「昭和生まれ」の老舗化粧品 その実力と長く売れ続けるワケ | FRIDAYデジタル

「昭和生まれ」の老舗化粧品 その実力と長く売れ続けるワケ

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最近、昭和生まれのロングセラー化粧品が、20代を中心にブームの兆しを見せている。「レトロなパッケージがかわいい」など、インスタ映えすることもさることながら、口コミでその品質の良さが再認識され、人気が高まっているというのだ。

アイスタイルが運営する化粧品や美容の総合サイト@cosmeのリサーチプランナー、原田彩子さんと西原羽衣子さんに話を聞いてみた。

「最近は『シェアドコスメ』といって、1つの化粧品を家族やパートナーと使いたいという人が増えています。シンプルに暮らしたいという気持ちが、化粧品選びにも表れているようです。口コミで人気がある商品には、多用途に使えるものが多く、しかも、『シェアできる』のが特徴です。 

また以前は、スキンケア化粧品は化粧水からクリームまで同じシリーズでそろえて使うことが一般的でしたが、今は自分がいいと思ったものを、1点ずつ選んでいく傾向にあります。そんな中、長く使い続けられていて、無駄なものが入っていない安心感があるロングセラー商品がクローズアップされ、口コミで広がったのだと思います」(西原さん)

昭和の時代から売れ続けている秘密に迫ってみた。

「カウブランド 赤箱」が誕生した1928年(昭和3年)に撮影された女学校の風景。この人たちも“牛乳石鹸”を使っていたのだろうか(写真:アフロ)
「カウブランド 赤箱」が誕生した1928年(昭和3年)に撮影された女学校の風景。この人たちも“牛乳石鹸”を使っていたのだろうか(写真:アフロ)

売れてる「昭和生まれ」化粧品5選

カウブランド 赤箱

赤いパッケージでお馴染みのあの石鹸! ユニークなコラボも話題

「カウブランド 赤箱」が正式名称だと言われても、ピンとこないほど、「牛乳石鹸」として知られている、この石鹸(牛乳石鹸は社名)。“レトロなパッケージがかわいい”と人気だが、実は現在のパッケージは発売当初から数えて11代目。赤地に牛がデザインされているところは、ずっと変わらないが、最近では、「中川政七商店」や「ビームス」などとのユニークなコラボ企画も話題だ。

1928年に「浴用石鹸」として生まれたが、口コミで“洗顔にも使えて洗い上がりがしっとり”と人気に火がついた。

「昔ながらの固形石鹸はいろいろありますが、『カウブランド 赤箱』には、このような声が多く寄せられました」(原田さん)

この現象には、発売元の牛乳石鹸共進社の担当者も“自然発生的に「洗顔」という新しい価値を見つけてくれた”と、驚く。

発売当時から天然油脂を主原料に、約1週間かけてじっくり熟成させる『釜だき製法(けん化塩析法)』で作られる石鹸には、良質な保湿成分もほどよく含まれ、やさしい肌あたりが、人気を呼んでいるようだ。

カウブランド 赤箱 108円(税込)
カウブランド 赤箱 108円(税込)

大島椿

発売元も気づかなかった、新しい使い方提案がネットで話題に

1927年の誕生以来、中高年層を中心に使われてきた大島椿も、最近は若い世代から支持されるようになった。

「これまではトリートメント、ヘアオイルなど、おもにヘアケアに使われてきましたが、頭皮のマッサージや爪の手入れ、クレンジングなど多用途に使えることが口コミで広がり、10代、20代の若年層を含め、幅広い年代に人気が高まっています。いつも使っているトリートメント剤に大島椿を加えて使うなど、新しい使い方もどんどん提案されています」(西原さん) 

そうした口コミの影響で、“それまで母から娘、娘から孫と「タテ」に伝えられていったものが、「ヨコ」に広がり、愛用者が増えていった”と、大島椿株式会社は分析する。

椿の種子からしぼった100%天然の椿油は、人の皮脂に含まれる成分を多く含むため、肌なじみがよく、刺激が少ない。最近ではヘアオイルとして、男性にも愛用者が増えている。

