<figure id="attachment_344247" aria-describedby="caption-attachment-344247" style="width: 4588px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="62edf986"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/fd39ee3a317e638f48c03a60e5b030f7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344247" class="wp-caption-text">’26年サッカーワールドカップアジア予選を戦う日本代表。エースナンバーをつける堂安律の襟元に「日の丸」がつけられている</figcaption></figure>
サッカー日本代表が８大会連続出場を目指して’26年W杯北中米大会のアジア２次予選が開幕した。11月16日、森保ジャパンは初戦のミャンマー代表には５−０と完勝して好スタートを切った。
代表のユニホームは「青」と「白」を基調とする伝統があるが、たった１度だけ上下ともに真っ赤なユニホームを採用した時期がある。その時、それまで必ず左胸につけられていた「日の丸」が外されて、代わりに日本サッカー協会（JFA）のエンブレム「八咫烏（ヤタガラス）」がつけられた。それは違う、と叫んだ男がいた。ドーハの悲劇で日本代表の「10番」を背負ったラモス瑠偉である。
「日本代表の赤いユニホームはとっても渋かったよ、ブラジルやアルゼンチンも国旗の色を代表のユニホームに入れている。日本代表は赤でもいいと思ったよ。だって、赤は『日の丸』の色だからね」
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ラモス氏は’89年に日本へ帰化、その翌年４月に初めてA代表に招集された。ユニホームカラーは上下とも赤。国を背負ってサッカーで戦う、そんな意欲満々で代表の合宿に向かったが、すぐに違和感でいっぱいになった。
「ユニホームのセンスは良かったけれど、代表合宿なのに、選抜チームのノリできている選手がいた。これじゃまるで学校の遠足じゃないかという感覚だった。冗談じゃないよ！って、『そんな日本代表なら私はもう二度と来ません！』と（当時の日本代表）横山（謙三監督）さんに訴えたほどだよ」
ラモス氏にとって初代表となるユニホームからこれまで左胸についていた「日の丸」が初めて外された。JFAは「これまでにない斬新なものを作ろう」と色は赤、左胸にはあえてシンボルマークの「八咫烏」をつけた。この赤のユニホームを採用した横山ジャパン（1988年～91年）はラモス氏を軸にしたチーム編成で’91年のキリンカップで初優勝こそしたが、当時の日本代表は世界はもちろんアジアでも勝てなかった。
それどころか「欧州では赤いユニホームを着た日本代表の選手を韓国や中国の代表と間違える国が増えてしまった」（JFA幹部）という理由で、日本代表で赤いユニホームが２度採用されることはなくなった。そういう経緯は理解した上で、それでもラモス氏にとっては許せないことがあった。それは、ユニフォームの色が変わった後も、日本代表のユニホームから「日の丸」が外されたことだった。ラモス氏が続ける。
「ドーハの時も日の丸のためと思ったから頑張れたんだ。36歳でチーム最年長だった私が20代の連中の練習にたえてこられたのも日の丸があったからだった」
そんなラモス氏と日の丸の出会いは来日するはるか前だった。
「ブラジルで16か17歳の時だった。映画に行ったときにスクリーンに映る日の丸を初めて見た。タイトルも覚えていないんだけど『なんだろう、この思い』という良いイメージが体に残った。私は当時、日本がどこにあるかなんてことも、全く知らなかった。所属していたチームの監督からは、その国にはサッカーがあるのか？ということも言われたから。不思議だよね、そんな私が日本に来たんだから。
初めて来日した日のことも忘れられない。空港に降り立つと、その日は多くの日本の人たちがあちこちで『日の丸』を振っていた。後からその理由を読売クラブの関係者に聞くと、その日は’77年４月29日、当時の昭和天皇陛下のお誕生日だった。日の丸を持って歩いている方の姿、私はその光景を見ながら東京・稲城市のよみうりランドに向かったんだ」
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ブラジルの独立記念日（９月７日）でも見られない光景で新鮮だった。何より、当時19歳だったラモス氏がもともと持っていた、「先人を敬う気持ち」が刺激された。
日本サッカーリーグの読売クラブ（現J２・東京V）にプロサッカー選手として入団、当時はブラジル人助っ人だったラモス氏は、足繁く日本代表戦を観戦に訪れていた。
「駒沢、西が丘、そして国立競技場にも見に行きました。あの頃は木村和司の時代だった。ユニホームの左胸に『日の丸』をつけた和司は、とにかくかっこよかったよ」
<div data-friday-nextpage-lead="「涙を流しながら戦った日本代表もあった」"></div>
