イチローMLB開幕戦に挑む 長谷川滋利氏が明かす「謙虚な素顔」 | FRIDAYデジタル

イチローMLB開幕戦に挑む 長谷川滋利氏が明かす「謙虚な素顔」

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20日のアスレチックスとの開幕戦に挑むイチロー。ここまで打率は振るわないがその活躍に注目が集まる
20日のアスレチックスとの開幕戦に挑むイチロー。ここまで打率は振るわないがその活躍に注目が集まる

メジャーのオープニングゲーム「シアトル・マリナーズvs.オークランド・アスレチックス」が、いよいよ20日プレイボールとなります。

出場予定の日本人選手はシアトルの菊池雄星投手、そしてイチロー選手ですね。先日、マリナーズのアリゾナキャンプでイチロー選手を見てきましたが、身体は動いていました。少なくとも45歳とは思えないですね。

あくまで僕の印象ですが、「東京でのオープニングゲームに向けて調整している」というより、シーズンを通してどういうプレーをするか、いかにして生き残るかを考えて動いているように見えました。

実際に、「東京で会おう」と声をかけて別れたとき、イチロー選手は「プレーできるように頑張ります」と応じてくれました。普通の一流選手が言ったなら「おもろい冗談やな」と思うところですが、彼の場合は本気で言っているところもあります。イチロー選手は、スーパースターでレジェンドなのに、すごい謙虚なんですよね。そういうところに、彼が長く現役を続けてこられた理由があるのかもしれません。

その一方で、僕に対しては少しイジってくる部分も見せてくれます。

僕がアナハイム(・エンゼルス)からシアトルに移籍した時、彼はメジャーデビューを果たし、ルーキーイヤーにも関わらず、新人王、MVP、首位打者といった数々のタイトルを獲得していました。もう既にスーパースターなわけです。そんな自分を取り巻く環境を理解した上で僕に対して「ユニホーム、似合ってませんね」と笑ってくれたのを覚えています。

僕のほうがプロの年次は先輩なのですが、スターであるイチロー選手がそうして僕をイジることによって、周囲も「ああ、ハセガワっていう新戦力はイチローが対等に話す投手なんやな」となんとなく認めてくれる。おそらくそこまで考えてくれていたと思います。彼なりの気遣いでしょう。おかげでシアトルではすんなりとチームに溶け込むことができました。

45歳での開幕1軍。シーズン序盤はいつも調子が出ないが、今年はどうなるか
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もう一つ、覚えているのは道具への徹底したこだわりです。

メジャーのクラブハウスには道具係がいて、例えば試合後にスパイクやバットをそのあたりに放置していても、ボーイが片付けてくれたり、磨いてくれたりします。なので脱ぎっぱなし、置きっぱなしにする選手は少なくないです。

名前は出しませんが、ブルペンには「あれを履いていて打ち込まれた。縁起が悪い」と言って、新品のスパイクを替えたりする投手もいました。

でも、イチロー選手は絶対にそんなことはしません。むしろスパイク、バット、グローブなど商売道具を人に触らせているのを見たことがないくらいです。それはずっと一貫していましたね。

一貫しているという意味では、食事もそうでした。シアトルのクラブハウスには当時、メキシコ人シェフがいたのですが、どうしてもメニューが偏ってしまうんです。当時は佐々木主浩さんを含めて日本人が3人所属していたので、白いご飯や醤油は常に用意してくれていたのですが、どうしても日本国内で炊くご飯に比べると、クオリティが落ちてしまうんですよね。

だからイチロー選手はよく、奥さんに作ってもらったおにぎりを持ち込んで試合前に食べていました。日本食へのこだわりはかなり強かったですね。遠征に出て、日本食がある街はどこに行っても、試合後には日本食店に足を運んでいました。何度か一緒に行きましたが、どこへ行っても美味しかったです。よう調べてんなと感心したのもいい思い出です。

今季、彼はどんな活躍をして、日米のファンにどんな刺激を与えてくれるのでしょうか。

個人的には、彼の引き際には注目しています。50歳を超えるとさすがにユニフォームを脱ぐのか、はたまた老いてなお100安打200安打を記録するのか。いずれにしても「参った、さすがイチローやな!」という引退の仕方をしてほしいですね。まずは、友人としても1ファンとしても東京での活躍をワクワクしながら待っています。

  • 長谷川滋利

    1968年8月1日兵庫県加古川市生まれ。東洋大姫路高校で春夏甲子園に出場。立命館大学を経て1991年ドラフト1位でオリックス・ブルーウェーブに入団。初年度から12勝を挙げ、新人賞を獲得した。1997年、金銭トレードでアナハイム・エンゼルス(現在のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム)に移籍。2002年シアトル・マリナーズに移り、2006年現役引退

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