東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。事業戦略と未来予測の専門家。経済評論家としてメディアなどの多方面で活躍中。著書に『格差と階級の未来』『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』（講談社）、『日本経済 復活の書』（PHP研究所）、『戦略思考トレーニング』シリーズ（日本経済新聞出版社）などがある。後者は累計20万分超のベストセラー。

鈴木 貴博

<h3><span class="strongInContent">昨年の年末は米ドルの為替レートが「１ドル＝133円」程度だったが…</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>年末年始に海外旅行を計画している方も多いと思います。その際に気になるのが為替レート。昨年の年末は米ドルの為替レートが１ドル＝133円程度でしたが、今年一年で円安が進んで１ドル＝148円前後になっています。</p>
<p>ハワイ旅行を計画している人の場合、去年と比べると円安だけで１割以上も物価が高く感じられるはずです。しかもアメリカのインフレは鈍化したとはいえ去年よりも物価が上がっているので、合計すれば現地では昨年比で15％ぐらいは物価高を感じるはずです。</p>
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<figure id="attachment_345964" aria-describedby="caption-attachment-345964" style="width: 4000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d54aaf71"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/504c7237bb808b5c92ef34fc9469338c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345964" class="wp-caption-text">11月13日には、一時、１ドル=151円80銭台に（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「隠れ円安」とは…</span></h3>
<p>さて、ここからが本題です。実は今、「隠れ円安」が話題になっています。今年の円安は去年の円安と違うという話です。どこが違うのかというと<span class="strongInContent">去年話題になった円安はアメリカドルに対して世界各国の通貨が安くなるという現象でした。ところが今年の円安は日本円に対してドルだけでなく世界各国の通貨が強くなるという現象が起きています</span>。</p>
<p>もっと簡単に言ってしまえば世界各国、どこに行っても円安が起きているのです<span class="strongInContent">。この一年で円が安くなった国や地域を挙げるとアメリカ、欧州、カナダ、オーストラリア、中国、韓国、台湾、香港、フィリピン、タイ、インドネシア、シンガポール</span>といった具合でどこに行っても隠れ円安が進んでいます。</p>
<p>たとえば一年前の年末、中国の人民元は１人民元＝18円90銭前後のレートでしたがこの一年で人民元に対しても円安が続き、現在は20円70銭になっています。韓国のウォンは１ウォンが10.3銭が11.4銭に、台湾ドルも４円30銭だったのがこの一年で４円70銭までと<span class="strongInContent">どの通貨でも約１割ほどの円安が起きています</span>。</p>
<p>もうすでに年末年始の旅行先を決めている場合は、円安でも現地での旅行を楽しむのが一番いいでしょう。ただこれから旅行先を決めるのであれば、行先についてねらい目を考えたほうがいいかもしれません。実用的なアドバイスをお話ししましょう。</p>
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<figure id="attachment_345965" aria-describedby="caption-attachment-345965" style="width: 4589px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f4179e52"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/f2b62a0719d8f9853c1f0d3947ed905f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345965" class="wp-caption-text">海外旅行者数が初めて2000万人を突破した’19年。JTBの調査によると、’22年の年間海外旅行者数は277万人で、’19年比では13.8％だった。写真は、’19年GWの羽田空港の様子（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「香港」ではコーラが１本360円…</span></h3>
<p>まず先進国はどこに行っても物価の高さに辟易するかもしれません。日本よりもインフレ率が高い国が多いのです。たとえばイギリスやオーストラリアのインフレ率は５％ぐらいとアメリカよりも物価高が進んでいます。</p>
<p>以前は物価が安かった観光地も同様です。私は先月、出張で香港を訪れましたがコンビニでコーラを買うと１本360円、ラーメンを食べると一杯1400円といった具合で、もはや香港の物価は日本人の感覚だと倍に感じるぐらいです。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「３つの視点」で穴場を探してみると…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「円安時代」のおすすめの旅行先…「３つの視点」で穴場を探してみると</span></h3>