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<figure id="attachment_344248" aria-describedby="caption-attachment-344248" style="width: 3587px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="63beac93"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/99123767359dd87472fac3efd27aba51.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344248" class="wp-caption-text">’90年アジア大会にのぞんだときの日本代表。帰化した直後で日本代表に呼ばれてまもないラモス氏やカズ（三浦知良）の姿も。ユニホームには日の丸が入っていない</figcaption></figure>
ラモス氏が日本代表に呼ばれる前任の石井義信監督時代の’87年ごろまでユニホームにつけられていた日の丸は、横山氏の就任後に前述の理由などで外された。’92年にオフト新監督が就任すると、その中心選手だったラモス氏が動く。
「私がオフト（監督）に言いにいった。是非、代表のユニホームに日の丸を入れさせてもらえないかと。すると、オフトは『任せる！』と言ってくれた」
オフト監督のOKをもらったラモス氏は、番記者たちの前で「日の丸」に対する思いを訴えた。
「記者の人たちに協力してもらってたくさん記事にしてもらった」
そしてJFAもこれを快諾。’94年W杯米国大会アジア最終予選で着用したユニホームにはしっかり左袖に「日の丸」が入った。
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「オフトジャパンのメンバーって、日本に対する強い思いがありました。キャプテンの柱谷（哲二）をはじめ、都並（敏史）、井原（正巳）、カズ、福田（正博）、吉田（光範）、そして今、日本代表を率いる森保（一）もみんなが『日の丸』のためにやっていた。オフトもそうでした」
ラモス氏にとって何よりもまして日本代表でプレーする原動力になった。嬉しかった。これまで積み上げてきた日本サッカーの歴史の中で、自分を犠牲にしてチームを最優先に取り組む魂を感じさせるチームだった。だからこそ『ドーハの悲劇』は30年たった今でもなお語り継がれる伝説なのだ。
「Jリーグは30周年でとても盛り上がっているよね。それも大事だけど、弱くて涙を流しながら戦ったサッカー日本代表もあったんだ。釜本（邦茂）さんや杉山（隆一）さんたちが頑張った’68年のメキシコ五輪の銅メダルだって絶対に忘れちゃダメ！そう思いませんか？」
19歳で来日したとき「１、２年でブラジルに帰るつもりだった」ラモス氏は今年、66歳。今でも日本で生活している。
「日本の魅力は、今でもわからない。というか一言では表せないぐらい、素晴らしいということだね。’16年に脳梗塞になった後、元気になれたのは、きっと神様に生かされているという証拠。日本への恩返しがまだまだ足りないんだよ、きっと。チャンスがあれば監督もやりたいし、子供たちにサッカーを思いっきり好きになってもらいたい。そんなお手伝いができれば嬉しい」
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「日本代表のユニホームには日の丸をつけるべきだ」――。
この「ラモスの提言」以来、サッカー日本代表のユニホームはモデルチェンジをしても必ずどこかに「日の丸」がある。W杯予選が始まった森保ジャパンのユニホームでは背番号の上につけられている。どんな試合でも常に「日の丸」への思いを背負ってプレーするという意味だ。
<figure id="attachment_344249" aria-describedby="caption-attachment-344249" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9b657a82"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/627522dd93376520ac93d67d2a73e04b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344249" class="wp-caption-text">’’94年W杯米国大会を目指した日本代表。左袖に日の丸が入ったのはラモス氏の尽力が大きかった</figcaption></figure>
（取材協力：KAKU SPORTS OFFICE）

アフロ（１、３枚目）時事通信社（2枚目）

サッカー日本代表は21日、アジア二次予選でアウェーのシリア戦に挑む。当たり前のようについているユニフォームの「日の丸」が一時なかった時期があった。その復活を直訴したのは意外な男だった……

「許せなかった」……日本代表ユニホームに「日の丸復活」を直訴したラモス瑠偉　その「意外な理由」

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