フリーランスの編集／ライター。元バンドマン、放送作家くずれ。エンタメ全般が好き。特にお笑い芸人をリスペクトしている。2021年4月に『志村けん論』（朝日新聞出版）を出版。個人サイト「不滅のライティング・ブルース」更新中。http://s-akira.jp/

鈴木 旭

<h3>太田プロの事務所ライブ『月笑』で2連覇！</h3>
今年７月、９月、太田プロの事務所ライブ『月笑』で２連覇を果たしたお笑いトリオ・サルベースの折田智久、松山弘樹、ともやっぷ。漫画チックな世界観やパワフルな折田のツッコミがライブシーンで注目を浴び、徐々に頭角を現し始めた３人だ。
勢いづく３人のインタビュー【前編】では、YouTube企画で初共演を果たしたダチョウ俱楽部のすごさなどを語ってもらった。
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<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/341399" target="_blank" rel="noopener noreferrer">【前編】「ダチョウ俱楽部さん…すげぇ～！」…お笑いトリオ「サルベース」大先輩のリアクション芸に感動した瞬間</a>
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後編では、太田プロエンタテイメント学院の７期生として出会い、紆余曲折を経てトリオとなった彼らは今どんなことを感じているのか。事務所ライブで２連覇できた理由、学生時代のエピソード、トリオ結成までの経緯など、これまでの歩みから３人の魅力に迫る。
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<figure id="attachment_341405" aria-describedby="caption-attachment-341405" style="width: 2749px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a60c9044"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/cb94a7599bc78936b835106ab2e3f229.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341405" class="wp-caption-text">太田プロの事務所ライブ『月笑』で２連覇を果たしたお笑いトリオ・サルベースの折田智久（写真下）、松山弘樹（同上）、ともやっぷ（同中）（（PHOTO：渡辺凌介）</figcaption></figure>
<h3>今後お笑いのトレンドは“拍”になると思います（笑）</h3>
――事務所ライブ『月笑』で２連覇。10月は３位に終わりましたが、ここ最近の勢いは何が要因だと思いますか？
折田：去年まで『月笑』みたいな大きなライブの前だけ、細かい修正をしていたんです。今年からライブの本数が増えたので、そもそも試せる場数が多くなって修正する機会が増えた。最終的に最初の台本とはまったく違うネタになってるのは大きいと思います。 
とも：去年は月10本ぐらいのライブだったのが、今はもう30本超える月もありますからね。一応ライブは忙しくさせてもらっています（笑）。やっと若手のライブ界隈の数をこなす層に入れたかなっていうのはありますね。 
松山：一言で言うと、ネタの修正力の成長。去年までは自分たちの中で「これ強いぞ」ってネタで臨んでもなかなか上位に入れなくて。逆にそこまで自信がないネタをいっぱい修正したら今年初めて優勝できたって感覚があります。 
折田：あと去年、『アルピーテイル』（テレビ朝日系）で共演した元うしろシティの阿諏訪（泰義）さんに「ツッコミがシンプルなこと言い過ぎ」みたいに言われて、いろいろやってみたんですけどなかなかうまくいかなくて。 
それで松山とともやっぷがパンパンパンパン、パーンってしゃべったときに僕がバーンって大声でツッコむみたいな、サルベースのコントのリズムを意識したらちょっと変わったかもしれないですね。 
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とも：それで言うと、今年の『キングオブコント』の準々決勝に出たときに、レインボーのジャンボ（たかお）さんが僕らのネタを見て「キミたちはウケる“拍（はく）”だよね」って言ってくださったんですよ。僕ら暗黙の了解のリズムでやってたんですけど、そこを褒められたのが新鮮で。 
しかも、ジャンボさんも先輩から「コントには“拍”がある」ってアドバイスされたらしくて。「キミたちは間違ってない」って背中を押していただけた気がしてすごく嬉しかったんですよね。一時期、人（にん）ってワードが流行りましたけど、たぶん今後お笑いのトレンドは“拍”になると思います（笑）。 
