2020年の朝ドラ『エール』のヒロインを予想する | FRIDAYデジタル

2020年の朝ドラ『エール』のヒロインを予想する

指南役のエンタメのミカタ 第14回

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話題になったドラマ『義母と娘のブルース』の撮影現場での上白石萌歌
話題になったドラマ『義母と娘のブルース』の撮影現場での上白石萌歌

先ごろ、2020年の春から放送される102作目のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)が『エール』に決定し、主人公を窪田正孝サンが務めることが同局から発表された。

同ドラマ、「六甲おろし」や「とんがり帽子」、「栄冠は君に輝く」、「モスラの歌」、「オリンピックマーチ」などの数々の名曲を手掛けた福島市出身の国民的作曲家・古関裕而と、その妻で声楽家の金子(きんこ)の生涯をモデルに描かれるという。

数々の応援歌を作った古関サンだけに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックが開催される年に相応しい人選だし、同大会の野球競技が福島市で開催されることもあり、同市出身の古関サンに光を当てることは、被災地復興を盛り上げる効果もあるだろう。

土屋勝裕チーフプロデューサーはこう語る。「2011年の東日本大震災からもうすぐ10年。その前に福島を応援する、福島が舞台のドラマを作りたかった」
――なるほど、それで「エール」と。いいタイトルだ。朝ドラとして、これ以上ない人選とタイミングだと思う。

もっとも、それら大義名分を抜きにしても、個人的にも古関裕而サンをモデルにした朝ドラは楽しみだ。戦前・戦中・戦後の音楽業界、それも大衆音楽の第一線で活躍された人だけに、その軌跡を辿るだけで相当面白いドラマが作れる。時代を彩る有名人も多数登場する。脚本は『ハゲタカ』(NHK)や『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ)など、職業系のドラマを書かせたら随一の林宏司サン。膨大な資料を読み解き、物語に昇華させる名人でもある。長丁場の朝ドラに打ってつけだろう。

さて――少々前置きが長くなったが、本コラムはここからが本題である。

先に、主人公を務めるのは窪田正孝サンと書いたが、実はまだヒロイン――妻の金子役の女優が決まっていない。土屋CPによると、今後オーディションで選考し、今年秋には撮影を始めたいという。そこで、本コラムでは大胆にもヒロインを予想したいと思う。

かつて、朝ドラのヒロインと言えば、無名の若手女優をオーディションで選び、ドラマで育てるものだったが、近年はその限りじゃない。2010年の『ゲゲゲの女房』では、オーディションを経ずに、キャリアのある松下奈緒が直接オファーされたし、同ドラマで視聴率が回復して以降は、リスク回避からか、既に人気の若手女優が選ばれる機会が目に見えて増えた。

ちなみに、直近10年(20作)で言えば、オファー組が9人、オーディション組が11人と、ほぼ拮抗している。ただ、オーディションと言っても、昔のように無名の若手女優が選ばれるワケではなく、29歳でヒロインの座を射止めた尾野真千子サンのように、既に十分な実績があったり、土屋太鳳や芳根京子、永野芽衣らのように、民放の連ドラで顔が売れている若手が選ばれるケースもある。要は、20%台の視聴率が定着した今の朝ドラは、なかなかキャスティングで冒険しにくいということ。

そこで、『エール』である。主人公を演じるのは窪田正孝サンで、ヒロインは二番手にクレジットされる。男性主人公の朝ドラは、『マッサン』以来、実に6年ぶりである。朝ドラ全体でも11作目と、かなり珍しい。要は、朝ドラは女性視聴者が多いので、彼女たちが共感しやすい(視聴習慣が根付きやすい)女性が主人公になりやすいということ。

ただ、男性主人公の作品にもメリットはある。主人公が有名人の場合、ヒロインの選考が多少冒険できるのだ。例えば、『マッサン』では主人公を人気・実力十分の玉山鉄二サンが務めたので、ヒロインを当時日本語が全く話せなかった無名の女優、シャーロット・ケイト・フォックスを抜擢する冒険ができた。『エール』も同様、窪田正孝サンはキャリア・実績とも申し分ない売れっ子俳優。彼には申し訳ないが、ヒロイン選びは、ちょっと大胆に遊んでもらいたい気がする。

多分、選考のポイントは3つある。

① 20歳前後であること。金子が古関裕而と出会ったころが18歳である。2人の物語はそこを起点に始まる。

② NHKのドラマ出演があること。これ、意外と大事で、例えば、尾野真千子サンは、『カーネーション』の前に、土曜ドラマの『外事警察』や、文化庁芸術祭・大賞を受賞した『火の魚』でヒロインを務めた実績があり、それが高く評価されたとも。

③ 歌唱力があること。声楽家の古関金子を演じる上で、歌えることはマスト。

――それらを踏まえ、僕なりに6人の候補者を選んでみた。

1 上白石萌歌(19歳)

