大胆なスカートで「シュート姿」を披露…元なでしこ岩渕真奈「これからもサッカーが私の人生のすべて」 | FRIDAYデジタル

大胆なスカートで「シュート姿」を披露…元なでしこ岩渕真奈「これからもサッカーが私の人生のすべて」

《引退発表から2ヵ月、3度のW杯を経験した″マナドーナ″に直撃インタビュー》

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「引退してから全然身体を動かしたくないし、トレーニングをしたいとも思わない(笑)。今はいろいろチャレンジしながらやりたいことを探している最中です」

14歳からプロとして活躍し、長らくなでしこジャパンの″顔″だった岩渕真奈(30)が9月1日に現役引退を発表。「早すぎる引退」という声も多く上がったなか、現在の生活を聞くと可愛らしい笑みを浮かべてそう答えた。

14歳でプロ入りを果たし、今年9月に現役引退を発表。約16年以上に渡り、日本女子サッカー界の第一線で活躍
14歳でプロ入りを果たし、今年9月に現役引退を発表。約16年以上に渡り、日本女子サッカー界の第一線で活躍

岩渕は16歳で日本代表デビューし、’11年にW杯優勝、翌年のロンドン五輪でも銀メダル獲得に貢献。3度のW杯出場を含め、なでしこジャパンのエースとして″マナドーナ″の愛称で親しまれ、90試合で37得点をあげた。海外クラブでも、ドイツの強豪『バイエルン・ミュンヘン』やイングランドの名門『アーセナル』など世界トップレベルで研鑽に励んできた。

そんな岩渕が引退の真相、女子サッカー界の変化、代表チームへの想い、エースとしての苦悩、今後のキャリアについて、余すところなく語り尽くした――。

「なでしこジャパンの一員として、’11年のW杯優勝を経験できたのは私のキャリアの中でも凄く大きい出来事でした。その一方で、あの優勝以降『日本の女子サッカーは強い』という見られ方やその重圧に苦しんだこともたくさんありました」

後にチーム全員が国民栄誉賞を受賞するなど、日本中に歓喜をもたらしたW杯制覇は女子サッカー界の転機にもなった。澤穂希(45)や宮間あや(38)らを擁したチームは、一時代を築く。しかし、主力選手たちが代表を去ると、’16年のリオ五輪は予選敗退するなど、次第に成績は下降し、″ブーム″も過ぎ去った。当時の岩渕は常に葛藤を感じていたという。

「’11年のメンバーは、うまいだけではなくて、″それ以外″の部分が凄かったんです。勝つために全員が徹底的に努力できた。個性が強く、バラバラに見えながらも組織としてまとまっていた、不思議なチームでした。私も次第に若い子を引っ張っていく立場に変わり、世界のレベルも上がっていくなかで『一人ひとりがうまいだけではどうしようもない』と感じました。″それ以外″の部分を体感するためにも若い子たちにはどんどん海外に出るべきだ、と伝えてきたつもりです」

現役時代の後半は、慢性的な故障に苦しんだ。岩渕の代名詞でもある柔らかいボールタッチのドリブルは、相手DFの格好のターゲットになりラフプレーを誘発。それによる、度重なる怪我が引退を決意する契機にもなる。それでも、岩渕は自身のスタイルを貫いた。

「私の理想は、自分にとってベストなタイミングで辞めることでした。『岩渕真奈って下手になったよね』と思われたくなかったし、ドリブラーというプレースタイルも劣化が出やすい。一昨シーズンのオフに両足首を手術し、実際のプレーと頭でのイメージとの間で乖離が生まれ、ベストな状態を保つことが難しくなった。アーセナルでも試合に出られない時間が続き、いろいろ悩みました」

日本代表の常連だった岩渕だが、昨年から代表選出に漏れることが増えた。今夏のW杯では選外となり、その後引退を発表。一部からは、落選が引退理由ともみられたが、岩渕は首を横に振る。

「今年に入ってから、ずっと引退について考え続けてきました。どうしてもフォーカスされるのが今回の″落選″。それはもちろんゼロではないですが、でも私の中では半分もいかないくらい小さな理由の一つなんです。良くも悪くも代表がある生活が当たり前でしたが、来年のパリ五輪までコンディション的にも、気持ち的にも頑張れるかな……という不安があった。W杯落選は残念でしたが、逆に心残りもなくなった。だから、後悔はまったくありません! サッカーがなくなると無趣味なので、大好きなサッカーを仕事にできた私は本当に幸せでした」

引退して、2ヵ月弱。現在は女子サッカーの普及活動で、国内にとどまらず海外を飛び回るなど慌ただしい日々を過ごしている。「言語化できないと思っていた」という解説者デビューも果たし、サッカー以外のバラエティ番組など、新しい世界にも挑戦していきたいという。

プレイヤーから″改革者″へ

しかし、女子サッカーの発展について尋ねると、熱い想いが再び溢(あふ)れ出す。

「給料や練習環境など年々待遇が良くなっていて、欧州だとさらに良くなっていくのは間違いない。ただ、その一方で国内ではU‐12世代だと女子だけ全国大会がなかったりもする。競技人口は増えているのに、選手登録数は増えていないという課題もあります。サッカー協会だったり、女子サッカーに関わるすべての人がもっと″魅せ方の部分で工夫すべきだと感じますね。日本ではどうしても可愛い子がクローズアップされがちですが、本来は『カッコいい』となるべきだし、それを見て興味を持つ人が増えれば、女子サッカーの発展にも繋がるはずなので」

今後岩渕が力を入れていきたいと話すのが、スポーツの力で子供たちに笑顔を届ける活動だ。年齢が近く、もともと交流があったレスリングの登坂絵莉(30)、テニスの穂積絵莉(29)と共に、一般社団法人『スマイルコンパス』を設立した。

「例えば自閉症の子だったり、施設にいる子供たち、離島に住む子だったり、普段トップアスリートと関わる機会が少ない人たちに、何か熱中できるものを伝えられるきっかけを作れたらと思うんです。単純な勝ち負けではなく、スポーツで笑顔を作り、人生を豊かにするのが目的です。そのためには知識も必要なので、私自身も勉強をしながら少しずつ進めていきたいと思っています」

取材の最後に、自身のプライベートに関しては、照れながらこうも明かした。

「現役の時は早く結婚したくて仕方なかったんですよ。なんなら子供を産んで東京五輪の後に選手として復帰したい、という理想もあって。でも、今は世の中の流れと一緒で『一人が楽だな』と思うようになりました。焦らず、のんびり生きつつ、一緒にいて楽な人と出会えたらその時にまた考えたいと思います(笑)」

長らく女子サッカーを牽引した稀代のドリブラーは、第二の人生でも自分らしく、マイペースに生き抜いていく――。

所属していた『バイエルン・ミュンヘン』『アーセナル』、日本代表のユニフォームとボールを持参してくれた
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引退後は、トレーニング欲も結婚願望もなくなったという。今後は「スポーツで人生を豊かにする」活動に励む
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本誌未掲載カット 岩渕真奈・元なでしこジャパンFW 「これからもサッカーが私の人生のすべて」
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『FRIDAY』2023年11月24日号より

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