<figure id="attachment_352382" aria-describedby="caption-attachment-352382" style="width: 5392px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="64be2188"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/59acd2c1e1401f86d1dd65b6fb2ed36e-1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-352382" class="wp-caption-text">12月30日、ファンとハイタッチをする日本代表・南野拓実</figcaption></figure>
<p>史上初めて元日・国立競技場で行われた日本代表戦は、タイ代表を５−０で下す快勝劇となった。幸先のよい’24年の幕開け、スタジアムにつめかけた６万1916人の観衆も大満足の一戦となったのではないか。</p>
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<p>その２日前、昨年12月30日に行われた日本代表トレーニングで、いつもと違う光景が見られた。千葉市内にあるトレーニング会場の高円宮記念JFA夢フィールドに一般の観客が大勢練習見学に訪れていた。公開練習の際は、無料で練習を見学できるため多くのファンが訪れる。紅白戦やシュート練習などは、試合さながらに声援が送られ選手たちも嬉しそうだった。</p>
<p>練習を見学した一般客の中には、施設内に招待されたグループがあった。選手とハイタッチや写真撮影、人によってはサインをもらうなどし、一部はピッチ脇に据えられた特設スダンドから、また一部はクラブハウスのテラス席から練習を見学した。これは昨年12月に日本サッカー協会（以下、JFA）が発表した「JFAクラウドファンディング」の一環で、支援してくれた人へのリターンとして一般客では通常入ることができない施設内のエリアに招待されたのだ。</p>
<p>JFAによれば、２万円支援した方は85人、10万円の支援者が６人、20万円支援は20人。この支援者たちが施設内で特別に見学することが許された。この日、練習場内に入ることができた支援者たちからの支援金の合計はざっと単純計算で630万円ということになる。</p>
<p>試合だけでなく、練習でも選手に単独で直接声をかけることは簡単ではないため、金銭的に支援することで確実に選手からサインや写真の時間をもらうことができ、さらにはJFAへのサポートになるのであればなお嬉しいと考える支援者の気持ちは理解できなくもない。そして、支援者たちの喜ぶ顔に、選手たちが嬉しそうだったのは言うまでもない。だが、サインやハイタッチといった直接のコミュニケーションをリターン（つまり有料で）として行う様子を眺めながら報道陣からは「これはホストクラブと何がちがうのか」「さながら男芸者ではないか」などと呟く声も聞こえた。</p>
<p>昨年12月に開かれた会見では、JFAがプロジェクトを起案して多くの個人、団体の支援者を募って事業を実行することに加え、JFAがプラットフォーマーとなって全国の地域協会や関連団体、選手、指導者、審判員といった個人にクラウドファンディングの場も提供すると発表。’24年末までの１年間で支援総額10億円、起案数350件を目指している。</p>
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<p>来年４月からJFA会長に就任予定の宮本恒靖専務理事は昨年12月の会見で「JFAがこのサイトを作ったが各地域のサッカー協会が、遠征費用を募るなどのプロジェクトを起案できる」と助け合いができるシステムを通して、資金不足に悩むサッカーファミリーを支援することもできる、と強調している。ただ、この会見では、日本サッカー界の最高峰に位置するJFAがこの事業を行うことに対し報道陣から厳しい質問が上がっただけでなく、長年、JFAを支えてきた老舗スポンサーへの仁義をきちんと切らないまま発表されたため、全面的に前向きに捉えられているとは言い難いのだ。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="日本代表の本分とは"></div>
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<figure id="attachment_352376" aria-describedby="caption-attachment-352376" style="width: 1024px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b0ad1a0e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/134f8be5b8df9bec4867054ba0643dcd.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-352376" class="wp-caption-text">４月より新会長に就任予定の宮本恒靖専務理事。財政難をどう解消するのか。試行錯誤が続く</figcaption></figure>
<p>賛否両論入り混じる中、第一弾として実施されたのが“日本代表の未来をみんなでつくろう！ユース育成から世界トップへ”と題したこのプロジェクトだ。資金使途として、以下の３点をあげた。</p>
<p>① 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ／プリンスリーグのレベルとステータスの向上に向けた取り組み<br>
② 16,17歳でプロデビューする選手の輩出に向けた新たな特別指定選手制度（JFA推薦）の取り組み<br>
③ 日本全国のトレセンのさらなる充実に向けた取り組み</p>
<p>目標は3000万円。不足分は自己資金などで補填する、としている。</p>
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<p>１月４日時点で13,519,000円が集まっており、上記の練習見学から得られた630万円がこの中に含まれている、というわけだ。12月30日の公開練習わずか１日で、このプロジェクト第一弾に対する支援金の45パーセントが集まった計算になる。</p>
<p>Jリーグのクラブも日本代表も応援し海外にも駆けつけるようなファンはこのプロジェクトについてこう明かす。</p>
<p><span class="strongInContent">「聞くと、周囲ではこの今回のプロジェクトに関心を持つ人は少ない。ずっと応援している人間からすると試合観戦が一番の楽しみですので、支援とはいえお金を払ってサインなどをもらうことにはあまり興味がないかなと。でも、お金を払うことで他の人に埋もれることなくファンサービスを受けられること自体はいいんじゃないですかね？選手個人のファンとかにとっては魅力的だと思いますよ」</span></p>
<p>決して小さくない金額を一瞬にして集めることができたということは、支援できる金銭的に余裕のある人にとっては魅力が大きかったのかもしれない。ただ、ある一定のお金を払わないと代表選手と握手もできないという印象だけが先行した場合、サッカーに関心を持つ人が懐事情的にも興味関心的にも限られた層になり、ファンが離れていってしまうリスクもあるのだ。</p>
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<p>日本代表の本分はどこにあるかといえば試合そのものや、結果および内容にあるはずで、席種を増やすなど試合チケットでの増収を試みるのが筋ではないだろうか。元日のタイ戦も、三苫薫や久保建英、冨安健洋といった人気選手が不在でも６万人を超える観客がつめかけており、収益は悪くなかったはず（日刊スポーツではセルジオ越後氏は億単位の収入を得ただろうと推測している）。試合そのものの価値を高めていくことが先決ではなかろうか。</p>
<p>全体として見ればサッカーファミリーが支え合うという画期的な試みのはずで、もう少しスマートな運用ができないものかと思うのだが。</p>


了戒美子

長濱耕樹（１枚目）、共同通信（２枚目）

昨年12月、日本サッカー協会が立ち上げたクラウドファンディングの一環として年末に、支援をしてくれた一部の人に対し、日本代表の練習を特別席で公開。630万円の支援金が集まったが賛否両論あるようで……

日本代表練習を特等席で見せて支援金630万…宮本専務理事主導の「クラファン企画」に冷ややかな声

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