ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。

太田 サトル

<h3><span class="strongInContent">「僕は明日からも嵐です」</span></h3>
<p>10月24日の電撃発表された嵐・二宮和也の独立。ファンばかりでなく多くの人が心配したことは、「嵐はどうなるのか」ということだっただろう。そこについては発表のなかで「僕は明日からも嵐です」と、独立後も嵐のメンバーであることには変わりないと明言した。</p>
<p>現在はグループ活動休止中ではあるが、嵐が旧ジャニーズ事務所だけでなく日本を代表するグループであることは誰もが認めることだろう。しかし、よく知られる話だが、そんな嵐も国民的アイドルグループどころか、本格的に売れるまでには時間がかかった“不遇の時代”とされる時期を経験している。</p>
<figure id="attachment_341180" aria-describedby="caption-attachment-341180" style="width: 1713px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="99ad6d43"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/2e512be6318dbbe71422d4125c132d31.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341180" class="wp-caption-text">「僕は明日からも嵐です」と、独立後も嵐のメンバーであることには変わりないと明言した二宮和也（PHOTO： 近藤 裕介）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">ラジオとアイドル誌での仕事しかない月が何度も…</span></h3>
<p>とはいえ、サビの終盤でグループ名を連呼する’99年のデビュー曲<span class="strongInContent">『A・RA・SHI』</span>は多くの人に知られ、累計100万枚に迫る売れ行きをみせた。ハワイでのクルーザー上でのデビュー発表会見も鮮烈な印象を残す。それゆえ「デビューからずっと順風満帆に売れ続けてきたんじゃない？」と思う人も少なくないだろう。</p>
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<p>しかし、それ以降、デビュー曲の売り上げからは３分の１強程度という時期が続く。コンサートもSOLD OUTにならない今では考えられない公演があったり、それぞれメンバーがドラマ出演を果たすも大ヒットにはなかなか結びつかなかったり。</p>
<p>当の二宮も自身のラジオ番組で、デビュー後に暇だった時期は「全然ありますよ」と、それこそラジオとアイドル誌での仕事しかない月が何度もあったと振り返ったこともあった。</p>
<p>’19年にNHKの『SONGS』にメンバー全員で出演した際にも、この不遇時代にそれぞれ不安を抱えていたことを明かしていた。</p>
<h3><span class="strongInContent">自主レーベル「ジェイ・ストーム」発足…しかし、シングル売上枚数は下降線をたどる</span></h3>
<p>嵐のひとつの大きな転機はデビュー３年目となる’01年だ。この年の11月に自主レーベル「ジェイ・ストーム」（’24年１月より「ストームレーベルズ」に社名変更予定）が発足する。「ストーム＝嵐」の名の通り、現在はさまざまなグループが所属する同社も当初は嵐のプライベートレーベルとして立ち上げられたものだった。</p>
<p>デビュー時に所属したレコード会社PONY CANYONから移籍するかたちとなったわけだが、大手からインディーズへの移籍は、メンバー自身も不安があったようで、前出の『SONGS』で相葉雅紀は「俺ら見込みがないってことなのかなって」と振り返っている。</p>
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<p>移籍第１弾シングルとなった<span class="strongInContent">『a Day in Our Life』</span>は、少年隊のヒット曲『ABC』のイントロをサンプリングしてブレイクビーツとして使用し、全編ラップパートが流れるという、正面からHIPHOPに向き合うアプローチをみせ、さらにカップリング曲を収録せず500円という低価格で販売するなど大胆な展開をみせた。</p>
<p>曲はドラマ『木更津キャッツアイ』の主題歌にも使用され、ドラマはヒットしたものの、シングルの売り上げは移籍前から横ばい、しかも売上枚数も実はこのあと下降線をたどることになってしまう。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ファンの間で「どうやったら嵐は売れるのか」…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">ドラマ『花より男子』がヒットするも、主題歌『WISH』の売り上げは…ファンの間で「どうやったら嵐は売れるのか」と議論される場面も</span></h3>
<p>しかし。それは開き直りだったのか、はたまた何らかの意地だったのか。ジェイ・ストームは’02年に自社配給映画として、嵐の５人の主演映画<span class="strongInContent">『ピカ</span><span class="strongInContent">☆</span><span class="strongInContent">ンチ LIFE IS HARDだけどHAPPY』</span>を公開。深夜枠では冠番組<span class="strongInContent">『Cの嵐！』</span>（日テレ系）がスタート、シリーズを通して体を張った企画などが一部で話題となった。</p>
<p>HIPHOPや深夜バラエティなど、正統派のジャニーズアイドルの売り方とは少し違う道、正統派から外れたからこそできる、ある意味でのサブカル路線とフットワークの軽さを生かすような活動を印象づけた時期でもあった。</p>
