浅井 秀樹

<h3><span class="strongInContent">インフレが続くと、預金の資産価値は「目減り」していく…</span></h3>
<p>物価が下落するデフレ経済の資産運用は銀行預金でよかった。いまは物価が上昇し、金利も上がり始めた。預金金利も少しは上がっているが、インフレが続くと金利の上昇以上に物価が上がり、預金の資産価値は目減りしていく。将来に備えて、どんな資産運用をすればいいのだろうか。</p>
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<p>教育費や住宅購入、老後資金など、人生には何かとお金がかかる。将来に備えて貯金する人が少なくない。統計でみると、日本の家計資産は50％以上が現預金。欧米と比べ、日本人は投資に慎重で消極的とみられている。一方、貯金だけでなく、中長期的に上手に運用すれば、資産が増えていくこともある。</p>
<figure id="attachment_345552" aria-describedby="caption-attachment-345552" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ea0f638e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/30f74afc688cbb1835f01188ce97cdab.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345552" class="wp-caption-text">物価が上昇し、金利も上がり始めた。「預金金利」も少しは上がっているが…</figcaption></figure>
<p>そこで、政府は「資産所得倍増プラン」を掲げ、貯蓄から投資へと促している。投資行動を促すため、運用資産への課税では思い切った優遇措置を打ち出し始めている。’14年に 始まったNISAや、’24年から開始される新NISAという制度だ 。株式や投資信託などの金融商品に投資すると、受け取る配当金や、売却で得た利益に約20％の税金がかかるが、この税金を一定限度で非課税にする制度となる。</p>
<p><span class="strongInContent">「これから10</span><span class="strongInContent">年くらい使わないお金があるのなら運用してもいいけれど、いきなり株式投資はハードルが高い。個別株はいつ買ったのかで上下変動が大きく、投資先の企業と運命を共にして、リスクが大きくなります」</span></p>
<p>こう話すのはファイナンシャル・プランナーの有田美津子さん。 人生に必要なお金に関する相談、アドバイスをしている。そこで長期に少しずつ、魅力ある金融商品で積み立てていくように運用し、その際に非課税制度を使うといいという。株式投資なら、「株式投資信託」と呼ばれる金融商品を挙げる。</p>
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<h3><span class="strongInContent">変動リスクを緩和できる！？ </span><span class="strongInContent">そもそも、「投資信託」とは</span></h3>
<p>投資信託は投資家から集めたお金を一つにまとめ、プロが株や債券などに投資して運用する。個人でも少額で投資ができる。投資信託協会によると、１万円程度から手軽に始めることができ、決まった金額を毎月などの一定の間隔でこつこつ買う「積立投信」もあり、まとまった資金がない人も中長期的な投資ができる。自分で個別株を選んで買うのと違い、株式投信はいくつかの銘柄に資金を分散して投資するため、個別株の変動リスクを緩和できる。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「日経平均」を10年ごとに振り返ってみると…"></div>
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<p>日本証券業界によると、スポット型株式投信は１回限りの募集で設定され、成長期待のある会社を中心にタイムリーな運用を目指している。運用期間は商品により違うが、主に５～７年が多い。一方、オープン型（追加型）株式投信はいつでも時価で売買ができる。売買はいつでも自由なもののほか、売却日の決まっているものや、換金できない期間のあるものなどもある。</p>
<p>株式投信だけを見ても、証券会社などの金融機関が独自に投資先を選定し、それぞれの運用方針のもとで、さまざまな金融商品を提供している。金融商品により、手数料や運用成績などもさまざまなので、自分に合った商品を見つけるといい。</p>
<p>政府が用意する非課税制度の枠内で、たとえばこうした株式投信に毎年、あるいは毎月、少しずつ、お金を積み立てるように投資していく方法がある。</p>
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<p><span class="strongInContent">「資産が上がったり下がったりしながらも右肩上がりに、けっこう増えます。大金を一つにつぎ込まず、お金も時期も何回かに分散して投資することが大事です」</span></p>
<p>有田さんはこう話し、何もしていない人と中長期的な資産の規模が違ってくるという。金融庁は「投資の基本」とするサイトで、長い時間をかけて少しずつ増やしていくといいという。運用で得られた利益を元本に加え、さらに運用していくと「複利効果」が期待できるとしている。たとえば、100万円を投資し、年率10％で運用すると、10年後の資産は259万円に増えている。一方、投資には株価下落など、さまざまなリスクもあると理解しておくことも必要という。</p>
