ライター・編集・インタビュアー。学生時代よりライター活動を開始、現在はウェブや雑誌などで主にエンタメ系記事やインタビューなどを執筆。

太田 サトル

<h3><span class="strongInContent">３日間総勢90組が出演、２万人以上を動員した「音楽と笑いとゲームの祭典」とは？</span></h3>
<p>コロナ禍を経て４年ぶりに大阪市で昨年９月に開催されたお笑い芸人・小籔千豊主催の音楽フェス「KOYABU SONIC 2023」。</p>
<p>“音楽と笑いとゲームの祭典”と銘打ち、アーティストやお笑い芸人、そしてゲーマーがジャンルの垣根を越えて出演する大型フェス。</p>
<p>今回も、アイナ・ジ・エンド、新しい学校のリーダーズ、きゃりーぱみゅぱみゅ、ゲスの極み乙女、サンボマスターといった豪華アーティスト陣と、かまいたち、ダイアン、中川家、ヒコロヒー、フットボールアワー、笑い飯といったお笑い芸人、さらにYouTuberやゲームプレイヤーなど３日間総勢90組が出演。</p>
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<p>主催者の小藪自身が川谷絵音やくっきー！と結成し活動する「ジェニーハイ」や、今回のフェス限定で結成された小藪、千原ジュニア、フットボールアワーの後藤輝基・岩尾望で結成された芸人バンド「バレンシアガ」などジャンルを超えた出演者も参加するなど、３日間で２万人以上を動員した。</p>
<figure id="attachment_355294" aria-describedby="caption-attachment-355294" style="width: 3563px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c20a8543"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/0926b32ece8b9212fe6eaeea5c8dcca1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-355294" class="wp-caption-text">４年ぶりに開催されたお笑い芸人・小籔千豊主催の音楽フェス「KOYABU SONIC」</figcaption></figure>
<p>このような大型フェスを筆頭に、お笑い芸人とロックバンドやアイドルとが同じステージでパフォーマンスを披露する、いわゆる“対バン”イベントは、小規模なものも含め、各所で積極的に開催されている。</p>
<p>たとえば10月14日に上野恩賜公園野外ステージで開催されたイベント「音楽のちから 2023」。主催の３人組バンド・水中、それは苦しいをはじめ、KOYABU SONICにも出演したホフディランやヨネダ2000、そして、いつもここからやNaNoMoRaLといった人気芸人やアーティストが代わる代わる登場、ステージを盛り上げた。</p>
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<p>その３日前、10月11日にはライブハウス四谷Honey Burstで、「お笑い&amp;アイドルライブ精神と時の部屋」というタイトルのもと、お笑い芸人とアイドルの対バンイベントが開催された。</p>
<p>超新塾、GO！皆川といった人気芸人とアイドルが交互に登場し、パフォーマンスを繰り広げる。この日出演した、セルフのソロアイドル・ゆらぴこさん。ゆらぴこさんは、自身のライブパフォーマンスに加え、GO！皆川のパフォーマンス時には、人気ギャグ「うんちょこちょこちょこぴー！」を、ステージ上でコラボするなどし、ジャンルの垣根を飛び越え会場を盛り上げた。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="異なるジャンルのパフォーマンスだけど…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「お笑い」と「アイドル」…異なるジャンルのパフォーマンスなのに、その親和性が高い理由</span></h3>
<p>お笑いとアイドル、アーティストという異なるジャンルのパフォーマンスの親和性の高さの理由はどこにあるのか。</p>
<p>12月にデビュー10周年を迎えたゆらぴこさんは、かつて所属したグループアイドル時代からお笑い芸人との共演は何度も経験しているが、お笑いとアイドル・アーティストとのステージでの相性の良さはかねてから感じていたという。</p>
<p><span class="strongInContent">「ジャンルとして考えると別のものととらえられるかもしれませんが、ステージの上やテレビ番組、配信のモニターを通して楽しさや感動、共感を届けるという部分は同じ。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">こういったコラボライブの場でも、私たちアイドルのファンがお笑い芸人さんのネタに歓声をあげたり爆笑したり、お笑い芸人さんのファンもアイドルやアーティストのライブを楽しんで、中には終演後の物販にまで来てくださったり。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">どちらのジャンルも楽しんでいるように見える方が多い気がするのは、その楽しさが共通しているからなのかなと感じます」（ゆらぴこさん・以下同）</span></p>
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<p>演者側の視点として、ステージでネタやMCで会場を笑わせ盛り上げる芸人の姿に学ぶことも多い。</p>