<p>ではお勧めの場所はあるのでしょうか？　３つの視点で穴場を探してみましょう。</p>
<p>まず最初の視点は「ビッグマック指数」です。ビッグマック指数とはその国でマクドナルドのビッグマックがいくらで売られているかという指数で、この指数を見れば庶民感覚でその国の物価が高く感じるかどうかがわかります。</p>
<p>日本のビッグマックは450円でこの数字を基準に考えると、実はほとんどの国のビッグマックは日本よりも割高です。しかし穴場が２つ見つかります。それが<span class="strongInContent">「台湾」</span>と<span class="strongInContent">「インドネシア」</span>。台湾のビッグマックは350円程度、バリ島などの観光地があるインドネシアのビッグマックは320円程度。<span class="strongInContent">これが意味することは、通貨としては円安だけど、それでも現地の物価は日本人の感覚から見てそれほど高くはなっていないということです。</span></p>
<p>どちらも日本からは手ごろに行ける観光地でもありますし、その観点ではこの年末、一番のねらい目ではないでしょうか。</p>
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<figure id="attachment_345966" aria-describedby="caption-attachment-345966" style="width: 6000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ac158099"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/a448ec1e990cfda76cc3c276fd29648b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345966" class="wp-caption-text">公共交通機関や屋台を利用すれば、リーズナブルな旅行を楽しめそうな台湾・台北市</figcaption></figure>
<p>さて、<span class="strongInContent">二番目のお勧め、これはかなりマニアックな視点ですが、日本以上に経済が停滞している国を狙うという手があります。</span>今、わたしたちは円安で苦しんでいるのですが、その国の通貨がそれ以上に安くなって国民の生活が日本以上に苦しい国は世界にまだたくさんあります。その中で人気の観光地を探してみましょう。</p>
<p>その観点でお勧めの国は全部で３つ。<span class="strongInContent">「トルコ」</span>、<span class="strongInContent">「エジプト」</span>、そして<span class="strongInContent">「ブラジル」</span>です。どの国も現地通貨が大暴落して大変なことになっているのですが、そのために日本人観光客が現地を訪れると円も強い通貨として通用します。</p>
<p>そしていずれの国も観光名所としては申し分のない国々です。難点としては日本から遠いことと、経済の混乱から現地の治安が少々悪くなっていることでしょうか。あくまで大胆な方たちだけにお勧めしたい行先です。</p>
<figure id="attachment_345967" aria-describedby="caption-attachment-345967" style="width: 4674px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="54989bb7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/5d09f08a254c876a903939cc60b44892.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345967" class="wp-caption-text">一度は行ってみたいエジプトのピラミッド。「日本以上に経済が停滞している国を狙う」っていうのは、ちょっと悲しい気が気がするけど…</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">意外な「穴場」…</span></h3>
<p>そして<span class="strongInContent">三番目のお勧めです。これは実は今、旅行会社に申し込みが殺到している観光地でもあります。それはなんと「日本」。</span></p>
<p>そうなのです。今や歴史的な円安で日本は世界の観光客から注目の観光地なのです。そして旅行会社の方に話を伺うと、日本人の年末年始の旅行でも同様に日本が人気が高いといいます。</p>
<p>特に「海外旅行の代わりに行く目的地は？」と訊ねてみると、旅行会社の答えは「首都圏の人ならば沖縄、それ以外の地域の人たちには東京が人気だ」ということです。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="目から鱗の…"></div>
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<p>これは考えてみると「目から鱗の解決策」です。年末年始にわたしたちが海外旅行に行く目的は非日常を楽しむこと。その観点で言えば沖縄と東京はぴったりその目的に合致します。</p>
<p>沖縄の場合は那覇市ではなくレンタカーを借りてちょっと遠くの街や村に滞在すればまるで外国のような経験を楽しむことができます。たとえば「<span class="strongInContent">沖縄市</span>」はどうでしょう。以前はコザ市と呼ばれていた沖縄市の中心部は米軍基地の街です。</p>
<p>コザの街は近年、町おこしで若い人たちが経営する飲食店や小売店が増加しています。古い商店街をリノベーションして新しい感覚のお店がつぎつぎと誕生しているのです。さらにはそのような商店を改造してエキゾチックなホテルとして滞在を楽しめる施設も誕生しています。</p>
