<h3>Do my best swing 
急成長を遂げて首位打者を獲得！ リーグ3連覇の立て役者！ 
来年もやります「ほいさー！」</h3>
<figure id="attachment_348860" aria-describedby="caption-attachment-348860" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8ce9ca09"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/065425e26c3eb9e4eba22bc9c3935ee5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348860" class="wp-caption-text">’96年11月、岡山県生まれ。岡山理科大附属高から亜細亜大へ進学。’19年ドラフト２位でオリックスへ入団。今季は初の首位打者となりベストナインに選ばれるなどチームを牽引した</figcaption></figure>
〈Ｄｏ ｍｙ ｂｅｓｔ ｓｗｉｎｇ〉
オリックスの主砲・頓宮裕真（とんぐうゆうま）（27）のヘルメットには、そう記されている。今季レッドソックスへ移籍し、メジャーで活躍する吉田正尚（まさたか）（30）からの忠告を受けて刻んだ言葉だ。頓宮が話す。
「正尚さんから『自分のスイングをすることが大切』と言ってもらったんです。他にもいろいろとアドバイスをいただきましたが、打席に向かう時に思い出せるよう、今年から登場曲を正尚さんが昨年まで使っていた『何かひとつ』（若旦那）に変えました」
今季、初の首位打者（打率.307）を獲得しチームのリーグ３連覇の立て役者となった頓宮。彼を変えた先輩たちの金言と、急成長の軌跡を本人に聞いた――。
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頓宮が野球を始めたのは、小学校１年生の時だ。
「自宅の駐車場にネットを張り、父親と打撃練習をしていました。父親は社会人の軟式野球チームの投手だったんです。今も僕の試合を見続けてくれる父親には、感謝しかありません。スイングの感覚がしっくりくるまで、回数を決めずずっとバットを振っていましたね」
岡山県備前市の頓宮家の隣に、２歳下で後にオリックスのエースとなる山本由伸（25）が住んでいたのは有名な話だ。スポーツ誌『Ｎｕｍｂｅｒ』の取材で、山本も〈ゆうま君（頓宮のこと）はずーっとバットを振っていた。毎日、とにかくずっと〉と振り返っている。
強打のキャッチャーとして、頓宮は地元の岡山理科大附属高へ進む。１年秋から「４番・捕手」として活躍し、卒業後は亜細亜大学へ進学する。だが……。
「入学直後に、狙い通りにボールが投げられないイップスになったんです。投手への返球も思うようにいかず、『もうボールを見たくない』『投げる動作を見るのも嫌』と思うほど苦しみました。
前を向かせてくれたのは、『人の上に立つ者は苦しめ』という（当時の亜大の）生田勉監督（57）の言葉でした。逃げたい気持ちを抑え自分のスローイング映像を何度もチェック。修正点を見つけ、１年近くかけてイップスを克服しました」
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３年春の東都リーグでベストナインに選ばれ、４年生では主将となり日米大学野球の日本代表にも選出。’19年にドラフト２位でオリックスへ入団すると、日本ハムとの開幕戦で新人ながら「５番・三塁手」としてスタメンデビューする。しかし、ここでも逆境を味わう。
「経験したことのないサードでの起用は、打撃力を評価していただいての方針だと思います。僕は『打球を（自分の）大きい身体に当てて前に落とせばなんとかなるやろ』と軽く思っていました。でもプロの世界は甘くない。わけがわからないままエラーを繰り返しました。慣れない守備への不安は打撃にも影響し、徐々に自分を見失い二軍降格となったんです」
<div data-friday-nextpage-lead="頓宮を救った言葉"></div>
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<figure id="attachment_348861" aria-describedby="caption-attachment-348861" style="width: 1819px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b53f01d8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/62bc99583718509ad11bafffcd786e0c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348861" class="wp-caption-text">阪神との日本シリーズでは３本塁打を放つ活躍だった（PHOTO：共同通信社）</figcaption></figure>
頓宮を救ったのは、当時の二軍監督・中嶋聡（54・現一軍監督）だった。中嶋は頓宮をこう諭（さと）す。
「悔いを残すなよ」
頓宮は捕手への復帰を福良淳一ＧＭ（63）に直訴する。本職で再挑戦させてほしいと。守備の不安を解消した頓宮は少しずつ持ち味の打力を取り戻し、’22年には打率.226ながら初の２ケタ本塁打（11本）を記録する。転機は同年オフだ。
「（西武の主砲）山川穂高さん（32）と自主トレをしたんです。食事をしながら、いろいろな話をしていた時に、こう言われました。『センター方向へ強い打球を打つ意識を１年間続けたら』と。相手投手に合わせてスタイルを変えるのではなく、自分の打撃を貫けということでしょう」