<p><span class="strongInContent">「やっぱりお笑い芸人さんは、お話のプロ、場の空気を読むプロでもあるなといつも感じます。とくにお客さんとの距離が近いライブハウスでは、フロアの温度感などを見ながらネタをしていき目の前のお客さんを楽しませる姿が実感できて、学ぶところがたくさんあります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">お笑い芸人さんも、私たちアイドルのパフォーマンスから何か得るもの、あるでしょうか（笑）」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_355295" aria-describedby="caption-attachment-355295" style="width: 4032px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ff3c2cb7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/8b73afcb3bc07123af41d26fe1ae80fe.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-355295" class="wp-caption-text">【ゆらぴこ（写真右）】’14年、アイドルグループ「偶想Drop」参加後、その後、音楽ユニット、アイドルユニットを経て、’22年にソロデビュー。’23年には全国47都道府県ツアーを開催、12月には活動10周年ワンマンライブも開催された</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">「ステージが空白になる時間がなくなる、別の楽しみ方ができるんじゃないかと思ったんです」</span></h3>
<p>ゆらぴこさんは、“ワンツーSmile”というモットーを掲げ、世界中の人を笑顔にしたいという目標のもと活動を続ける。</p>
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<p><span class="strongInContent">「お笑いも、みんなに笑い、スマイルを届けるものですよね。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">私たちアイドルもバンドさんもお笑い芸人さんも、みんなに笑顔、“ワンツーSmile”を、パフォーマンスを通して届ける仲間だと思っています（笑）」</span></p>
<p>セルフプロデュースの２人組アイドルユニット「グデイ」の室井ゆうさんは、もともとアイドルとともにお笑いが大好きで、中学生のころから都内の劇場やライブハウスで開催されるお笑いライブに足を運んでいた。</p>
<p>グデイのCDジャケットやMVに岡野陽一などのお笑い芸人を起用したり、自身が主催するイベントにジョイマン、どんぐりたけし、サツマカワRPGといった人気お笑い芸人をたびたびオファーし共演、８月にはマシンガンズやママタルト、寺田寛明らとアイドル、バンドが共演するイベント「GOODDAY FES」を主催し成功を収めた。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="『８時だョ！全員集合』『SMAP×SMAP』…"></div>
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<p>室井さんが主催するライブでお笑い芸人に出演してもらうことにはこんな理由もある。</p>
<p>出演するアーティストが交代する際に使用する機材などのセッティング交換に要する、「転換」と呼ばれる時間。</p>
<p><span class="strongInContent">「多くはその時間は、DJさんがかける音楽を楽しんだりドリンクやフードを楽しむ時間になっていますが、その時間を使ってネタをやっていただくことで、ステージが空白になる時間がなくなる、別の楽しみ方ができるんじゃないかと思ったんです」（室井ゆうさん）</span><span class="strongInContent"> </span></p>
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<p>“呼ぶ側”として配慮することは、あるだろうか。</p>
<p><span class="strongInContent">「共通する部分があるとはいえ、違う種類のエンタメでもあります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">ぶっちゃけ、お笑いだけ、バンドだけ、アイドルだけでもライブは成立するじゃないですか。どちらかがアウェイにならないように、見なくてもいい時間だと思われないように、そのバランスや相性はすごく考えます。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">単独ジャンルのライブでは生まれない楽しさ、相乗効果が生み出せて、ジャンルレスで『楽しい』という気持ちにさせたいなという思い、それは小藪さんがやられているような規模の大きなものとも共通する楽しさじゃないかなという気がします」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_355296" aria-describedby="caption-attachment-355296" style="width: 2048px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="597dde32"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/752827ae08d21846ced57359b0b37860.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-355296" class="wp-caption-text">“超自由音楽ユニット“グデイとお笑い芸人・岡野陽一さん（中央）。室井ゆうさん（右）は’21年に結成したグデイの活動に加え、’23年からはアイドルグループ「ねおち」のプロデューサーとしての活動もスタートさせている（PHOTO：室井ゆうさん提供）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">『８時だョ！全員集合』『SMAP×SMAP』の時代から…</span></h3>
