マネーコンサルタント　(株)Money＆You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に起業。ニュースメディア「Mocha（モカ）」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA＆iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など書籍90冊、累計160万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X（旧Twitter）→@yorifujitaiki

頼藤 太希

<h3><span class="strongInContent">「50代は、給与収入がもっとも高い時期。全力でお金を貯めていきたいところです」</span></h3>
<p>’24年から大幅にアップグレードされた「新NISA」がスタートしました。</p>
<p>まず制度自体は恒久化されたので、投資期限がなくなりいつでも新規の投資ができるようになりました。非課税期間は無期限化され、一生涯投資の運用益にかかる税金が非課税になりました。</p>
<p>年間の投資上限額は、つみたてNISAから《つみたて投資枠》に名称を変え、年間40万円から３倍の120万円に拡大。一般NISAから《成長投資枠》に名前を変え、年間120万円から２倍の240万円に拡大されます。</p>
<figure id="attachment_350729" aria-describedby="caption-attachment-350729" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3af0f1ad"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/9f2fb3a36e1663a2f16d98f7b468c7bb.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350729" class="wp-caption-text">「増税メガネ」岸田首相、唯一の善策と評判の新NISA（PHOTO：共同通信）</figcaption></figure>
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<p>また、新NISAでは、<span class="strongInContent">両投資枠の併用が可能</span>になりますので、合計で年間360万円の投資ができます。ただし、年間360万円の投資が一生涯できるわけではなく、一人あたり生涯投資枠が設定され1800万円までとなります。</p>
<p>《つみたて投資枠》だけで1800万円使用することは可能であり、《成長投資枠》だけ活用する場合は1200万円まで使用できます。</p>
<p>また、新NISAでは商品を売却して生涯投資枠に空きが出た場合、その売却枠を再利用して投資をすることができます。</p>
<p>投資商品については、《つみたて投資枠》はつみたてNISAと同じく、国が定めた条件をクリアした投資信託・ETF（上場投資信託）となります。本稿執筆時点では約270本がラインアップされています。</p>
<p>《成長投資枠》は、一般NISAと基本同じですが、「株式の整理銘柄・監理銘柄」「信託期間20年未満の投資信託」「高レバレッジ型の投資信託」「毎月分配型の投資信託」が除外されます。</p>
<p>いずれも長期の資産形成に向かない商品と判断され、除外されています。《成長投資枠》の投資信託は、本稿執筆時点では約1800本がラインアップされています。</p>
<p>ではここからは、新NISAの《つみたて投資枠》と《成長投資枠》の30～40代、50代それぞれの活用方法を一緒に考えていきましょう。</p>
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<h3><span class="strongInContent">全世代共通の新NISA活用「4原則」</span></h3>
<p>まずは、全世代共通の新NISA活用4原則をお伝えします。</p>
<p><span class="strongInContent">◇１＿「長期・積立・分散」投資と「低コスト」の実践</span></p>
<p>リスクがないとリターンが得られません。しかし、リスクがある以上、お金を失う可能性があります。このリスクと上手に付き合って、お金を堅実に増やすには、長期・積立・分散投資に取り組むことが重要です。</p>
<p>金融庁『はじめてみよう！ NISA早わかりガイドブック』には、’89年以降、毎月同じ金額ずつ国内外の株式と債券に分散しながら積立投資を行った場合の年間収益率が紹介されています。</p>
<figure id="attachment_350730" aria-describedby="caption-attachment-350730" style="width: 782px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f979f0c4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/fb5c81ed3a220004b71069645f112867-1.png" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350730" class="wp-caption-text">【長期・積立・分散投資の運用成果】金融庁『はじめてみよう！ NISA早わかりガイドブック』より</figcaption></figure>
<p>投資収益率の分布をみると、保有期間５年の場合バラバラです。また、元本割れをしている時期があることもわかります。一方、保有期間20年の場合は、’89年以降のデータでは元本割れとなったケースはなく、年２％～８％の間に収まっています。</p>
<p>元本割れリスクを極力減らすためには、積立・分散投資を20年以上続ける必要はありそうだとわかります。つまり<span class="strongInContent">「長期」とは20年が一つの目安</span>です。</p>