<p>サブカルとは言ったものの、松本潤の<span class="strongInContent">『ごくせん』</span>（’02年/日テレ系）出演や二宮和也の<span class="strongInContent">『南くんの恋人』</span>（’04年/テレ朝系）の主演などメインストリームの場での活動もコンスタントに続いている。</p>
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<p>そんななかでのふたつめの大きな転機が、’05年放送のドラマ<span class="strongInContent">『花より男子』</span>で松本潤が道明寺司役をつとめたことだろう。ドラマは高視聴率を獲得し、松本の認知度も上昇した感はある。</p>
<p>しかし、ドラマ人気の割に、主題歌<span class="strongInContent">『WISH』</span>の売り上げはというと、それ以前のジェイ・ストームからのシングル比ではいい売り上げをみせたが、PONY CANYON時代にはおよばない程度だった。この時期には一部ファンの間で「どうやったら嵐は売れるのか」と議論される場面もみられた。</p>
<p>’04年の山下智久を擁するNEWSのメジャーデビュー、そして’06年には亀梨和也と赤西仁の『ごくせん』第２シリーズへの出演と、修二と彰『青春アミーゴ』のミリオンセラーの勢いのままにCDデビューを果たしたKAT-TUNがいきなりブレイク。</p>
<p>分かりやすく売れている感を出す後輩たちの存在というさらなる試練が嵐に降りかかる。爆発的に売れてこそジャニーズという一面も存在した時代。記憶によるとこの時期、テレビ番組内で同じくブレイクまで時間がかかっていた関ジャニ∞メンバーと、人気の下位争いをするという自虐的なトークを繰り広げたという場面もあった。</p>
<figure id="attachment_341181" aria-describedby="caption-attachment-341181" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="67ccd3e5"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/502b806a6012a97434f493387ca3f9cd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341181" class="wp-caption-text">不遇な時代をともに生きた嵐メンバーたちは、このピンチもやはり乗り越えるのだろうか（PHOTO：蓮尾真司）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">ついに『花より男子F』の主題歌『One Love』が50万枚超の大ヒット、そして『NHK紅白歌合戦』初出場</span></h3>
<p>そんななか、’06年秋に櫻井翔が<span class="strongInContent">『NEWS ZERO』</span>のキャスターに就任。そして二宮和也が出演したハリウッド映画<span class="strongInContent">『硫黄島からの手紙』</span>がアカデミー賞に複数ノミネートされ、二宮の演技が高評価を受ける。これが一般のお茶の間層に「嵐ってなんかすごい？」と、立て続けに印象づける流れにできたことが大きかったのかもしれない。</p>
<p>もちろん『花より男子』ヒットの余韻もまだ残る。その流れにとどめを刺すように’07年初頭より放送された続編<span class="strongInContent">『花より男子２（リターンズ）』</span>。前作を上回る視聴率、そしてデビュー曲以来の売上枚数を記録した主題歌<span class="strongInContent">『Love so sweet』</span>。しかしまだ足りない。その後のCD売上枚数も再び下がる。しかし『２』の余韻はまだ残る。</p>
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<p>そこにとどめの’08年に完結編として公開されたのが劇場版<span class="strongInContent">『花より男子F』</span>。好調な興行成績と主題歌<span class="strongInContent">『One Love』</span>が50万枚超の大ヒット、続けざまにリリースされた大野智主演のドラマ主題歌を含む<span class="strongInContent">『truth/風の向こうへ』</span>がさらなる大ヒット。同年夏には初の国立競技場でのライブも大成功。</p>
<p>このあたりで嵐の人気は不動のものとなり、’09年はオリコンシングル年間ランキングで上位３位を独占、念願の<span class="strongInContent">『NHK紅白歌合戦』</span>初出場を果たすことになる。以降は国民的アイドルグループとして多くの人が知る通りだろう。</p>
<p>この間10年。</p>
<p>その後、デビュー後爆発的に売れずとも、嵐だって時間がかかったんだからという空気が、一部の旧ジャニーズタレントのファンにロールモデルのように浸透したりという影響も少なからず与えている。</p>
<p>「僕は明日からも嵐です」と二宮は語った。かつての所属事務所の創業以来の大きな危機を、不遇な時代をともに生きた嵐メンバーたちは、このピンチもやはり乗り越えるのだろうか。</p>
<p>二宮の独立が、新たなジェイ・ストームのような物語への一歩となる可能性だってあるかもしれない。</p>


太田サトル

電撃発表された嵐・二宮和也の独立。現在はグループ活動休止中ではあるが「嵐」が日本を代表するグループであることは誰もが認めることだろう。しかし、売れるまでに “不遇の時代”とされる時期を経験している。

「俺ら見込みがないってことなのかなって」… 二宮和也・独立の『嵐』”不遇の時代10年”を振り返る

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