<figure id="attachment_341406" aria-describedby="caption-attachment-341406" style="width: 1863px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3391b6f8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/b4d0f16b0fabb4a87c49c94dffd2f476.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341406" class="wp-caption-text">「去年までは自分たちの中で『これ強いぞ』ってネタで臨んでもなかなか上位に入れなくて…」（松山）</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="有名な学生芸人だった「ともやっぷ」"></div>
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<h3>有名な学生芸人だったともやっぷ、養成所に入ると同時にコンビ名を変更 </h3>
――折田さんと松山さんは、同じ高校に通っていたんですよね。
折田：僕は高校１年生の頃から「プロになる」と決めてて、当時は松山と学園祭とかで漫才やってました。笑い飯さんのWボケっぽい形で、「何してんねん、お前」とかって関西弁でツッコんだりして（苦笑）。今思うと、人様に見せられないレベルの低さです。僕らはM-１世代だから、みんな笑い飯さんみたいな漫才をやってましたね。 
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松山：高校卒業後は、お互い別の大学に進学してそれぞれコンビを組んで活動してたんですけど、折田の20歳の誕生日に「俺もやっぱりお笑い芸人のプロになる」って僕のほうから電話をして。折田と『M-1グランプリ』に出たりした経験が自分の中で大きくなっていったんですよね。 
折田：そこで言われたのが「お前が俺と組んでくれるかはわかんないけど、お前に『組んでくれよ』って頼まれるような芸人に俺はなる」みたいな熱い話で。僕が「じゃ組もうよ」って返したら、「いや、大学卒業するまでにお前に見合う男になる」ってまさかの一旦保留になった（笑）。卒業後は特段成長も見られなかったんですけど、しれっと「ポテンヒット」ってコンビを組んで、’15年に太田プロの養成所に入ったんです。 
<figure id="attachment_341407" aria-describedby="caption-attachment-341407" style="width: 1883px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c0d51b14"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/3fbb4958c187b3f960bf743b28f30fbd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341407" class="wp-caption-text">「僕は高校１年生の頃から『プロになる』と決めてて、当時は松山と学園祭とかで漫才やってました」（折田）</figcaption></figure>
――なるほど（笑）。一方、ともやっぷさんの学生時代は？
とも：高校時代は、同じハンドボール部の友だちと『ハイスクールマンザイ』の鹿児島県予選に出て一応優勝したんですよ。イオンモールに10数組出ただけだから小っちゃい話なんですけど、当時は「すげぇ～！」って舞い上がってましたね。それをきっかけに「プロの芸人になりたい」って欲が湧きました。 
東京外国語大学に進学してからは、ご近所の国際基督教大学（ICU）にいるお笑いサークルの人と「メタンハイドレード」ってコンビを組んで、『学生HEROES！』（テレビ朝日）って番組に何回か出たりもしました。スパナペンチさん、真空ジェシカさんの次の代のクールですね。 
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折田：けっこう有名な学生芸人だったんですけど、なぜかひた隠しにしてて（苦笑）。 
とも：学生お笑いの期間って芸歴にもカウントしないじゃないですか。なのに「学生お笑いやってて……」みたいなのが当時からちょっと恥ずかしくて。それもあって養成所に入ったときに「オールドパー」ってコンビ名に変えたんですよ。にもかかわらず、松山が「メタンハイドレードだ」って同期に広めちゃってガッカリしました（苦笑）。 
折田：ハードルも上がっちゃうから、ともやっぷは本当に嫌だったみたいですね。そんな中で、オールドパーは養成所の１年間１位を取り続けたっていう。僕ら同期の中で１組だけ飛び抜けて優秀でした。 
<figure id="attachment_341408" aria-describedby="caption-attachment-341408" style="width: 1610px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="45c234d6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/3898033eeeea55eccfdb68cef02cf777.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341408" class="wp-caption-text">「高校時代は、同じハンドボール部の友だちと『ハイスクールマンザイ』の鹿児島県予選に出て一応優勝したんですよ」（ともやっぷ）</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="彼女に振られたタイミングで…"></div>
