「86歳男性が週に何回も…」現役女医が明かす中高年男性の「リアルな性事情」「服用するED治療薬」
3月上旬、日本では配偶者がいても性交渉が1ヵ月以上ない、いわゆる「セックスレス」夫婦が半数近くに上ることが、日本家族計画協会が発表した「男女の生活と意識に関する調査」で分かった。同調査は、16~49歳の男女3000人を対象に行われたもの。日本人の性欲は、そんなにも減少しているのだろうか。
「全然減少してないですよ、私のクリニックの『腟ジェル外来、ED・勃起不全外来』(オンライン診療)を受診する人は皆さんが考えているよりも頻繁にしていますよ。しない人はしない一方で、している人はしている。要は『性の二極化』が起きているのだと思います」
声を大にして力説するのは愛媛県の『富永ペインクリニック』で院長をつとめる富永喜代氏。性の悩み専門の外来を開設し、全国から8000人以上がオンライン診断を受ける。医療×ITで人生100年時代を豊かにするデジタルドクターである。
「実態を知りたいなら、セックスレスにだけフォーカスするのではなく、している人たちのことも見るべきです。性機能維持にも熱心に取り組んでいるし、ED治療薬やサプリも積極的に服用しています。
実際、患者さんには86歳男性と78歳女性で週に何回も性交しているカップルもいます。私はこれが日本人のリアルな性欲だと思っています」
またその昔、人生50年時代といわれた江戸時代に、83歳まで生きた儒学者、貝原益軒は健康書の古典『養生訓』で、長生きの秘訣は「接して漏らさず(性交すれども射精せず)」と説いたが、最近は射精は長寿の元であることも分かってきた。富永医師はこう続ける。
「アメリカの心臓病の学会誌では、週に2回以上性行為をしている人は、1回以下の人に比べて、明らかに心血管系の発症が少ないという報告がなされました。
週3回以上、自慰行為をしている方が、前立腺がんになりにくいことも分かっています。週2回のセックスは脳卒中も防げるそうです」
ではそんな性欲旺盛な熟年の男性たちは、一体どんなED治療薬やサプリを使って、セックスを楽しんでいるのだろうか。FRIDAYゴールドではそれぞれの薬の特徴や効果の出方、熟年男性の多くが服用しているサプリメントも詳しく紹介している。
◆富永喜代(とみなが きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。肩こりやひざ痛など幅広い痛みの専門医で2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年に愛媛県松山市に「富永ペインクリニック」を開業。日本でも稀な「性交痛外来」で日々、患者と向き合う
- 取材・文:木原洋美
医療ジャーナリスト
宮城県石巻市生まれ。大学在学中にコピーライターとして働き始め、20代後半で独立してフリーランスに。西武セゾングループ、松坂屋、東京電力、全労済、エーザイ等、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わる。’00年以降、軸足を医療分野にシフトし、「ドクターズガイド」(時事通信社)「週刊現代 日本が誇るトップドクターが明かす(シリーズ)」(講談社)「ダイヤモンドQ」(ダイヤモンド社)「プレジデントウーマン」(プレジデント社)等で、企画・取材・執筆を手掛けてきた。著書に「「がん」が生活習慣病になる日 遺伝子から線虫までーー早期発見時代はもう始まっている」(ダイヤモンド社)がある。2012年、「あたらす株式会社」を設立し、現在、代表取締役。