<figure id="attachment_345968" aria-describedby="caption-attachment-345968" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="02122432"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/745b0731752ef6c7ae75aca09a93c87f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345968" class="wp-caption-text">米軍基地の街ならではの空気感が漂う沖縄市の街並み</figcaption></figure>
<p>沖縄で海外気分を味わうとしたらもうひとつ、「<span class="strongInContent">北谷</span>」もお勧めです。こちらは米軍基地が返還された跡地に広大なアメリカンビレッジという観光地が生まれていて、やはりアメリカ風の飲食店やショップが軒を連ねています。ヒルトンなど大手資本のホテルも充実しているので長期滞在にも向いています。</p>
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<p>あと沖縄で個人的にお勧めなのがステーキ文化です。米軍が顧客になることから沖縄にはアメリカ風のステーキハウスがたくさんあるのです。<span class="strongInContent">ステーキに限らず物価の安い沖縄では何を食べても値段はアメリカの３分の１以下。</span>しかも沖縄は東京から飛行機でわずか２時間程度です。国内旅行でありながら海外旅行気分を満喫できるねらい目スポットであるのは間違いないでしょう。</p>
<h3><span class="strongInContent">注目の再開発スポットが盛りだくさんの「東京」</span></h3>
<p>もうひとつの人気観光地「東京」は、なんといっても最先端の再開発スポットがお勧めです。インバウンドに人気の新宿歌舞伎町には東急が運営する<span class="strongInContent">「歌舞伎町タワー」</span>が開業しています。</p>
<p>ビルの２階には全国の居酒屋が集結した横丁があり、その中央でDJが最新の音楽を紹介しています。歌舞伎町や新宿西口では大量の提灯や電飾などでエキゾチックな日本をイメージさせるお店が増殖していて、以前の日本ではなく未来の日本を感じさせる街へと変貌しています。</p>
<p>六本木も相変わらずお勧めのエリアです。日本の都市文化としてはNYを彷彿させる文化の中心地で、かつ六本木ヒルズやミッドタウンなど大規模な再開発で都市の様相が常に変化しています。</p>
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<p>11月にはこの街に隣接して新たに「<span class="strongInContent">麻布台ヒルズ</span>」が誕生しました。緑に覆われたこれまでにない新しい都市計画による新しい街の誕生です。実は麻布台ヒルズは六本木から徒歩圏内であり、その麻布台ヒルズからは虎ノ門ヒルズが徒歩圏内。<span class="strongInContent">つまり東京の新しい街は単体の開発から、つながる都市開発へと進化も始めているのです</span>。</p>
<figure id="attachment_345969" aria-describedby="caption-attachment-345969" style="width: 2854px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="19888721"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/0e7670ea74d91062c70a3134835c8504.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345969" class="wp-caption-text">11月24日に開業した麻布台ヒルズ</figcaption></figure>
<p>もちろん「<span class="strongInContent">渋谷</span>」も「<span class="strongInContent">裏原宿</span>」も相変わらず進化を続けていますし、「<span class="strongInContent">浅草</span>」も「<span class="strongInContent">銀座</span>」もインバウンドでは鉄板の人気を誇ります。年末年始、東京のこうしたインバウンドに人気の街を探検に来るのも、非日常を感じるエキゾチックな体験になるのではないでしょうか。</p>
<p>このように円安と隠れ円安で注意が必要な年末年始も、工夫次第でまだまだゴージャスに過ごせるものです。皆さんも年に一度の休暇をぜひぜひ満喫してみてください。</p>


経営戦略コンサルタント。東京大学工学部卒。ボストンコンサルティンググループ等を経て2003年に独立。事業戦略と未来予測の専門家。経済評論家としてメディアなどの多方面で活躍中。著書に『格差と階級の未来』『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』（講談社）、『日本経済 復活の書』（PHP研究所）、『戦略思考トレーニング』シリーズ（日本経済新聞出版社）などがある。後者は累計20万分超のベストセラー。

昨年の年末は米ドルの為替レートが「１ドル＝133円」程度だったが…  年末年始に海外旅行を計画している方も多いと思います。その際に気になるのが為替レート。昨年の年末は米ドルの為替レートが１ドル＝133

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