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己のスタイルと聞いて頭に浮かんだのが吉田正尚だった。吉田は常にセンターを中心に強い打球を飛ばすことを心掛けていた。頓宮は疑問が浮かぶと米国にいる吉田へＬＩＮＥを送るようになる。
「正尚さんとは昨年までチームメイトでしたが、野球の話はほとんどしませんでした。当時の僕は何も考えず、ただ来たボールを打っていたので。正尚さんから話を聞くための、疑問すら浮かばなかったんです。
しかし考えながら野球をするようになってからは、次々に質問したいことが浮かんできて……。正尚さんからは『タイミングを早くしてみたら』『ヒザが曲がり過ぎやろ』と、いろいろなアドバイスをいただいています」
もう一人、金言を与えてくれた先輩がいる。今季、西武から加入し頓宮を「トン」と呼んで可愛がる森友哉（28）だ。
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強打が自慢の頓宮だが、５月は本塁打０と苦しんだ。森が声をかける。
「そこまで強振する必要はないよ。打率が上がれば本塁打も自然と増える」
５月から６月にかけ月間打率が.369から.372に上昇するとともに、本塁打も０から７に増加。もともとパワーがあるのだから、芯（しん）に当たれば打球が飛ぶのも当然だろう。森はこうもアドバイスした。
「結果が出なくても、打球が良かったら打撃スタイルを変えないほうがいい」
冒頭で紹介した〈Ｄｏ ｍｙ ｂｅｓｔｓｗｉｎｇ〉にも通じる言葉だ。森は気遣いの人でもある。頓宮が振り返る。
「（阪神との）日本シリーズが終わった直後に、急に連絡をいただいて……。何かなと思って渡されたのが、ロレックスの高級時計でした。以前からロッカールームで『腕時計が欲しい』と言っていたのを、覚えていてくれたんでしょう。首位打者を獲ったお祝いだそうです。メッチャ嬉しくて、いつも着けていますよ」
恩師や先輩などの言葉で逆境を乗り越え、ついに才能を開花させた。ヒーローインタビューなどで頓宮が叫ぶ「ほいさー！」（人気ユーチューバーのカジサックの次男・コジサックのギャグ）を、来年は何度も聞くことになりそうだ。
<figure id="attachment_348862" aria-describedby="caption-attachment-348862" style="width: 1737px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2132a8ad"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/616359fb330475fcd6a1d14fb4a37065.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348862" class="wp-caption-text">来季の目標を直筆で色紙にしたためる。「本塁打40本打ってホームラン王になりたいです」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_348863" aria-describedby="caption-attachment-348863" style="width: 2276px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6dbf8bb7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/1187a23413dd1eebc793ed65dad352bd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348863" class="wp-caption-text">森からプレゼントされた高級時計を腕に。「メッチャかっこいいでしょ」と満面の笑み</figcaption></figure>
<figure id="attachment_348864" aria-describedby="caption-attachment-348864" style="width: 1667px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="489b1b55"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/76d6caf263f16723f79f4f41e9a399b8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348864" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　オリックス･頓宮裕真肉迫インタビュー 「悩んでいた僕を救ってくれた先輩たちの金言」</figcaption></figure>
『FRIDAY』2023年12月22日号より

小松寛之　共同通信社（2枚目）

今季、初の首位打者を獲得し、リーグ３連覇の立て役者となったオリックスの主砲・頓宮裕真（とんぐうゆうま）。逆境に苦しめられていた彼を変えた、先輩たちの金言と、急成長の軌跡を聞いた。

初の首位打者獲得　オリックス･頓宮裕真が明かした「悩んでいた僕を救ってくれた先輩たちの金言」

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