新たなライバルは「コストコ」!?激アツ!「宅配ピザ戦争」の勝敗を分けるもの | FRIDAYデジタル

新たなライバルは「コストコ」!?激アツ!「宅配ピザ戦争」の勝敗を分けるもの

「ドミノ・ピザ」、「ピザーラ」、「ピザハット」、「ナポリの窯」が激突! 

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訪日外国人の数がついにコロナ禍前を超えた東京。世界中から訪れた観光客でごった返す週末、銀座の飲食店は軒並み満席状態で人々は座る場所を求めてさまよっていた。そんな中、FRIDAY記者は思わぬ穴場を発見した。

デリバリーの際は箱のデザインにも各社のこだわりが垣間見える。
デリバリーの際は箱のデザインにも各社のこだわりが垣間見える。

銀座一丁目駅から徒歩3分、昭和通り沿いの一等地にあるその店の名前は、「ドミノ・ピザ銀座店」。宅配ピザチェーンのはずが、同店は約130㎡の広々としたスペースにコンセントつきのカウンターが4席、4人掛けテーブル、2人掛けテーブルが各1セットという計10席のイートインコーナーが用意されている。記者の他には、外国人観光客のカップルと、40代くらいの男性客がいるのみだった。

「’19年7月に国内600店目としてスタートしたこの店では、オープンキッチンが採用されています。注文後に生地をこね、具材を載せてオーブンで焼き上げ、カットして箱に入れるまでの一連の工程を目の前で楽しむことができるのです」(フードアナリストの重盛高雄氏)

注文してから約15分後、記者が注文した「マルゲリータ」(Sサイズ990円)が手渡された。蓋を開けると、とろんと溶けたチーズの香りが広がる。舌を火傷してしまいそうなほどアツアツのピザは、自宅で食べるよりもおいしく感じた。

「ドミノピザは現在、イートイン併設店舗の出店に注力しています。ただ、もっともおいしい状態で食べられ、持ち帰り価格と同じ値段で楽しめるというのに、あまり知られていないんです……」(同前)

全国に1015店舗を展開するドミノ・ピザジャパンは、日本初の宅配ピザチェーンとしてトップに君臨してきた。

「日系アメリカ人のアーネスト比嘉氏(71)が、当時アメリカで流行していたデリバリーピザに目をつけ、’85年に創業しました。本国のドミノ・ピザは従業員が私服で自動車を使ってピザを届けていたのですが、比嘉氏はおしゃれな制服を考案し、日本の狭い道路にも対応できる宅配専用のスクーターを開発。当時画期的だった″30分以内のお届け保証″のサービスも実施しました」(フードジャーナリストの長浜淳之介氏)

読者諸氏の中には、かつてフジテレビ系列で放送された『オレたちひょうきん族』で、ビートたけし(77)がなんとかピザをタダにしようと配達員の邪魔をするコントを覚えている人も多いのではないだろうか。当時のバブル景気も手伝って、宅配ピザは広く普及していった。

そんなドミノ・ピザの成功に感銘を受け、創業者の比嘉氏にフランチャイズ展開を打診するも、″直営主義″を理由に断られてしまったのが’87年に「ピザーラ」を創業した淺野秀則氏(70)だった。

「淺野氏は、日本人の舌に徹底的に合わせた商品開発に勝機を見出しました。軽井沢の老舗パン屋である『浅野屋』と共同開発した生地は、ミミまでふっくら。これまでのピザにはなかったテリヤキマヨネーズや、コーン、ポテトなど子供が好きな具材も取り入れたのです。’91年には『ピザーラお届け!』でおなじみのテレビCMで認知度を上げ、後発ながら店舗数を着実に増やしました」(同前)

ドミノ・ピザはアメリカ発祥で、トマトソースにソーセージといったクラシカルな味付けを得意とする一方、奇をてらった商品は少ない。後発のピザーラは、「テリヤキチキン」や「プルコギ」など、和やアジアのテイストを融合した商品や、「ボッタルガと桜海老のシーフードピザ」など季節限定商品を打ち出すことで差別化を図ったのだ。