<figure id="attachment_345553" aria-describedby="caption-attachment-345553" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3bef4d1a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/15cb4917943313a7bd0e6b4fdb359011.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345553" class="wp-caption-text">「大金を一つにつぎ込まず、お金も時期も何回かに分散して投資することが大事です」と専門家は言う</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">たとえば、「日経平均」を10</span><span class="strongInContent">年ごとに振り返ってみると…</span></h3>
<p>日経平均株価の推移を長期でみてみよう。年初取引の始値を10年ごとにみると、’70年2402円、’80年6560円、’90年３万8921円、’00年１万8937円 、’10年１万609円、’20年２万3319円だった。’80年代後半にバブルと呼ばれる異常な高騰と、バブル崩壊後の長い低迷があり、どの期間をとるかで違ってくる。今年11月20日には一時、３万3853円と約33年８カ月ぶりの高値をつけた。</p>
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<p>日本経済の現状は、長く続いたデフレ時代と違い 、物価が上昇に転じている。金利はゼロ％に近い超低水準が続いていたが、最近は長期金利が１％近くまで上昇する局面も出てきている。経済や金利動向など投資環境についてみている市川雅浩・三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジストはこう話す。</p>
<p><span class="strongInContent">「５年、10</span><span class="strongInContent">年先には長期金利が２％くらい、短期金利も金利がつく世界になり、経済も良くなっていると思う。いままで無理に金利を低い水準に抑えてきたが、物価や賃金が上がれば長期金利も上がっていくと考えられる」</span><strong style="font-size: 1rem;"> </strong></p>
<div data-friday-nextpage-lead="投資の知識・経験の乏しい人でも…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">投資の知識・経験の乏しい人でも、中長期に少しずつ積み立てるように</span></h3>
<p>ここで、冒頭で紹介した運用資産の非課税制度について、詳しくみてみよう。’14年に導入のNISAと、来年からの新NISAでは大きな違いがある。非課税額が拡大するほか、非課税期間が有限から無期限になり、新NISAは上手に使うとお得だ。</p>
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<p>現行のNISAは２通りの運用から一つ選ぶ。①一般NISAは、株式や投資信託などを年間120万円まで購入できて、最大５年間、非課税で保有できる。②つみたてNISAは、一定の投資信託などを年間40万円まで購入可能で、最大20年間、非課税で保有できる。</p>
<p>一方、新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できて、非課税は無期限となる。つみたて投資枠は年間120万円、総枠が1800万円まで、一定の投資信託を購入して保有できる。成長投資枠は年間240万円、つみたて投資の総枠のうち1200万円まで、上場株式や投資信託などを購入して保有できる。</p>
<figure id="attachment_345554" aria-describedby="caption-attachment-345554" style="width: 2149px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4c164161"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/7a7b80f629ab20d8e26d21568d699ddd-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345554" class="wp-caption-text">新NISAでは、「非課税投資枠」が大幅に拡大され、非課税投資期間は「無期限化」される（金融庁『はじめてみよう！NISA早わかりガイドブック』&lt;最新版&gt;より）</figcaption></figure>
<p>投資の知識・経験の乏しい人でも、中長期に少しずつ、積み立てるように株式投信に資金を投入すれば、10年後、20年後には資産がかなり増えている可能性がある。</p>
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<p>有田さんはこうも注意を喚起する。</p>
<p><span class="strongInContent">「運用の期間や何に使いたいのか、ゴールを決めておく必要があります。老後の不安といっても、明確に数字に表すことが必要です。老後資金なら、65</span><span class="strongInContent">才なのか、70</span><span class="strongInContent">才なのか、老後にどういう生活をしたいのか。年金や退職金はいくらもらえるのか」</span></p>
<p>資産の運用はあくまで将来への備えであり、自分に合った運用をしたい。</p>


浅井秀樹

物価が上昇し、金利も上がり始めた。預金金利も少しは上がっているが、インフレが続くと金利の上昇以上に物価が上がり、預金の資産価値は目減りしていく。将来に備えて、どんな資産運用をすればいいのだろうか。

「インフレ時代の資産運用」預金金利が上昇しているけれど…それでも、定期預金よりNISAが正解な訳

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