966" class="wp-caption-text">札幌市出身の寺田明日香はハードルの元日本記録保持者</figcaption></figure>
<figure id="attachment_340967" aria-describedby="caption-attachment-340967" style="width: 868px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b532756a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/fa1bd570e863ef5a81fd579d7b126a37.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340967" class="wp-caption-text">寺田は一時、ラグビーにも挑戦して話題になった</figcaption></figure>
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<figure id="attachment_340968" aria-describedby="caption-attachment-340968" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a50a2eb7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/578e0b5869f83870953e8179525adc50.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340968" class="wp-caption-text">100ｍ、200ｍの日本記録保持者の福島千里は幕別町出身</figcaption></figure>
<figure id="attachment_340969" aria-describedby="caption-attachment-340969" style="width: 749px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6947f295"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/25b291ed1ea985752d60133acbb97046.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-340969" class="wp-caption-text">’22年１月に福島は引退を表明し、現在は順天堂大学スポーツ健康科学部の特任助教授に就任し、同大短距離のアシスタントコーチをつとめる</figcaption></figure>


共同通信社（6枚目）

北海道陸上競技協会は１日、会見を開き、日本陸上競技連盟に支払う予定でいた22年度分の会員登録料計735万円を滞納していることを明らかにした。道内の陸上関係者に送った謝罪文を独自入手すると不可解な点が…

やり投げ世界一北口榛花が育った北海道陸協が登録料735万円未納　関係者に届いた「不可解な謝罪文」

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