全国に540店舗を展開する「ピザハット」はピザーラから遅れること4年、’91年にデリバリーピザ事業を開始した。

「創業当時は『ケンタッキー』のKFCホールディングスが運営していました。実はピザハット、ドミノと関係の深い会社なのです。ドミノの創業者・比嘉氏の姉である大河原愛子氏の夫、毅氏は日本ケンタッキーの創業メンバーだったのです。姉弟間で出店に際して情報共有が行われていたことは想像に難くない」(同前)

ドミノ・ピザ銀座店の店内。観光客でごった返す銀座の休憩所として注目スポットだ
ドミノ・ピザ銀座店の店内。観光客でごった返す銀座の休憩所として注目スポットだ

キャンペーン合戦が激化

ピザハットは’22年に九州を地盤とする食品卸売企業「ヤマエ」に買収されたが、以前と変わらず「骨付きチキン」や「チキンナゲット」など充実したサイドメニューが強みだ。ところが――。

「店舗数は増えている一方、特色ある商品を打ち出せていません。原材料費がどんどん上がる中、仕入れの総量を多くして対応するのでしょう」(前出・重盛氏)

それぞれ特徴を持つ宅配ピザ業界の3強たちだが、インフレが取り沙汰される現在、同じ悩みを抱えているのも事実だ。

「飲食業で最もカネがかかるのは人件費。配達員が30分かけて運び、戻ってくればそれだけで約1000円のコストが発生してしまう。そこで、イートインやテイクアウトをお得に利用できるようにすることで、人件費を削減しつつ、設備の回転率を上げようとしているのです」(同前)

この「お持ち帰りキャンペーン合戦」の勝者が、宅配ピザ業界の新たな支配者となり得る。冒頭のイートインが可能なドミノ・ピザ銀座店は、その試金石と言えるだろう。現在、王者のドミノは持ち帰りの商品を半額とするキャンペーンを展開しているが、他の2社はどうか。B級グルメ探究家の柳生九兵衛氏が話す。

「ピザーラも持ち帰り2枚目無料、つまり実質持ち帰り50%オフキャンペーンを行っていますが、どこも似たり寄ったりな印象です。ピザハットで注目すべきは『ハットの日』です。毎月8、9、10日に『ピザハット・マルゲリータ』や『ハット明太マヨ』など対象のMサイズピザが半額以下の810円で買えるのです。これは他社と比べても目を見張る安さ。毎月同じ日に行われるので利用しやすく、キャンペーンとして非常に優秀です」

3社ともお持ち帰りのキャンペーンが成功し、宅配ピザ業界はコロナ後も業績を落とすことなく推移している。

「とはいえ、持ち帰りに頼りすぎても、消費者は『コストコなどに売っている既製品のほうが安い』と気づいてしまう。すると今度は宅配という個性が薄まる。今後はさらなる努力と工夫が求められます」(同前)

近年ではこの3社の他に第4の勢力、約90店舗を展開する’05年創業の「ナポリの窯」が存在感を発揮しはじめている。

「ピザをピッツァ、サイドメニューをアンティパストと表現するなど、お洒落で本格的なイメージを打ち出しています。アプリで会員登録をすれば、誕生日月に3000円以上の注文をするたびに直径20㎝の大きなピザケーキが月内なら回数無制限でもらえます。誕生日月はナポリの窯、8〜10日にピザハット、それ以外の日はドミノかピザーラ。このように各社を使い分けしながらピザを楽しんでみてください」(同前)

強い個性を発揮し続けなければ冷え固まってしまうリスクがある宅配ピザ業界。新たな道を切り開き、さらに伸び〜ることはできるか。

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FRIDAY2024329日号より

  • PHOTO共同通信社(サンドウィッチマン) 産経新聞社(カズレーザー)

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