大島椿 40㎖ 1100円(税別)
大島椿 40㎖ 1100円(税別)

ニベアクリーム

誕生から、なんと一世紀以上! 再ブレイクで売り上げが3倍に

1911年にドイツで生まれ、1968年から日本でも発売されるようになったニベアクリーム。発売以来変わらない、青地に商品名のシンプルなパッケージでお馴染みだ。

以前は手足に塗るというイメージが強かったが、顔にも使えると口コミで広がり、じわじわと人気が出てきた。“スクワランオイル”や“ホホバオイル”が配合され、保湿力が高いことが評判を呼び、なんと2018年の売り上げは、2010年の3倍に!

「1989年以降、大きな処方変更はしていないそうですが、さくらももこさんとコラボを企画するなど、消費者の目に留まるような企業努力をしている。そういうところも人気を呼んでいると思います」(原田さん)

ニベアクリーム 大缶 169g 570円(税別)
ニベアクリーム 大缶 169g 570円(税別)

ロゼット洗顔パスタ

レトロなパッケージの中で、進化をし続けるロングセラー商品

1929年に、日本初のクリーム状洗顔料として発売されたロゼット洗顔パスタ。そもそも「パスタ」とは、“粉を練り込み、ペースト状にしたもの”を意味するのだとか。固形石鹸しかなかった時代には画期的な商品だったのだ。パッケージはカラフルになったが、丸いジャータイプの容器の形とロゴは昔のままだ。

ロゼット洗顔パスタに含まれているのは温泉成分であるイオウ。洗顔パスタとはいえ、全身に使え、洗い上りは温泉に入ったようにツルツルになるとネット上で評判になり、ジワジワと人気が広がり始めた。

現在は、このイオウシリーズのほかに、海泥や白泥など、泥を配合したクレイシリーズも登場し、肌質別の豊富なラインナップが新しいファンを増やしている。

ロゼット洗顔パスタ 普通肌用 90g 702円(税込)
ロゼット洗顔パスタ 普通肌用 90g 702円(税込)

オードムーゲ

ニキビ肌だけでなく、子どものあせもに、ひげそり後に

1953年に皮膚用の塗り薬として六陽製薬から誕生したオードムーゲ。その後ローションとなり、現在は医薬部外品として、ニキビができにくい肌に整える薬用ローションとして販売されている。2014年に小林製薬のグループに入り、ドラッグストアなどに販路を拡大したことで認知度が高まり、ネット上でも“ニキビ対策だけでなく、ふきとり化粧水としても使える”と評判になった。

殺菌成分であるイソプロピルメチルフェノールと、抗炎症成分のグリチルリチン酸ニカリウムを含んだこの商品は、肌に蓄積した汚れや皮脂を取り除く。肌に潤いを与え、ニキビ肌でなくても、デイリーケアとして使えるところに、大きな魅力があるようだ。そのほかにも、ボディローション、子どものあせも、男性のひげそり後にも使えると、男女、年齢関係なく人気が広まっている。

パッケージは発売当時からずいぶんおしゃれになったが、広範囲に使える便利さがロングセラーの理由となっているようだ。

オードムーゲ薬用ローション(ふきとり化粧水)160㎖ 970円(税別)。右は、発売当初のパッケージ
オードムーゲ薬用ローション(ふきとり化粧水)160㎖ 970円(税別)。右は、発売当初のパッケージ

「これらの化粧品は、コストパフォーマンスがいいことも魅力です。今の生活者はパッケージだけではなく、SNSや口コミ情報を活用し、品質、価格、使いやすさ等含めて吟味します。『パッケージがインスタ映えする』という理由だけで選ばれているわけではないのです」(原田さん)

@cosmeの詳しい情報はコチラ

  • 取材・文中川いづみ

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