<p>また、投資にかかる費用をどれだけ低く抑えるかも重要。とくに、投資信託の保有中にかかる「信託報酬」が安い商品を選びましょう。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「適切な投資金額」とは…"></div>
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<p><span class="strongInContent">◇２＿資産や家計の状況に合わせて「適切な投資金額」を決める</span></p>
<p>資産・家計的に無理な状況で新NISAを始めてはいけません。投資はお金が増える可能性はある一方で減る可能性もあります。また、預貯金がほぼゼロの状態で投資を始めてしまうと、ケガや病気、リストラなどの問題に対処できなくなります。</p>
<p>生活費の６ヵ月分は少なくとも預貯金など元本割れせずに、すぐに引き出せる安全性の高い資産で確保しておきたいところです。</p>
<p>また、いくらアップグレードされた新NISAでも、マイホームの頭金、車の購入費用など、５年、10年以内に使うことが決まっているお金の準備には向いていません。こうしたお金は、元本割れしにくく、少しでもお金を増やせる定期預金や個人向け国債などで用意するのが良く、<span class="strongInContent">なんでも新NISAで用意しようというスタンスは止めましょう</span>。</p>
<p><span class="strongInContent">◇３＿「コア・サテライト戦略」の実践</span></p>
<p>お金を減らさずに増やす戦略として「コア・サテライト戦略」があります。コア・サテライト戦略では、自分の資産を長期安定成長の「コア資産」と積極運用の「サテライト資産」に分けて運用します。</p>
<p>このコア・サテライト戦略を新NISAで実践するというわけです。</p>
<figure id="attachment_350731" aria-describedby="caption-attachment-350731" style="width: 765px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="022b2a98"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/799bad5a3b514f096e69bbc4a7896cd9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350731" class="wp-caption-text">【新NISAでのコア・サテライト戦略のイメージ】（株）Money&amp;You作成</figcaption></figure>
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<p>新NISAの場合、総資産の７割〜９割を占めるコア資産はインデックスファンドやバランスファンドといった投資信託、ETF（上場投資信託）が対象。サテライト資産には、日本株や米国株の株式投資やアクティブファンドが候補となります。</p>
<p><span class="strongInContent">新NISAでは、コア資産100%で運用する戦略や、コア資産とサテライト資産のハイブリッドで活用する戦略が考えられます。</span></p>
<p><span class="strongInContent">◇４＿リスク許容度に合わせて資産配分・商品選択</span></p>
<p>基本的には新NISAの《つみたて投資枠》を活用して、じっくり時間をかけて資産形成するのが王道の戦略です。</p>
<p>《つみたて投資枠》で投資できるのは、先述の「長期・積立・分散投資」に適した、低コストの商品のラインアップとなっています。投資信託はそれ自体が分散投資できている商品なので、<span class="strongInContent">複数の商品に投資する必要はなく、1本または2本に絞って投資する</span>ので問題ありません。</p>
<p>《成長投資枠》で自由に投資したいと思う人も中にはいるかもしれませんが、《つみたて投資枠》から始めて、次のステップで活用するのが良いでしょう。</p>
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<p>投資商品は、リスク許容度（いくらまで損に耐えられるかの度合い）に合わせて選びましょう。リスク許容度は人によって異なります。</p>
<p>リスク許容度が低いのであれば1本で株や債券に投資する「バランス型投資信託」、積極的にリスクを取りたいならば、世界株に投資する「インデックス型投資信託」などが候補になってくるでしょう。</p>
<p><span class="strongInContent">たとえば、リスクを抑えて堅実に増やしたい方は「ニッセイ・インデックスバランスファンド（４資産均等型）」や「eMAXIS Slim バランス（8資産均等型）」が低コスト商品でおすすめ。積極的にリスクをとって増やしたい人「eMAXIS Slim全世界株式（オール・カントリー）」や「SBI・V・全米株式インデックスファンド」が低コスト商品でおすすめです。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「30～40代」「50代」の新NISA活用方法"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「30～40代」の新NISA活用方法</span></h3>
<p>この先さまざまなライフイベントを控えている30〜40代は、堅実に増やしながら、必要なお金を適時取り崩すというのが新NISAの主な活用になるでしょう。</p>
<p>つみたて投資枠・成長投資枠の活用戦略としては</p>
<ul>
<li><span class="strongInContent">①つみたて投資枠でコア資産を作る</span></li>
