「普段、家では……」26年ぶり復活の『GTO』反町隆史が明かした「俳優、父親としての信念」
’98年夏に大ヒットした伝説のドラマ『GTO』が26年ぶりに復活! 昨年末に50歳を迎え、俳優として円熟の年代に―― デビュー30周年を目前に控えた反町が語ったこと
「『言いたいことも言えないこんな世の中』――だからこそ、いつの時代も、行動によって示すことが大切なんです」
’98年に放送され、社会現象にもなった大ヒットドラマ『GTO』が、4月1日特別ドラマ『GTOリバイバル』(カンテレ・フジテレビ系)として、一夜限りの復活を果たした。
実に26年ぶり。キャッチーな冒頭のフレーズとともに、主演の反町隆史(50)が出演を決断した経緯を明かした。
「これまでに何度か、『もう一度GTOをやりませんか』というオファーはいただいていたんです。でも、過去の作品を振り返るのって前作と比べられるのが当たり前ですから、役者としては勇気のいることなんです。それに、最初に続編のお話をいただいたときは、自分はまだ30代。振り返るよりも前に進まなければという思いのほうが強かった。
でも、この年になって、過去の自分を振り返ってみるのもいいかもしれないという心境になれました。26年前とは世の中も劇的に変化しているので、主人公からのメッセージが今の若い世代にどのように響くのかを見てみたくなったんです」
原作は、藤沢とおる氏の同名コミック。反町演じる元暴走族の教師・鬼塚英吉が問題だらけの高校に赴任し、型破りな”熱血指導”を繰り広げ、生徒や教師の心に風穴を開けていく。
『GTOリバイバル』には、元生徒役の池内博之(47)、山崎裕太(43)、窪塚洋介(44)、徳山秀典(42)、小栗旬(41)をはじめ、親友・冴島を演じた藤木直人(51)らも出演が決定した。
「これは本当に嬉しかった。共演が実現できたのは、仕事が忙しいなかで、撮影に臨めるコンディションをみんなが日頃から作っていたからこそ。感謝の気持ちでいっぱいです。個々に共演することはあっても、一堂に会するのは本当に久しぶりだったので、撮影時はタイムスリップしたような不思議な感覚でした」
また、『GTO』といえば、妻である松嶋菜々子(50)との交際のきっかけとなったドラマとしても有名だ。
「普段、家では仕事の話はほとんどしません。でも今回は、再び鬼塚をやるという企画の段階から妻には話をしていました。過去のキャストの方々も出てくれることになったとか。妻も『いいね』って喜んでくれて。僕にとっては、人生の転機となった思い出深い作品です」
当時はまだ24歳だった反町も、現在は50歳。かつては生徒役の俳優陣とは年齢も近く、兄貴的な存在だったが、今回ではその距離感も変化した。
「前作では”友達のような先生”だったけど、今回は親子ほど年が離れていますからね。自分の子供を見ているようで、何をやっていても、すごくかわいいなと思ってしまいます(笑)」
『80点でいい』子育て流儀
父として二人の娘を育てた反町。年齢とともに時代の変化を痛感する一方で、変化していないモノも教えてくれた。
「僕の中で、教育方針は変わらないですね。二人の娘たちには『頑張りすぎるな』と常々言ってきました。120点を取ろうとしなくていいから、70点でも80点でもいいから、自分の中でベストな状態をずっと続けていくことが大事だよ、と。それを続けていくことによって本質的な力が身について、自然と90点や100点を取れるようになると思いますね」
子育てもほぼ卒業を迎えた今、これまでを振り返り、心境を吐露する。
「『これで良かったのかな』と迷う場面はたくさんありましたよ。親心で、子供がつまずかないように1から10まで教えたくなっちゃうんですが、自分で考えて答えを出したことでなければ身にならない。黙って見守ろうとする自分と、つい先回りしてしまいたくなる自分との戦いで……忍耐の連続でした。その点、鬼塚はどんなときでもブレずに、言葉よりも自分の背中を見せて諭(さと)しているので、僕は修業が足りないのかも(笑)」
昨年12月に50代へ突入し、役者としてまさに円熟期にある彼は、今後どんな役に挑戦していくのだろうか。
「実は、『絶対こういう役がやりたい!』という欲はないんです。役よりも、信頼できる監督やスタッフと仕事をすることにこだわりたい。良い人間関係の中だからこそ築き上げられるものは、必ずあるので。その積み重ねが俳優としての経験値につながってくると信じています」
鬼塚と反町――率先垂範の姿勢こそが二人の共通点なのだ。
『FRIDAY』2024年4月5・12日合併号より
取材・文:音部美穂PHOTO:小川内孝行