<h3>意外と知らない「かたちの常識」　物のかたちに込められた秘密を学ぶ</h3>
<p>物のかたちには、作り手の想いや願いが込められている。たとえば、ペットボトルのかたち。そこには、お客様の安全性を考えての構造の秘密がある。たとえば、飛行機の翼や内装のかたち。そこにも、お客様に安全に空の旅を楽しんでもらうための秘密が隠されている。</p>
<p>そうしたことに思いを馳せることで、次世代を担う子供たちに世の中について教えることができるし、自らのビジネスや人生にもよい影響が出るのではないだろうか？</p>
<p>現在発売中の児童書<a href="https://amzn.to/48jPdYb">『物のかたち図鑑』</a>（形の科学会：監修）には、身近な物のかたちの理由がわかりやすく書かれている。その中には大人も意外にわかっていない「へえー！」と思うことも数多い。</p>
<p>子どもに尋ねられて答えにつまるようなかたちの理由を、今ここで少しでも仕入れてみてはどうだろうか？</p>
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<h3>飛行機がなぜ飛ぶかも知らず、飛行機に乗っていないだろうか</h3>
<p>出張や旅行で頻繁に利用する飛行機だが、そもそも飛行機はなぜ飛べるのかと問われるとすこし困る部分があるのではないだろうか。</p>
<p>飛行機が飛べるのはエンジンがあるからだが、それだけでは不十分だ。飛行機の翼のかたちにこそ、空高く飛び上がる秘密があるのだ。</p>
<figure id="attachment_348559" aria-describedby="caption-attachment-348559" style="width: 1620px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d1f146ce"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/52cae44499961c019885ccf0a6fabad7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348559" class="wp-caption-text">ジェット機の翼　　写真提供：日本航空</figcaption></figure>
<p>結論からいうと、飛行機の翼の上面と下面で空気圧の差が発生するため、高い空気圧の下面から低い上面に向かって力が働き、この上向きの力によって翼が持ち上げられるので飛行機は空を飛ぶことができる。</p>
<p>この翼に働く力を「揚力」という。何百トンという重量の飛行機を持ち上げる空気の圧力は、とんでもなく大きいとわかるだろう。</p>
<figure id="attachment_348560" aria-describedby="caption-attachment-348560" style="width: 1528px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b00542bf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/25f26cd283c9ef2aa1d1b4168d2daa24.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348560" class="wp-caption-text">プロペラ機の翼　　写真提供：日本航空</figcaption></figure>
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<h3>翼の上と下で圧力差ができる理由</h3>
<p>飛行中、目には見えないが翼の上面と下面で空気が勢いよく流れている。この空気の流れは上面で速くなり、下面では遅くなることが風洞実験でわかっている。</p>
<p>空気の流れるスピードが速い翼の上の空気は薄くなり、遅い翼の下の空気は濃い状態となる。</p>
<p>この結果、翼の上面の空気圧は下面より低くなり、この圧力の差によって下から上へ向かい揚力が発生することとなる。</p>
<figure id="attachment_348561" aria-describedby="caption-attachment-348561" style="width: 1469px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="74bb8347"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/3da6fb722c742fa9beb5e8d70d4abb77.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348561" class="wp-caption-text">図　翼の上と下の空気の流れ</figcaption></figure>
<p>飛行機が空へ飛び立つときは滑走路で猛スピードを出す。このとき、翼も猛烈な勢いで風を切って進んでいる。</p>
<p>そして、飛行機は機首を持ち上げ空に向かって飛び立つ。</p>
<p>翼に揚力を発生させるにはスピードが必要だが、角度をつけることでも揚力が増す。</p>
<figure id="attachment_348562" aria-describedby="caption-attachment-348562" style="width: 1620px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2d43bb89"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/8c4e1f16d82d29bcd8399444ec581159.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348562" class="wp-caption-text">離陸する飛行機　　写真提供：日本航空</figcaption></figure>
<p>飛行機が機首を斜め上へ向けると水平に付いている翼も斜め上を向くことになる。凧上げと同じように、翼に角度をつけることで、翼の上面と下面の気圧差が大きくなり揚力が強くなる。この角度を迎角（むかえかく）という。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ペットボトルの「へこみ」と飛行機の意外な関係"></div>
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<h3>飛行機のテーブルは斜め</h3>
