【特別インタビュー】高岡早紀が語る仕事と私生活「もう若いころのような恋愛はしません(笑)」
デビュー35周年&歌手活動再開10周年 初めて見たあのころからずっと美しく凛々しい’88年のデビュー以来、第一線で活躍し続ける高岡は 「悩みの絶えない35年だった」と明かす。 節目の1年を迎えたなか、今までのキャリアを振り返る
「デビュー当時の自分からしたら、35年もこの世界にいるなんてビックリだと思いますよ(笑)。辞めようと思った時期もありましたから。まだここにいる自分に対して褒めてあげたいですね」
そう語るのは、衰え知らずの美貌を持ち、51歳を迎えた今も第一線で活躍し続ける女優の高岡早紀だ。
’88年、15歳で歌手デビューした高岡。さらに翌年には女優として活動開始。その5年後の21歳の時に映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』に出演すると、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を含め、多くの映画賞を総なめにした。’13年からは歌手活動も再開。今年1月末には、デビュー35周年と歌手活動再開10周年を記念したアルバムも発売される。
メモリアルイヤーを記念して取材に応じた高岡は、開口一番、冒頭のように「辞めようと思った時期もあった」と意外な言葉を口にした。
「女優を始めたてのころ、何度も思ったんです。『私に女優は合わない』って(笑)。そもそも芸能界に入ったのも偶然でした。中学校までバレエを習っていて、海外留学の資金集めをどうするか考えていた時に、優勝賞金500万円のオーディション『第3回シンデレラ・コンテスト』があるって知って、あと先考えずに応募したんですよ。そしたら優勝しちゃって。副賞として歌手デビューやらCMも決まっていたことにもあとで気付いた。でも、もう断れない雰囲気になっていたんです」
意図せずに芸能界入りをしてしまった高岡。それ以降、何度も自身のキャリアについて悩んできたという。
「これが私のやりたかったことなのかって悩んで、大きな仕事が終わる度に引退しようと思っていたんです。芸能界から距離を置きたくて、18歳でロンドンに留学。自分と向き合う時間を作ったんですけど、良い仕事があるからって半年もせずに日本に呼び戻されました。芸能界から逃げられないって悟りましたよ(笑)」
しかし、この一本の連絡が高岡にとって転機になったという。
「その呼び出しが、映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』のお話だったんです。監督が深作欣二さんで、お芝居そのものを学びました。深作さんに『女優は楽しいだろ』なんて言われて、しかもたくさん賞もいただけた。女優として少し認められたのかなって。
それまで、歌手やグラビアとたくさんのことをやって、『自分って何者なんだろう』って迷うことも多かったです。だったら一回、自分のやりたいことを突き詰めてみようと思って。そこで女優一本で頑張ろうと決めました。とはいえ自分でも自信をもって女優と言えるようになったのは10年くらい前かな。だからそこからは、歌手やほかの仕事も受けるようになったんです」
変化した人生観
昨年2月からはユーチューブも始めた。「今はとにかく挑戦することが楽しい」と語る高岡に、今回の取材を受けてくれたホンネを聞くと、自身の変化について明かした。
「やっぱり昔と考え方が変わったというか。いろいろなことがありましたから。FRIDAYさんの取材だって、若い時なら端から避けていたかもしれない。でも、どの媒体もそうですが読者の中には私が言葉を届けたい人たちもいる。だったら出る側の人間が場所を選ばなくてもいいって気付いたんです」
プライベートでも大きな変化があった。3児の母として子育てに奮闘するなか、長男と次男の二人が相次いで二十歳(はたち)を迎えた。休みの日は酒を酌(く)み交わすこともあるという。
「最近は休日になると掃除ばっかりしています。凝(こ)り性なのか、ハマるとずっとそればかりしちゃうんです。あと愛犬たちと散歩したり、ギターを習ったり……。
上の子とはお酒を飲むこともあります。下の子はあまり飲まないのに、ディナーに一緒に行くと、よく車を出してくれるんです。私が『飲みたいからタクシーで行こうよ』と言うと、『もったいない』って怒られて。私よりしっかりしてますね」
高岡と言えば酒好きとして知られるだけに、最近、酒で失敗したことがないのか聞くと、「そこまで教えませんよ〜〜」とはぐらかす。一方で今後の恋愛について聞くと、少し考えた後に、今の想いを明かした。
「子供たちが話し相手になってくれたり、一緒に食事に付き合ってくれたりして、それ以上に望むものがないんですよね。もうなんか……男女の関係っていろんなことがあるじゃないですか。強(し)いて言うなら、良いパートナーというか、現れたらそれはそれで良いかなと思いますけど、昔のような恋愛はまったく望んでないですね(笑)。拒否はしていませんよ。別にあれば良いですし。ただ、私から積極的に求めることは、今のところ考えられないですかね」
現在は何より家族が大切だという。最後に50代の目標を聞いた。
「目標!? そんな大層なものはないですよ。自分のやりたいことに素直に生きていきたいと思います。自分で考えずに、何かに頼れたらラクじゃないですか。芸能界でも男の人でもいいですが。でも私はそんな生き方はイヤ。これからも自分の足で立って、生きていきたいですね」
公私ともに充実の日々を送る高岡。これからも自分のペースで、歩み続ける。
『FRIDAY』2024年2月2・9日号より
- PHOTO:濱﨑慎治