2011年に東宝シンデレラのグランプリに歴代最年少の10歳で選ばれ、芸能界デビュー。NHKのドラマには過去2作出演しており、実績はまずまず。ミュージカルの出演機会も多く、「赤毛のアン」(2016年)では主人公のアンを、「魔女の宅急便」(2017年)では主人公のキキを、「続・時をかける少女」(2018年)では主人公の芳山和子を務めるなど、歌唱力には定評あり。『義母と娘のブルース』(TBS)や『3年A 組 – 今から皆さんは、人質です -』(日テレ)など、近年出演したドラマが話題になりやすいのは“持っている”証しか。

2 上白石萌音(21歳)

2011年、妹(萌歌)と共に芸能界デビュー。NHKのドラマは『江〜姫たちの戦国〜』に『西郷どん』と、大河への出演経験あり。歌唱力はお墨付きで、映画『舞妓はレディ』では主役の春子を演じ、周防正行監督から「平成のオードリー・ヘップバーン」と絶賛され、日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。大ヒットした劇場アニメ『君の名は。』ではヒロイン・宮水三葉の声を演じ、一躍注目された。実力は折り紙付き。

3 生田絵梨花(22歳)

ドイツ生まれ。幼少期からピアノとクラシックバレエを習い、ミュージカル女優を目指す。親戚に音楽プロデューサーの故・佐久間正英。2011年に乃木坂46のオーディションに合格すると、フロントメンバーとして活躍。その傍ら、ミュージカル女優としても実績を積み、「ロミオ&ジュリエット」(2017年・2019年)ではジュリエットを、「レ・ミゼラブル」(2017年・2019年)ではコゼットを、「モーツァルト!」(2018年)では妻のコンスタンツェを演じる。NHKのドラマ経験はないが、2015年に「NHK全国学校音楽コンクール全国コンクール」の司会を務めた。写真集の売上げも20万部を超えるなど、今、波に乗る坂道グループのエース。

4 清原果耶(17歳)

2014年、12歳の時に「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを受賞し、芸能界デビュー。15年に朝ドラ『あさが来た』で女中・ふゆ役を演じたのを皮切りに、16年に『放送90年 大河ファンタジー 精霊の守り人』で綾瀬はるか演じるヒロイン・バルサの少女期を演じ、18年に『透明なゆりかご』(文化庁芸術祭賞テレビ・ドラマ部門大賞)でドラマ初主演と、NHKへの貢献度高し。また、19年には俳優・山田孝之がプロデュースする映画『デイアンドナイト』でヒロインを演じ、主題歌も担当。その歌唱力が高く評価された。透明感は随一。

5 唯月ふうか(22歳)

2012年、「ホリプロタレントスカウトキャラバン2012」で演技力と歌唱力が評価され、審査員特別賞を受賞。13年から16年にかけてミュージカル『ピーターパン』で主役の9代目ピーターパンを演じた(※ちなみに8代目が高畑充希)。15年にミュージカル『デスノート The Musical』で弥海砂役を、17年にはミュージカル『レ・ミゼラブル』でエポニーヌ役を、18年には周防正行監督の同名映画を舞台化したミュージカル『舞妓はレディ』で主演の西郷春子を演じるなど、若手ミュージカル女優の中でトップクラスの歌唱力を誇る。

6 小芝風花(21歳)

2011年、『イオン×オスカープロモーション ガールズオーディション2011』でグランプリに輝き、芸能界へ。14年に映画『魔女の宅急便』のキキ役で映画初主演、ブルーリボン賞・新人賞を受賞する。16年には朝ドラ『あさが来た』でヒロインの娘・千代を演じて話題に。17年にはNHK広島放送局制作のヒロシマ8.6ドラマ『ふたりのキャンバス』でドラマ初主演を務め、19年にはドラマ10『トクサツガガガ』で連続ドラマ初主演を果たし、念願のブレイク。NHKへの貢献度は高い。しかし、歌唱力は未知数である。

――で、僕の予想は本命・生田絵梨花(旬の人)、対抗・上白石萌歌(持ってる人)、注意・清原果耶(スペック十分だが、若すぎる年齢がネック)、大穴・小芝風花(朝ドラに相応しい清純派女優だが、歌唱力が未知数)。

さぁ、あなたの予想はどうだろう。

  • 草場滋(くさば・しげる)

    メディアプランナー。「指南役」代表。1998年「フジテレビ・バラエティプランナー大賞」グランプリ。現在、日経エンタテインメント!に「テレビ証券」、日経MJに「CM裏表」ほか連載多数。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。代表作に、テレビ番組「逃走中」(フジテレビ)の企画原案、映画「バブルへGO!」(馬場康夫監督)の原作協力など。主な著書に、『テレビは余命7年』(大和書房)、『「朝ドラ」一人勝ちの法則』(光文社)、『情報は集めるな!」(マガジンハウス)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー~時間旅行代理店』(ダイヤモンド社)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『買う5秒前』(宣伝会議)、『絶滅企業に学べ!』(大和書房)などがある

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