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<h3>彼女に振られたタイミングで、「もうダメだ。代わりにともやっぷ入れよう」 </h3>
――養成所時代を経て、どんな経緯でトリオになったんですか？
とも：まず僕らのコンビが養成所を出てから結果が振るわなくて。事務所ライブ『月笑』の一番下（G５）でくすぶってる状態。一方のポテンヒットは、３年目ぐらいで一番上のG１に出たり、テレビ出演が決まったりってことになって。ウサギとカメじゃないですけど、完全に逆転されましたね。 
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折田：ただ僕らも４年目入ったあたりでガクッと失速して、その後は『月笑』のG５まで落ちちゃったんです。そんな矢先に、ともやっぷのコンビが解散して。 
とも：４年目の９月８日。相方が「大学に入り直して歯医者さんになる」って芸人を辞めたんです。その後は、『R-１ぐらんぷり』（現・R-１グランプリ）に出て１回戦突破しても「手応えないな」って思いつつ、何とか１人で続けてました。 
松山：折田がともやっぷを誘ったのが年明け直後だったんですよ。ちょうど折田が３年付き合った彼女に振られたタイミングで、「もうダメだ。代わりにともやっぷ入れよう」ってなったみたいで。 
とも：本当に奇妙なんですけど、鹿児島で仕事をしてた折田の彼女が12月29日ぐらいから東京にくると。それで遠距離の彼女と過ごしてたら、元旦の日に振られたらしいんですよ。その翌日の２日に、折田から「ちょっと話があるからサイゼリヤ集まろう」みたいな電話があって。 
折田：松山にも「今日ともやっぷと会うからきて」とだけ伝えて、実際に３人で会ったときに正式に「トリオでやろう」って話をしました。彼女に振られたことが悲し過ぎたので、男２人に囲まれれば楽しくなるかなと。 
<figure id="attachment_341409" aria-describedby="caption-attachment-341409" style="width: 2761px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8795c111"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/a77d8aabe60911e8ffa158ec554b3903.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-341409" class="wp-caption-text">「ともやっぷは、割と自分の意見を言うタイプ。それが実際のライブでウケるとわかってからは、３人で話し合う時間がめっちゃ増えました」（折田）</figcaption></figure>
松山：トリオになること自体は僕も賛成でした。それ以前に折田と「入れるなら、ともやっぷだな」「パワーのあるボケがほしい」って話を何回かしたこともあったので。 
とも：僕は今一緒に住んでる、のぶ（漫才ユニット「爆走マシン」のメンバー・坂井宣大さん）と漫才やるか、ポテンヒットの２人にお願いして入れてもらうかの２択でした。そんなタイミングで折田から電話がきたから、まさに渡りに船というか。 
折田：こっちも入れたいし、ともやっぷも入れるなら入りたいって時期だったので、すんなりトリオになった感じですね。ともやっぷは、割と自分の意見を言うタイプ。それが実際のライブでウケるとわかってからは、３人で話し合う時間がめっちゃ増えました。そういう意味でもトリオになって良かったと思います。 
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サルベース　鹿児島県出身の折田智久、松山弘樹、ともやっぷからなるお笑いトリオ。折田と松山はコンビ「ポテンヒット」、ともやっぷは大学時代の友人とのコンビ「オールドパー」（元「メタンハイドレード」）を経て’20年１月に結成。現在、ライブを中心に精力的に活動中。今年、ダチョウ俱楽部と北陸のパチンコ、アミューズメント施設『クァトロブーム』のYouTube企画で初共演し、リアクション芸を正式に伝授された。太田プロダクション所属。

鈴木旭

渡辺凌介

太田プロの事務所ライブ『月笑』で2連覇を果たしたお笑いトリオ・サルベース。漫画チックな世界観やパワフルな折田のツッコミがライブシーンで注目を浴び、徐々に頭角を現わし始めた3人だ。

事務所ライブ『月笑』２連覇お笑いトリオ・サルベース「コントのリズムを意識したらちょっと変わった」

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