被害女性が怒りの告発!「大手アダルトサイトで私の動画が知らぬ間に販売されていました」
「名誉を棄損された」配信停止と賠償金を求めて、民事訴訟へ
「今この時にも、過去のわいせつな映像が画面上で見られてしまう。一時は芸名を変えるしかないのかもと悩みましたが、このまま泣き寝入りをしたくないという思いで弁護士さんに相談しました」
ストリッパーの有賀美雪さん(50)は、苦しい胸の内をそう明かした。
今やスマホさえあればすぐにアダルトビデオが観られる時代になった。その一方、出演者にとってネット上に掲載されてしまった映像を消し去るのは至難の業だ。そんな中、有賀さんはかつて出演したポルノ映画が、自分の承諾を得ないままネット上で販売されたと主張する。
「映像を撮影したのは30年ほども前です。当時、私はフリーのストリッパーとして活動していました。その頃、知り合いから『日活ポルノに出てみないか』と誘われて、興味もあって快諾しました。撮影は3日間で、アフレコ代も入れればギャランティは45万円でした」
その後1年間に2本のポルノ映画に出演。この3作品は有賀さんの主演作だ。
「ポルノ映画なのでもちろんヌードで登場したり、自分の胸を揉むようなわいせつなシーンも含まれていました」
撮影前、有賀さんが確認した契約では作品は特定の映画館のみでの上映という内容だった。だが、この約束は十数年という時間をかけて反故(ほご)にされていく。
「作品が販売されているのを知ったのは、ストリッパーを引退した15年ほど前です。正直、映画の存在自体忘れてしまっていました。インターネットの普及もあって自分の名前でエゴサーチをすると、出演作が大手アダルトサイトからDVDとして販売され、有料で動画配信もされているのに気付いたんです」
当時の映画関係者らに連絡を取ろうとしたものの連絡先はすでに変わっており、制作サイドの事務所は閉鎖状態。手の打ちようがなかったという。
「一度でも作品に出てしまった自分が悪いと思うしかなかった。次第に抵抗する気力も失(う)せ、自分の記憶から消すように努力しました」
提訴を思い立つ転機になったのは、ストリッパーとしての再始動だった。
「活動再開するからには、以前の芸名をそのまま使いたかった。でもネットで検索すればポルノ映画が出てきてしまう。ストリップはあくまで芸術で、ポルノとは別物です。名前を変える方法もありましたが、このまま泣き寝入りはしたくないと、今年3月、弁護士さんに相談したうえで販売元を訴えることを決めました」
代理人を務める諸橋仁智弁護士は今回の民事訴訟をこう説明する。
「私たちが予定しているのは動画配信サービスを行っている会社に対しての提訴です。内容としては大きく二つ。一つ目は映像の差し止め。もう一つは肖像権とパブリシティ権の侵害に伴う損害賠償請求です。肖像権とはむやみやたらに容姿を晒(さら)されないという権利。また彼女はストリッパーというアーティストであり、わいせつ映像が無断に流されることでアーティストとしての経済的な価値が毀損されている状態、つまりパブリシティ権が侵害されていると考えています。この二つの侵害を理由に損害賠償の請求を行っていくつもりです」
FRIDAYがサイトの運営会社にDVDの販売及び有料配信の経緯について見解を尋ねると、以下のような返答があった。
「当サイトで扱っている商品は、作品の権利を保持している事業者と契約して販売しておりますが、出演者との契約には弊社は関与しておりません。したがって、許諾の有無についての確認は行っておりません。権利を保持している事業者と直接対話し、この問題を解決していただければ幸いです」
有賀さんが提訴を決めたのは自身だけの問題ではないという。
「AV新法によって業界が新しく変わってはいますが、私のように古い作品でもネット上にアップされ、傷ついている人がいるはずです。けっして『昔の話だから仕方ない』と諦(あきら)めずに削除を求めることもできると知ってほしいんです」
デジタル社会への新たな一石となるか。
『FRIDAY』2024年5月10・17日号より
- PHOTO:小川内孝行