<p>昭和のテレビの世界では、『シャボン玉ホリデー』や『８時だョ！全員集合』、『ヤンヤン歌うスタジオ』のように、コーナーがシームレスにつながったり、それこそ歌手がコントに出演するような人気番組が多数存在した。</p>
<p>平成でも、毎週SMAPのコントと歌が楽しめる構成となっていた『SMAP×SMAP』など、笑いと歌を一緒に楽しむ土壌はもともと存在した。音楽などを楽しむ場の主流がテレビからライブ会場へと移行した流れが、KOYABU SONICのようなフェスやイベントという場にもみられるようになった結果なのかもしれない。</p>
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<p>それこそ小藪自身のフェス主催や川谷絵音とのバンド活動も、音楽好きが高じた結果といえるが、ロック好き、アイドル好きなどを公言する芸人、そして室井さんのようにお笑い好きを公言するアイドルなど、趣味がジャンルを超えて武器になる時代になってきているという背景もある。</p>
<p><span class="strongInContent">「パーパーのほしのディスコさんが『歌ってみた』動画で歌うま芸人として注目されたり、マユリカの阪本さんやロングコートダディの堂前さんといった芸人さんたちがジュースごくごく倶楽部というバンドを結成してライブをやったりアルバムを出したり。アイドルのようにうちわで応援されたりして『ワーキャー』系と呼ばれたりする芸人さんたちもいたり。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">“楽しい“以外の近い部分もたくさんある気がします。好きなものを発信したり、実際にお呼びすることで、好きな人の好きなものだからという思いで見てくれる人もいたり、単純に興味はあっても新たに踏み込むきっかけがわからなかったり、そういった意味でも、こういうイベントで今まで自分からは触れてこなかったり、知らなかった新しい『好き』を見つけてもらう“きっかけ”になれたら嬉しいなといつも考えています」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>前出のゆらぴこさんは、10年の活動を通じて感じる変化を語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「女性アイドルが異性のバンドやお笑い芸人さんと共演すること、SNSなどへの投稿のために一緒に写真を撮ることなどを嫌がるファンは、どちらの側にもいます。私自身も何度も言われたことがあります。多様性の時代になるとともに、最近はそういう声が少なくなった印象があります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">ジャンルや性別なども関係なく、『楽しみたい』という気持ちが一番優先されるようになってきたのかなということが、10年やってきて感じる変化です」（ゆらぴこさん）</span></p>
<p>お笑いと音楽の世界は、ますますなかよしになりそうだ。</p>
<figure id="attachment_355301" aria-describedby="caption-attachment-355301" style="width: 2125px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bff3fddb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/8e8076a4b741a608682a33bc14adc3f8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-355301" class="wp-caption-text">GO！皆川さんのギャグ「うんちょこちょこちょこぴー！」をステージ上でコラボする、ゆらぴこさん</figcaption></figure>
<figure id="attachment_355302" aria-describedby="caption-attachment-355302" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="979cfb71"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/01/bee4d679ce6f3c59e97879e16f2ce67c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-355302" class="wp-caption-text">’23年７月に開催されたグデイ主催のイベント「GOODDAY FES」にはお笑い、アーティスト、アイドルがジャンルの垣根を越えて共演。写真はステージ上のスクリーンを用いネタを披露する寺田寛明（PHOTO：室井ゆうさん提供）</figcaption></figure>


太田サトル

お笑い芸人とロックバンドやアイドルとが同じステージでパフォーマンスを披露する、いわゆる“対バン”イベントが、積極的に開催されている。異なるジャンルのパフォーマンスの親和性の高さの理由はどこにあるのか。

お笑い芸人＋アイドル…ジャンルを超えた”対バン”イベントの魅力を人気「地下アイドル」に聞く

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