<li><span class="strongInContent">②つみたて投資枠でコア資産を作りつつ、成長投資枠でサテライト資産として個別株に少額投資</span></li>
</ul>
<p>が考えられます。</p>
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<p>《つみたて投資枠》でリスク許容度に合わせてバランス型やインデックス型投資信託に投資する、はたまた、それに加えて《成長投資枠》で個別株に少額投資するという具合です。</p>
<p>最近は、各社の株式分割が進み、各証券会社で１株（単元未満株）から投資できるようになっていますので、個別株に少額投資するのも面白いでしょう。</p>
<h3><span class="strongInContent">「50代」の新NISA活用方法</span></h3>
<p><span class="strongInContent">50代は、これまでの人生の中で給与収入がもっとも高い時期になっていることでしょう。子育て世帯でも家計がひと段落する頃合い。定年までの最後の貯めどきですので、全力でお金を貯めていきたいところです。</span></p>
<p>新NISA《つみたて投資枠》で月10万円投資することが可能ならば目指しましょう。資産・家計的に問題ないのであれば、《成長投資枠》を併用して毎月の積立金額を増やしても良いと思います。《成長投資枠》でも、《つみたて投資枠》にラインアップされている商品に投資することができます。</p>
<p>新NISAの《つみたて投資枠》・《成長投資枠》の活用戦略としては30〜40代と同じでも良いのですが、<span class="strongInContent">定年後の資産取り崩し期を見据えて、「不労所得を得られる資産」に投資しておくのも一つの手</span>です。定年後にただ資産が減っていくのは、気持ちのいいものではありません。</p>
<p>《成長投資枠》で高配当株や高配当株ファンド・ETF（上場投資信託）、債券ファンド・ETF、REIT（不動産投資信託）やREITファンド・ETFなどに投資を行い、定年後に配当金や分配金の形で不労所得を得る戦略です。高配当株や高配当株ファンド・ETFの方が、資産増の期待が高く、資産が増えればそれだけ将来もらえる配当金・分配金も増えます。</p>
<p>例えば、高配当株に投資をして、定年後に資産1000万円になっていた場合、配当利回り４％なら、毎年40万円の配当が非課税で受け取れます。</p>
<p>なお、<span class="strongInContent">高配当株は配当利回りの高さだけで飛びついてはいけません</span>。配当利回りは「１株あたりの配当金÷株価×100」で算出され、「株価下落で配当利回りが高い」銘柄も含まれます。株価が下がる主な理由は業績悪化です。業績悪化が続けば、配当を減らす「減配」や配当をなくす「無配」の可能性が高まります。減配や無配になれば、株価はさらに下がるでしょう。</p>
<p>業績が好調であるか、財務が健全であるかなど銘柄選びは慎重に行いましょう。</p>
<p>新NISAは自由度が高い分、戦略の幅も広がります。焦らず、ご自身の資産・家計・リスク許容度に合わせて、新NISAを活用していきましょう。</p>
<figure id="attachment_350732" aria-describedby="caption-attachment-350732" style="width: 2196px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7e16c833"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/27ac419bad686e71d38f3a73d9fe7b18.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-350732" class="wp-caption-text">「投資商品は、リスク許容度（いくらまで損に耐えられるかの度合い）に合わせて選びましょう。リスク許容度は人によって異なります」と頼藤氏</figcaption></figure>
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<p><a href="https://twitter.com/yorifujitaiki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><span class="strongInContent">■頼藤 太希さん</span>の公式X（旧Twitter）はコチラ</a></p>
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<p>&nbsp;</p>


(株)Money＆You代表取締役／マネーコンサルタント。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。’15年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha（モカ）」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)、『はじめての新NISA＆iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など著書累計130万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

頼藤 太希（よりふじ・たいき）

「50代は、給与収入がもっとも高い時期。全力でお金を貯めていきたいところです」 ’24年から大幅にアップグレードされた「新NISA」がスタートしました。 まず制度自体は恒久化されたので、投資期限がなく

新NISA《つみたて投資枠》《成長投資枠》「30～40代」「50代」…それぞれの活用方法

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