<p>翼の迎角は離陸時だけではなく上空でも利用されている。</p>
<p>飛行機が水平飛行に移ったとき翼も水平だと、重力に負けないためにはエンジンの出力を落とさずスピードを出し続けないといけない。それでは燃料の消費が大きい。</p>
<p>だから上空を水平飛行するときにも飛行機はすこしだけ斜め上を向いて、迎角による揚力を利用し燃料を節約しながら飛んでいる。</p>
<figure id="attachment_348563" aria-describedby="caption-attachment-348563" style="width: 1329px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="04c90f56"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/3cf1c2bc26f0f15f72889593c1a01abf.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348563" class="wp-caption-text">図　飛行機は水平飛行でも斜め上を向いている</figcaption></figure>
<p>そのため、座席についているテーブルは、機体が斜めのとき水平となるようあらかじめ手前側が高くなっていて、機内で飲み物を飲んだり、本を読んだりしやすい構造になっている。</p>
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<h3>ペットボトルのへこみは何のため</h3>
<p>国内線ではペットボトルの飲み物を機内に持ち込める。このペットボトル、どれも底の部分がへこんでいて、胴体も丸かったり四角だったりくびれのついたものもある。</p>
<p>これらのへこみやくびれ、胴体が丸や四角なのも空気圧対策だ。</p>
<figure id="attachment_348564" aria-describedby="caption-attachment-348564" style="width: 1080px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b8bb732f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/58e3eb6f8726714137296ed633aa65d8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348564" class="wp-caption-text">ペットボトル　炭酸飲料によく使われているタイプ</figcaption></figure>
<p>胴体が丸くて底のへこみが大きいのは、主に炭酸飲料のペットボトル。これらは中の炭酸ガスがペットボトルを膨らませたとき、底の部分が膨らんで倒れないようにあらかじめ底をへこませてある。</p>
<figure id="attachment_348565" aria-describedby="caption-attachment-348565" style="width: 1867px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fec670f4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/d6ad0108d36727c8460b8ba181ae826a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348565" class="wp-caption-text">図　ペットボトルが倒れない仕組み</figcaption></figure>
<p>胴体が丸いと炭酸ガスの圧力が均等に壁に加わる。飛行機の胴体が丸いのと理由は同じだ。</p>
<figure id="attachment_348566" aria-describedby="caption-attachment-348566" style="width: 1620px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a8616448"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/e66758775b0e921c3bb8f15df4229ef3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348566" class="wp-caption-text">正面から見ると胴体の丸みがよくわかる　写真提供：日本航空</figcaption></figure>
<figure id="attachment_348567" aria-describedby="caption-attachment-348567" style="width: 1476px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8f53e0c3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/2da0e7119477b4ef2f6351e2380070cd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-348567" class="wp-caption-text">図　丸い胴体と四角い胴体</figcaption></figure>
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<p>お茶の入ったペットボトルなどは殺菌熱処理をしたお茶を入れるので、冷めたときには中の空気圧が下がる。そのため、胴体が外からの気圧で大きく変形しないようくびれや模様の刻まれた四角いかたちも多い。</p>
<p>上空ではわずかながら機内も地上より気圧が低いので、ペットボトルも影響を受ける。持ち込んだペットボトルの飲み物は、早めに開栓して飲んだほうがよいだろう。</p>
<hr>
<p>『物のかたち図鑑 大人もしらない かたちのひみつ』<br>
形の科学会：監修、亀谷敏朗：著、講談社</p>
<p><a href="#" data-ident_hash="7fe6024a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/97f3b17632dc7e539ad8006025b50005.jpg" alt=""></a></p>


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