<figure id="attachment_329302" aria-describedby="caption-attachment-329302" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3d9cf06f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/08/14ee39118c6a24cd2d1766d26d2b6456.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-329302" class="wp-caption-text">7月に就任して以来、一連の騒動の解決に向け奔走し続ける和泉伸二社長。そんな中で、関東財務局より厳しい処分が下された</figcaption></figure>
<p>11月30日、関東財務局が保険業法第307条第1項第3号の規定に基づいて下した行政処分により、BMグループ【（株）ビッグモーター、（株）ビーエムホールディングス、（株）ビーエムハナテン】は損害保険代理店としての登録が取り消された。</p>
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<p>これまでビッグモーターの各店舗は、それぞれ東京海上日動や損保ジャパン、三井住友海上などの損保代理店になっていた。これにより損保会社ではないビッグモーターが、任意保険や自賠責保険の契約の手続きを行うことができた。しかし、今回の行政処分によってビッグモーターは今後、最低でも3年間は同じ法人での損害保険代理店登録ができなくなる。</p>
<figure id="attachment_346858" aria-describedby="caption-attachment-346858" style="width: 1222px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a66ab6b6"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/906c632943d1e9a19af223ea5f066657.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-346858" class="wp-caption-text">11月24日に関東財務局が公開した、行政処分に関するリリース。ビッグモーターの、損保代理店としてのズサンな運営実態が詳細に書かれている</figcaption></figure>
<p>行政処分に先立って同24日に関東財務局が処分の内容について詳細を公開した。そこでは<span class="strongInContent">「兼重親子は利益の拡大及び自己の思い通りに経営したいという意欲が過剰であり、法令等遵守態勢、大会社であれば当然に整備すべき経営管理態勢の構築を怠った」「取締役会が開催されたのは約7年間でわずか1回だった」</span>といった趣旨の、驚きの説明が並ぶ。その上で、立ち入り検査によって明らかになったとする数々の「不適切事例」についても詳報している。その中の主な事例を紹介しておく。</p>
<p><span class="strongInContent">１.保険募集システムにおいて、極めて短時間に契約締結手続き等を行ったことが記録されている契約148件を抽出して確認したところ、122件について、募集人が網羅的な重要事項の説明を行っていない実態が認められた。</span></p>
<p><span class="strongInContent">２.保険加入を条件に車両価格を値引くなど、保険業法第300条第1項第5号で禁止する特別利益の提供を行っていた。</span></p>
<p><span class="strongInContent">３.募集人の保険契約88件を抽出し確認したところ、店長等から圧力を受け加入させられたなど、不適切な募集行為が行われていた契約14件が認められた。</span></p>
<p><span class="strongInContent">４.下請業者の保険契約149件のうち121件について圧力による保険加入と判断されるなど、下請業者に対しても不適切な募集行為が行われていた。</span></p>
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<p>つまり、ビッグモーターでは適正な保険募集を行う指導体制が存在していないなかで、下請け会社などに無理やり保険を契約するように圧力をかけていた実態が明らかになったわけである。なお、これらの数字はあくまでも一部を抽出したものであるのですべてを調べた結果ではない。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="代理店登録復活への「意外な方法」とは……"></div>
<figure id="attachment_330646" aria-describedby="caption-attachment-330646" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="44093d7f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/09/8ce04bc416720c00694b23f7dbf444bd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-330646" class="wp-caption-text">伊藤忠グループが支援に乗り出したものの、客足はまだまだ回復していない。経営再建へ、厳しい道のりが続く</figcaption></figure>
<p>損保会社の調べによると、´23年8月末時点で、ビッグモーターで契約中の任意保険は15万件以上にのぼるという。凄まじい数字だがこれらの契約がすべて11月30日で終了となり、その後は損保各社との直接契約または、損保指定の代理店に移行する。なお保険の補償内容もそのまま自動的に引き継がれるため保険契約は満期になるまで有効となる。</p>
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<p>ビッグモーターが任意保険を保険販売（保険契約）した際に受け取る手数料やインセンティブは、関係各所への独自取材に基づき算定したところ、年間で30億円ほどの利益となると推測される。さらに自賠責保険の手数料なども加味すると、その額は年間約35億円にもなると推測さされる。</p>
<p>これらの利益に加えて、ビッグモーターが保険販売に躍起になっていた理由は他にもある。損保会社の関係者が、その狙いを語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「契約を集める事で損保会社への影響度を高めたいとの思惑があったんでしょうね。とくにDRS（損保からビッグモーターの板金工場への入庫紹介）を優先して出してもらう狙いがあったんだと思います。『ウチにはこんなに保険資源があるんだからDRS出せよ。じゃないと店舗担当させないぞ！』という感じです。そういった圧力が常態化していたので、不正請求もまかり通っていたのではないでしょうか。そうでもない限り、不正請求を見逃すなんてことは、保険会社はしません。本当に組織的にやっていたことを保険会社が掴んだら徹底的に追い込んだと思いますよ」</span></p>
<p>保険を代理で販売する目的は手数料ではなく、たくさん売ることで入庫紹介を優遇してもらうことにあった。ビッグモーターの板金工場に入れることで修理費や、そして不正請求による利益の上乗せも見込んでいたということなのだろう。</p>
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<p>業務の柱の一つであった保険販売ができなくなったビッグモーター。しかし、この登録取り消し処分には「意外な抜け道」も存在するというのだ。</p>
<p>資料を作成した関東財務局に確認したところ、今回の行政処分によってBMグループは損害保険代理店の登録が取り消されたため、最低でも3年間は同じ法人として再登録することは不可能となる。しかし、これはあくまでも、「同法人」が前提とのことだ。たとえばビッグモーターがどこかの企業に救済されて別の法人に変わった場合はこの限りではない。当局は様々な審査を行うが、どのような評価をするかは今の段階では明言できず、新法人として再び損保代理店登録できる可能性はゼロではないとのことであった。</p>
<p>ビッグモーターに対しては、すでに伊藤忠グループによるデューデリジェンス（買収監査）が発表されている。今回の取り消し処分は、その影響を受けたものかという問いに、関東財務局は「考慮していない」と答えたが、伊藤忠の支援がうまくいけばビッグモーターは´24年4月に社名変更をして新たなスタートを切ることになる。保険事業は自動車販売や整備、車検などのシーンにおいては欠かせない事業だ。ビッグモーターの今後に大きく関わる保険事業の行方に引き続き注目したい。</p>
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加藤久美子

蓮尾真司（1枚目）、結束武郎（2枚目）

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